モーニングスター特集 今夏のビッグイベント「参院選」をうらなう

 7月11日に投開票日を控えた参議院議員選挙は、今夏最大のビッグイベントとして株式市場からも注目を集めている。振り返れば米軍普天間基地移設問題に絡み、5月30日の社民党による連立政権離脱から6月2日には鳩山首相が辞意を表明、4日にはポスト鳩山として菅内閣が誕生するなど政局は混迷を極めていた。直近では民主党の支持率回復とともにやや落ち着きを取り戻した感があるが、参院選での与党勝利には依然として不透明感が強い。今回の参院選は株式市場にどう影響を及ぼすのだろうか。

 まずは過去の参議院選挙と日経平均株価の関係性を見たい。下図に過去5回の参議院選挙の投票日の前営業日を100として指数化した日経平均株価の推移を示した。過去の経緯からは、与党が敗北した選挙の後は株式市場の下落につながりやすいといえる。象徴的な年は1998年の自民党大敗だ。1998年は投票日までほぼ横ばいで推移していたが、参院選での自民党大敗を受け、投票日後は下げが加速し最大で2割近い下落となった。自民党大敗の背景は、前年の消費税引き上げによる国民負担の増加やそれに伴う景気の後退、失業率の上昇などに加え、橋本元首相の減税に関する発言が二転三転したことも敗因といわれている。また、直近の2007年は、自民党が議席数37議席と歴史的大敗を喫し、1955年の結党以来、初めて他党(民主党)に参議院第一党の座を譲った参院選となり、日経平均株価は投票日後約1カ月で1割超下落した。このように、参院選で与党が敗北した場合には政策の不透明感の増幅などを要因に市場センチメントにマイナスに作用する傾向があるといえるだろう。


日経平均株価の推移
(過去5回の参議院選挙の投票日の前営業日を100として指数化)
日経平均株価の推移<br />(過去5回の参議院選挙の投票日の前営業日を100として指数化)


 2010年の参議院議員選挙の行方は

 菅新首相の誕生により民主党は支持率を回復したが、与党の苦しい状況は変わらない。5月30日に社民党が連結政権から離脱したことにより、与党は衆議院において3分の2を超す「圧倒的多数」を維持できなくなった。衆議院での「圧倒的多数」がなければ、参議院で法案を否決された場合、衆議院での再可決は出来ない。そのため、民主党・国民新党は参院選での過半数の議席確保が目下の課題となっている。

 民主党の非改選議席数は62議席で、今回の参院選で60議席を獲得すれば単独過半数(122議席)に達する。国民新党と合わせれば56議席の獲得で与党での過半数維持が可能だ。ただ、菅首相誕生により回復した民主党の支持率は、早くも下落に転じるなど予断を許さない状況にある。18日に閣議決定された「新成長戦略」に加え、民主党のマニフェストには法人税率の引き下げなどが盛り込まれ、株式市場には好感する向きもあるが、これらの実現には新政権が高い政策推進力を維持できるかどうかにかかっている。仮に民主党(与党)が過半数の議席を確保できなかった場合には、公明党やみんなの党など新たな政党との連立、または閣外協力・部分連合のパートナーとなる政党を求めていかざるを得ず、少数政党が標榜する政策の影響度合いが大きくなる可能性が大きい。これは事実上、首相の政治的なリーダーシップが発揮されにくい状況が続くことを意味し、現時点では過大な期待は禁物かもしれない。

 今回の参院選において最悪のシナリオは、民主党(与党)が過半数の議席を確保できず、少数政党同士の意見の相違により連立が成立しなかった場合。この場合は、法制化や財政改革などが何も進まず、日本株式市場の売買シェア6割を握る外国人投資家が日本に対する興味を失い、株価低迷を余儀なくされるだろう。

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