グローバルREITファンド

国内より市場規模が大、世界の多様なREITに分散投資

2012-4-2

 世界のREIT(不動産投資信託)に投資するグローバルREITファンドの投資家人気は根強い。REITに投資するメリットの一つは、小額で不動産に分散投資できる点にある。REITは実質的に複数の不動産物件を保有し、主に賃貸収入を投資家に配当として分配する。一般的に、REITは賃料収入の一定水準を配当として支払うことで、法人税が減免される仕組みとなっている。このため、REITに投資することで実際に不動産物件を保有した場合と同じような効果を狙える。

 世界のREIT市場は、日本国内のJ−REIT市場よりも時価総額、流動性などの規模がはるかに大きい。北米のREIT市場は時価総額比率で世界全体の約6割を占めるのに対し、日本は同6%程度にとどまる(2012年2月末時点、ドルベース)。また、世界のREIT市場には、J−REIT市場のようにオフィスやアパートへ投資するREITも多いが、倉庫や医療施設など多様なセクターに投資するREITが存在する。珍しいところでは、木材の販売や植林した土地の売買から配当収益を支払う材木REITなどもあり、幅広い投資機会を得ることができる。

図表1:世界のREIT市場における国別シェア

図表1:世界のREIT市場における国別シェア

出所:スタンダード・アンド・プアーズ
2012年2月末時点、ドルベース

 国内外のREITは株や債券などの伝統的資産と組み合わせることにより、分散投資効果を得ることができる有力なオルタナティブ(代替)資産のひとつだが、グローバルREITファンドはJ−REIT市場のみを投資対象としたファンドと比較して、より高い分散効果を期待できるだろう。グローバルREITファンドは、世界的に実績のある運用会社がマザーファンド(実質的な運用を行うファンド)の運用に携わるケースが多くみられるのも特長だ。

分配金利回りは比較的高めだが、注意も必要

 定期的な賃料収入などをベースとした配当による収入というスタイルが、分配金の支払いと馴染むこともあり、グローバルREITファンドは分配金利回りが比較的高くなる傾向がある。こうした事も投資家人気を引き付ける大きな要因のひとつとなっている。2012年2月末時点において、グローバルREITファンドの一部のカテゴリーの、毎月決算型のみを対象とした分配金利回り平均は、高利回り債券ファンドなどに次ぐ高い水準となっている。

図表2:毎月決算型ファンドのカテゴリーごとの分配金利回り平均ランキング

順位 カテゴリー名 分配金利回り(%)
1 国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし) 14.60
2 国際債券・転換社債(為替ヘッジなし) 14.43
3 国際REIT・特定地域(為替ヘッジなし) 13.11
4 為替ブル型 11.94
5 国際REIT・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし) 11.62
6 国内REIT 11.44
7 国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし) 10.89
8 国際債券・エマージング・単一国(為替ヘッジなし) 10.64
9 国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし) 10.45
10 国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし) 9.92

出所:モーニングスター作成、2012年2月末基準
毎月決算型ファンドが対象、DC、SMA、ETFを除く

 ただ、分配金利回りの見方には注意が必要だ。分配金利回りは過去1年間の分配金の合計÷基準価額で算出されるもの。分配金利回りは投資対象資産の価格が下落し、ファンドの基準価額が下がっても、分配金が一定であれば上昇する。分配金は基準価額の動きに反映されているものであり、分配金を出した分だけ基準価額は下がることも考慮する必要がある。また、高い分配金利回りを謳っていても、実際は運用等による収入ではなくファンドの資産を取り崩して分配金を支払う「タコ足分配」の可能性もある。特に毎月分配型のグローバルREITファンドにこうしたファンドが散見されるため、投資において分配金利回りを重視する場合は慎重な判断が求められる。

純資産額は依然高水準、純資金流入動向に変化も北米ファンドが堅調

 グローバルREITファンドの純資産額規模は、2011年に欧州債務問題が深刻化するなど懸念材料があったものの高い水準を維持している。一方、以前は資金流入の好調ぶりが際立っていた純資金流出入の動向だが、投資家のリスク回避姿勢の高まりを背景に、2011年後半から月次での純流出が目立つようになった。ただ、こうした中にあって北米REITファンドには流入超過傾向が続くなど、投資家からの人気を博している。

図表3:グローバルREITファンドの純資産額の推移

図表3:グローバルREITファンドの純資産額の推移

出所:モーニングスター作成
グローバルREITファンドは、モーニングスターカテゴリーの「国際REIT・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」、「国際REIT・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」、「国際REIT・特定地域(為替ヘッジなし)」、「国際REIT・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」、「国際REIT・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり)」、「国際REIT・特定地域(為替ヘッジあり)」を合計したもの、DC、SMA、ETFを除く

図表4:グローバルREITファンドの純資金流出入額の推移

図表4:グローバルREITファンドの純資金流出入額の推移

出所:モーニングスター作成、類似ファンド分類を使用
2012年2月までの過去1年間分、DC、SMA、ETFを除く

 世界景気の復調傾向は世界のREITにとって追い風となる。景況感が好転すれば、雇用環境の改善が進みオフィス物件の需要が高まるほか、個人消費が活発化し商業施設等の賃料収入も増大することが期待できる。グローバルREITファンドのパフォーマンスに寄与することが考えられる。

 最後に、2012年3月20日までの過去6カ月間の期間を対象に主要国REITの価格推移をグラフにまとめたので、投資の参考にしていただきたい。

図表5:主要国REITの価格推移

図表5:主要国REITの価格推移

出所:モーニングスターがS&P REIT指数の各国の数値(現地通貨ベース、トータルリターン)をもとに作成、2011年9月20日の数値を100として指数化

(松尾 繁)

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