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第5部 IR説明会「世界を目指すソフトウェア企業その今と戦略」

 1998年に設立、組織を越えたコンピューティングを実現するソフトウェアを開発し、世界規模で展開することを目標に事業を展開する。セミナ−では代表取締役社長CEO(最高経営責任者)兼CPO(最高商品企画責任者)の平野洋一郎氏が「世界を目指すソフトウェア企業その今と戦略」と題し、同社の特徴や主力製品、今後の展望について語った。

 同社の大きな特徴は、国内では数が少ない受託ゼロのソフトウェア開発会社という点。日本のソフトウェア会社の多くは顧客から注文を受け、ソフトウェアの受託開発を行っており、そのソフトウェアは他社で使用することができない。これまで日本の会社が開発したソフトウェアが世界中で使われた例は1つもないという。一方、同社は、「注文書が来ないのにソフトウェアを開発」(平野社長)をしており、これは米国大手のオラクルやマイクロソフト、グーグル、セールスフォースと同じビジネスモデル。「1つも売れなかったソフトもある」(平野社長)というケースもあるが、同じ製品を地球上あらゆるところで販売できるため利益率が高くその恩恵は大きい。

 同社主力製品の1つが企業のシステムとシステムをつなぐ「ASTERIA(アステリア)」。これはギリシャ神話の女神で「星座」を意味し、平野社長によれば、「システム1つ1つを星座に見立てて、それがつながることで新しい価値が生まれるという思いを込めた」という。例えば営業管理システムがつながることで、すべてPC上で処理を完結させることが可能となり、入力や印刷などの手間を省くことが出来る。アステリアは異なるPC間のデータをつなぎ、やり取りを円滑にする通訳のような役割をするという。導入社数は4,633社(14年9月末時点)となり、企業データ連携市場で8年連続NO.1のシェアを獲得しているヒット商品だ。

 もう1つの主力製品が次世代のソフトウェアと呼ばれる「Handbook(ハンドブック)」。企業内外のコンテンツをクラウド経由で安全に配信し、タブレットやスマートデバイスなどの携帯端末で閲覧が可能だ。情報の送信ならばメール等でも可能だが、企業の取り扱う情報は機密性が高いことからセキュリティは重要な問題。「Handbook」を使えば、情報の取り出しや転送が出来ないなど、高いセキュリティを保てるという。次世代のソフトウェアと呼ばれる要因は、まだ企業の2割程度しかこうした携帯端末を導入していないため。14年9月末の累計契約数は736件で、モバイルコンテンツ管理(MCM)では3年連続市場シェアNO.1。平野社長は「順調に伸びてはいるが、タブレット端末の普及は想定より遅い。ただ、今後の拡大は時間の問題だろう」とその成長性について解説した。

 「Handbook」の利用例として、例えば、証券会社大手の野村証券では、8,000人の営業員がタブレット端末を活用しているという。重い紙のカタログ資料が軽いタブレットに変わった他、端末にはすべてのデータが入っているため急に資料が必要となっても対応が可能だ。また、ロンドンオリンピックでは、敵チームの分析にiPad(アイパッド)と「Handbook」の組み合わせが使われたという。

 直近の15年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比9.8%減と減少した。ライセンス売上が前年同期好調の反動などで下落したことが要因。サポートとサービスは堅調だった。利益面では販売管理費を前年同期比1.9%増と微増にとどめた一方、海外拠点整備などの投資がかさみ、前年同期からは利益が大幅に減少した。また、純利益は海外への投資が増加する中で、単体(日本)にかかる法人税等が重しとなった。 財務面では自己資本比率8割以上を誇るが、これは今後、人やモノ、M&A(企業の合併・買収)など積極的な投資に耐えられる健全な財務体質を維持しているため。「ライバルが多く進化のスピードが早い業界で、世界の競合と戦うためには積極的な投資は欠かせない。現金が多いのはそのための軍資金」(平野社長)だという。

 平野社長は今後の成長の方向性について「NEO」という名前を挙げている。Eは企業をつなぐエンタープライズ事業。これは「アステリア」が中心。Nは人をつなぐネットサービス事業の意味で、中心となるのは人の手前まで情報を持っていく「Handbook」。Oは世界(オーバーシーズ)を指し、2つの主力製品で世界をつないでいくという意味。その中で特にデバイス、クラウド、グローバル展開の流れを重視して投資対象を絞り込んでいくという。平野社長は、「受託ではない製品開発は世の中が必要とするものや求める流れに乗ることが重要。今後はクラウドやデバイスといった分野が中心となる他、企業ITは代替できないデータ中心となるだろう。データ活用やデータ管理に集約されるようになる。こうした分野を中心に投資を行っていく」とした。

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