厳選・好決算銘柄 期待に違わぬ好内容、再増額、出遅れなどがキーワードに

80−90年代の投資の議論においてインデックス投資業界は理性を保っていたが、現在は正しい方向に議論を前進させるよりも二極化させる主張ばかりが目立ち、信用に値する声がかき消されている。

過去のインデックス投資の支持派は正しい理論を展開していた。すべてのファンドマネジャーが必ずしも市場平均以上の結果を出せるわけではなく、コストと税金が重要であり、投資するうえでは短期よりも長期の視点が大切ということだ。

攻撃的な主張を展開し始めたインデックス主義者

数字をみれば一目瞭然だろう。S&P500に連動する米国籍のインデックスファンド「バンガード・500・インデックス・インベスター・ファンド(VFINX)」を例に考えてみたい。同ファンドに投資する場合、カテゴリー中で上位何%以内に位置するかを示す「パーセンタイルランク」で上位10%に入るのは難しいが、長期的に下位50%に陥るのは避けられる。10年12月31日までの過去15年間は実際その通りだった。この間、大型ブレンドカテゴリーにおける同ファンドのパーセンタイルランクは上位37%。これは税金と販売手数料を考慮する前の投資成績だ。明らかにインデックス投資は賢明な手法と言える。


しかし、あるときから多くのインデックス主義者たちは、「インデックス投資は優れている」という誠実かつ有用な主張でなく、「インデックス投資以外はすべて劣っているうえに、道徳的にも疑わしい」という極端に攻撃的な主張を唱えるようになった。皮肉なことに彼らがこうした主張を展開していた10年間、インデックス投資の成績は著しく不振だった。


10年12月31日までの10年間におけるVFINXのパーセンタイルランクは大型ブレンドカテゴリーの中で上位49%と、高い評判にそぐわないものだった。それにもかかわらず、狂信的なインデックス論者たちは意見を曲げず、彼らの言い分はますます過激になった。例えば最近、あるETF(上場投資信託)プロバイダーは指数を上回る投資成績を目指す「アクティブ型」ファンドを大手のたばこ会社になぞらえ、「たばこが健康に悪いのと同じようにアクティブ運用も投資家にとって危険である」との見解を示した。

攻撃的な主張を展開し始めたインデックス主義者

「狂信的なインデックス主義者」とも呼ぶべき彼らの意見は、インデックス投資業界の先人たちが打ち立てた高尚な論拠を台無しにするものだ。しかも彼らのレトリックは、インデックスという「神聖な衣服」を隠れみのにしようとする不誠実な会社も引き寄せている。その結果、アクティブ投資の世界で行われていた悪行がインデックス投資の世界にまで流れ込んできた。連動指数に対して数倍の値動きをする「レバレッジ型」ETFや指数と逆の値動きをする「インバース型」ETFをめぐる誤解、多くのコモディティー型ETFのパフォーマンス低迷といった昨今のファンド業界における多くの問題が、インデックスファンドの分野で起こっているのは驚くべきことではない。


インデックス過激主義者の主張は多くの疑わしいインデックスファンドの販売を助長するだけでなく、米大手運用会社キャピタル・リサーチのような実績のあるアクティブ運用会社における資金流出も誘発している。キャピタル・リサーチのアクティブファンドは過去10年において、幅広い銘柄に分散投資するインデックスファンドをアウトパフォームしてきた。だが、投資家は同社のファンドが流行のポートフォリオ構築手法である「コア・サテライト戦略」(ポートフォリオの中核となるファンドでは安定リターンを狙い、その他のファンドで積極リターンを狙う戦略)にそぐわないと判断し、インデックスファンドを選好した。米国では多くの投資アドバイザーもインデックスファンドのトレンドに合わないという理由で、「アメリカン・ファンズ」のような過去に成功を収めたアクティブファンドをクライアントのポートフォリオから一掃している。

放置すればインデックス投資への信頼が損なわれる

残念ながらインデックス投資業界には、インデックス過激主義者の主張に反論しようとする動きがほとんどみられない。放置すれば、いずれインデックス投資の世界全体に被害が及ぶだろう。アクティブファンド業界は数十年前、コストをつり上げてアクティブ運用の利点を誇張していた一部の運用会社を取り締まらなかったために、結局代償を払うことになった。同様に一部のインデックス過激主義者の行き過ぎた見解が原因で、インデックス投資に対する世間の信頼が損なわれる恐れがある。


インデックスファンド業界のリーダーは今こそ立ち上がり、インデックス運用についての先人の誠実さを取り戻すべきだ。誇張や攻撃的なレトリックは人目を引きやすいが、その過程で真実を犠牲にすれば代償はあまりにも大きい。(米モーニングスター プレジデント・オブ・ファンド・リサーチ ドン・フィリップス)

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