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年末年始特集

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“超高校級”ファンド登場、バランス型ファンドの主流が交代か

 2014年1月からNISA(少額投資非課税制度)が始まり、改めてバランス型ファンドが注目を浴びた。そうした中、6月に設定された「日興BR・H・クオリティ・アロケーションF(H無)」(以下、同ファンド)の純資産額が設定からわずか3カ月弱で1,000億円を突破。2014年11月末時点では1,371億円と、さらに純資産額を伸ばし、バランス型ファンド534本中第4位となっており、バランス型ファンドに久方ぶりの“超高校級”があらわれた。同ファンドは、投資環境に応じて機動的に資産配分を変更(以下、機動的資産配分型)するのが特徴だ。

 これまでバランス型ファンドと言えば、純資産額上位も含め資産配分比率が概ね固定されている「固定資産配分型」が主流であったが、同ファンドを筆頭に機動的資産配分型のシェアが大きく伸びている。
 2014年11月末時点で機動的資産配分型は約90本、純資産総額は約6,700億円となっており、バランス型ファンド全体の約15.5%(図表1)。3年前と比べて14ポイントの急上昇だ。ただ、欧米では、機動的資産配分型の純資産総額はアロケーションファンド(バランス型ファンドに相当)全体の20%を超えており、欧米の水準には至っていない。

図表1:アロケーションファンドの内訳(2014年11月末時点)

※1.国内籍=モーニングスター大分類「バランス型」(確定拠出年金向け、ファンドラップ向け、ETF等は除く)、米国籍=米国籍オープンエンドファンド(MMF、ETF、ファンドオブファンズは除く)、欧州籍=欧州籍オープンエンドファンド(MMF、ETF、ファンドオブファンズ、フィーダーファンドは除く)が対象
※2.機動的資産配分型(国内籍、欧州籍)=グローバルカテゴリー「Flexible Allocation」、固定資産配分型(国内籍、欧州籍)=グローバルカテゴリー「Aggressive Allocation」「Allocation」「Cautious Allocation」「Moderate Allocation」
※3.機動的資産配分型(米国籍)=機関投資家向けカテゴリー「Flexible Allocation」「Global Flexible Allocation」、固定資産配分型(米国籍)=機関投資家向けカテゴリー「Aggressive Allocation」「Conservative Allocation」「Foreign Allocation」「Global Allocation」「Moderate Allocation」
出所:Morningstar directを基に、モーニングスター作成

■パフォーマンスは「機動的資産配分型」に軍配

 同ファンドの設定で固定資産配分型と機動的資産配分型の勢力図が変わりつつあるが、どちらのタイプがパフォーマンスは良好なのだろうか。
 データが確認できる1996年5月末から2014年11月末までの外国籍の累積リターンをみると、固定資産配分型の3.4倍に対して、機動的資産配分型は3.7倍と優れている。また、過去17年の暦年のトータルリターンをみると、マイナスとなったのは固定資産配分型が5回、機動的資産配分型が4回と少なく、ITバブルが崩壊した2000年にはプラスのリターンを維持しており、下落局面で概ね相対的に優れたパフォーマンスとなっている。

図表2:累積リターンの推移(1996年5月末〜2014年11月末)

※1.1996年5月末を10,000として指数化
※2.機動的資産配分型=「Morningstar Global Flexible Allc EW」、固定資産配分型=「Morningstar Global Allocation EW」
出所:Morningstar directを基に、モーニングスター作成

 インデックスファンドを組み入れた低コストのバランス型ファンドに注目する個人投資家も多いが、図表2に示したパフォーマンスが国内でも再現されれば、一考の余地はあるだろう。

 そこで、2014年11月末時点でモーニングスター大分類「バランス型」に属する機動的資産配分型ファンドのうち、純資産額上位で3カ月、6カ月、1年トータルリターン%ランクがともに上位50%内に入るファンドを一覧にした(図表3)。

図表3:「機動的資産配分型」ファンド一覧

※1.2014年11月末時点
※2.モーニングスター大分類「バランス型」に属するファンドが対象
※3.各類似ファンド分類内での%ランク
出所:Morningstar directを基に、モーニングスター作成

◎表中のファンドは、下記リンクからご覧頂けます◎
日興BR・H・クオリティ・アロケーションF(H無)
GアロケーションF毎月・H無(払出)
グローバル・アロケーションB(年4回・H無)
インカムビルダー(毎月決算型)H無
インカムビルダー(毎月決算型)世界通貨分散
インカムビルダー(年1回決算型)H無
米国ツイン・スターズ・F 予想分配金提示型B
スマート・ファイブ(毎月決算型)
グローバル・アロケーションA(年1回・H無)
GアロケーションF年2回・ヘッジなし(払出)

 ランキング上位には運用年数が3年にも満たないファンドが独占したものの、海外で高い評価を受けている実力派ファンド揃いとなっており、円ベースでも威力を発揮している。

 ランキング1位〜3位、9位、10位ともに投資先ファンドはブラックロックが運用するアロケーションファンドで、これらファンドの投資先ファンドと類似の運用戦略である「BlackRock Global Allocation Investment」(以下、米国籍同ファンド)は米モーニングスターから高い評価を受けており、定性評価は5段階で最高評価の「ゴールド」を付与されている(2014年11月末時点)。
 米国籍同ファンドは、資産配分の変更は徐々に行い、2013年までの過去10年の売買回転率は約40%と相対的に低いのが特徴だ。主担当ファンドマネジャーは設定来から担当しており、約25年の運用・調査経験年数を有している。また、アナリスト約20名中10名が10年以上の調査経験年数を有しており、経験豊富なメンバーで運用がなされている。
 ちなみに、3人のファンドマネジャーはいずれも100万ドル以上の自己資金を投じており、投資家と“同じ船”に乗っている。運用報酬は成績にリンクして支払われるものの、運用成績が低迷しても報酬を返還する義務がなく、運用側は過度なリスクを取る可能性が出てくるが、そうしたリスクを防いでいる。

 その他、ランキング4位〜6位の「インカムビルダー」シリーズについても、投資先ファンドと類似の運用戦略である「Loomis Sayles Strategic Income」(以下、ストラテジック・インカム・ファンド)が同月末時点で米モーニングスターから「シルバー」を付与されている。
 ストラテジック・インカム・ファンドは、債券を中心に、競争優位性があり増配を続けている企業の株式にも投資を行い、インカム収入の安定的な積み上げを狙うのが特徴。ハイイールド債の投資制限がないほか、35%まで株式の投資比率を高めることができる。主担当ファンドマネジャーは、債券運用業界では“レジェンド”と呼ばれる超ベテランファンドマネジャーで、毎年優れた運用者に贈られる米モーニングスターの「ファンド・マネジャー・オブ・ザ・イヤー」を債券部門で2度受賞している。シェアクラスAの2013年までの過去10年間の暦年のトータルリターンをみると、カテゴリー平均を下回ったのはたったの2回のみである一方、カテゴリー内上位30%に入ったのは8回と、長期にわたって優れた運用成績を維持している。ちなみに、ストラテジック・インカム・ファンドの主担当ファンドマネジャーもまた自己資金100万ドルを投じている。

 機動的資産配分型は、完全にプロ任せになるため、投資先ファンドなどがこうした高い定性評価を受けているファンドが有望な選択肢となりそうだ。

(江黒 博樹)

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