豪ドル債券ファンド

2012年も大型設定が相次ぎ、一段と存在感を増す豪ドル債券ファンド

2012-2-24

豪州政府の健全な財政運営を背景に豪ドル債券ファンドは安定的に推移

 オーストラリアでは、1980年代や1990年代前半に財政赤字の急激な拡大を経験したものの、豪政府の歳出削減や規制策定による財政改善政策が奏功し、1990年代後半からは財政黒字を達成した。 2000年代半ばには、政府の純債務残高を一旦解消させたものの、リーマン・ショックによる財政支出の拡大で、再び純債務となった。ただ、名目GDP(国内総生産)に対しての債務残高は、他の先進国と比較し小さく、国債については、主要格付け会社から最上位の信用格付けを付与されている。

 通貨の豪ドルの動きをみると、2012年1月末時点の豪ドル/円は、リーマン・ショック前のほぼ8割程度まで回復しており、先進国通貨の中でも圧倒的に強い動きとなっている。また、債券利回りの推移をみると、豪州の中央銀行が2011年11月、12月にそれぞれ0.25%の利下げを行っており、5年債の利回りは3%台の落着いた展開となっている。これらの諸々の要因より、豪ドル債券ファンドは、投資家の根強い人気が継続している。

図表1:豪ドル/円とオーストラリア5年国債利回りの推移

図表1:豪ドル/円とオーストラリア5年国債利回りの推移

出所:モーニングスター作成

純資金流入が続く豪ドル債券ファンド

 モーニングスターのカテゴリー「国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし)」は、2003年〜2011年まで連続して純資金流入となった(図表2)。特に、「国際債券・北米(為替ヘッジなし)」と「国際債券・欧州(為替ヘッジなし)」が共に純資金流出となった2009年からは、対円での為替の堅調な展開を受け豪ドル債券ファンドへの資金純流入額が拡大した。同様に、短期豪ドル債オープン(毎月分配型)がカテゴリーの8割以上の純資産を占める「国際債券・短期債(為替ヘッジなし)」へも資金純流入は続いた。

図表2:「国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし)」の資金流入額の推移

  2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし) 1,758 1,981 1,856 2,262 1,060 1,618 4,903 7,684 6,054
国際債券・短期債(為替ヘッジなし) -965 -117 -47 832 1,438 5,016 2,057 4,577 4,434
国際債券・北米(為替ヘッジなし) 7,464 7,576 477 -2,774 -3,534 -1,751 -859 -899 -953
国際債券・欧州(為替ヘッジなし) -1,512 -350 2,140 -93 928 123 -844 -673 -660

出所:モーニングスター作成
DC、SMA専用ファンド、ETF除く
単位・億円

 図表3の純資産額の推移をみると、2006年以降は、「国際債券・北米(為替ヘッジなし)」と「国際債券・欧州(為替ヘッジなし)」が大きく減少した中、「国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし)」の純資産は堅調に伸び、特にリーマン・ショック後から著しく拡大した。また、2012年に入ってからも2月に「野村 豪ドル債オープン・プレミアム毎月」当初設定額896億円と、「野村 豪ドル債オープン・プレミアム年2回」当初設定額144億円の大型の新設が相次いでおり、豪ドル債券ファンドの人気が伺える。

図表3:「国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし)」の純資産額の推移

図表3:「国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし)」の純資産額の推移

出所:モーニングスター作成
DC、SMA専用ファンド、ETF除く

 カテゴリーごとのリターンでも、「国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし)」は他の債券に投資するファンドに比べて堅調なパフォーマンスを示している。ただし、短期・中期での標準偏差も相対的に高いことには留意したい。

図4:債券関連ファンドのカテゴリーごとのリターンと標準偏差
(2012年1月末時点、年率表示)

  リターン 標準偏差
1年 2年 3年 5年 1年 2年 3年 5年
国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし) 7.64% 7.14% 16.72% 2.66% 15.06% 15.14% 14.45% 17.65%
国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり) 6.20% 4.55% 5.63% 2.95% 2.72% 3.07% 3.18% 3.78%
国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジあり) 5.46% 6.83% 11.71% 3.93% 7.73% 6.80% 6.83% 10.43%
国際債券・物価連動債(為替ヘッジなし) 5.25% -0.57% 3.79% -3.36% 6.57% 8.61% 9.17% 11.65%
国際債券・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり) 4.97% 3.76% 5.22% 2.41% 2.47% 2.67% 2.58% 3.24%
国際債券・北米(為替ヘッジあり) 4.58% 4.78% 6.92% 2.12% 2.08% 2.11% 3.97% 4.88%
国際債券・欧州(為替ヘッジあり) 3.50% 1.94% 3.66% 0.15% 5.11% 4.42% 4.30% 4.14%
国際債券・オセアニア(為替ヘッジあり) 2.08% 1.67% 0.83% 0.32% 1.66% 1.94% 2.21% 2.76%
国際債券・エマージング・単一国(為替ヘッジなし) 0.68% 3.67% 12.93% 15.87% 14.00% 15.25%
国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし) 0.25% 2.95% 11.05% -1.41% 14.62% 13.95% 13.16% 16.26%
国際債券・北米(為替ヘッジなし) -0.93% -1.94% 2.40% -4.03% 4.18% 7.00% 8.12% 9.44%
国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし) -2.39% 3.80% 15.63% -2.38% 17.92% 16.32% 15.52% 18.79%
国際債券・欧州(F)(為替ヘッジなし) -5.24% -7.37% -0.39% -5.65% 13.08% 13.70% 13.11% 13.98%
国際債券・短期債(為替ヘッジなし) -5.90% -4.28% 3.03% -5.43% 12.04% 12.17% 12.31% 14.29%
国際債券・転換社債(為替ヘッジなし) -11.79% -5.35% 5.09% -3.17% 15.38% 14.37% 13.35% 13.62%

出所:モーニングスター作成
モーニングスターインデックスを使用

オーストラリアの景気動向を注視

 2012年のオーストラリアの景気動向については、緩やかに持続的拡大が続くと予想されている。一部の製造業やサービス業の減益に加え、昨年末にかけて鉄鉱石や石炭の市況下落と資源関連の増税を受けて、雇用情勢は鈍い状況が続くとみられるものの、政策金利の引下げが寄与し個人消費が改善されてきている。

 2012年2月は豪州の中央銀行が政策金利を4.25%の据え置きとした。ただ、インフレ率が目標範囲(2%〜3%)内に収まっていることから、今後需要の鈍化がみられる場合は追加緩和の可能性を示唆しており、債券市場は当面安定的に推移しそうだ。為替動向をみても、豪ドルは相対的に堅調な展開となっており、豪ドル債券ファンドは依然有望な資産クラスの一つと言えるだろう。

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