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バンガード×モーニングスター特別インタビューバンガード×モーニングスター特別インタビュー

インデックスファンドでトップシェアを誇る世界最大規模の投信会社、バンガードのインターナショナル部門 マネージング・ディレクターのジェームス ノリス氏がこのほど来日し、モーニングスターのインタビューに応じた。バンガードが世界中で支持を集める理由、今後の日本でのビジネス展開などについて聞いた。

世界の投資市場を席巻するバンガード

1年間で約2,145億ドルの純資金流入、投資家の支持を集める理由は

――バンガードの2014年の純資金流入額は約2,145億ドルと全世界の投信市場でトップであった。投資家に支持されている理由を聞きたい。

支持を集める理由は3つあり、1つ目はユニークな会社の構造によるものだ。バンガードという会社はバンガードのファンドによって所有されており、バンガードの商品を保有する投資家は、間接的にバンガードの株主となる。一般的な資産運用会社であれば、株主の利益と投資家の利益は時に相反することもあるが、バンガードの場合、株主=投資家であるため、常に投資家の利益を追求することできる。投資家を大切にし、常に投資家の利益のためにサービスを展開するというバンガードの方針が支持されており、安定した資金流入を維持できていると考えている。

2つ目は、低コストであること。コストが運用成績に与える大きな影響について投資家の理解が深まったことから、低コスト商品に注目が集まっていると考えている。

3つ目は、非上場であり、外部株主からの圧力がない点だ。ファンドを通じ、間接的にバンガードの株主である投資家の方だけを向いて、長期的な視点で運用に取り組み、商品・サービスを提供していることが投資家から支持されていると考えている。

――なぜ今、インデックスファンドが注目されるのか?

1つ目は、最近のマーケットは、アクティブファンドはベンチマークを上回る成績を残すことが困難であり、特にこの5年間はその傾向が顕著だったことだ。

2つ目は、ディストリビューター(販売会社等)の変化によるものだ。米国では10年ほど前まで、インデックスファンドは証券会社や銀行、フィナンシャルアドバイザーにとって、手数料収入に結びつかないと避けられていた。しかし、その後『Commission base(販売額に対する手数料)』から、『Fee base(預かり資産残高に対する手数料)』により収益を得るという大きなトレンドの変化が起き、ETFなどのインデックスファンドに注目が集まっている。このトレンドは世界で広がりつつあるが、残念ながら日本ではまだのようだ。

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米国ETF市場、バンガードのシェアは全米2位に拡大

――2015年1月にバンガードはステートストリートを抜き、米国ETFの純資産総額で第2位に浮上した。現在、バンガードのETFは約4,300億ドルの残高を誇り、シェアも約22%と存在感が増している。シェア拡大の背景は?

最大の理由は、低コストで投資しやすい商品を提供してきたことだ。その結果、ETF自体が低コストの運用商品と認知されるようになった。また、「あのバンガードが扱っている商品だから」とフィナンシャルアドバイザーは安心感を持って投資家に勧めることができた。

――米国ではどのようなETFが人気を集めているか?

新興国やS&P500指数、米国株に幅広く投資ができるETFなど、個人投資家、機関投資家のどちらもがポートフォリオに組み入れやすいものが人気を博している。

日本、世界でのビジネス展開

日本でのビジネス展開、東証への上場予定は?

――2月10日には、新たに米国籍バンガードETF50本が日本の個人投資家向けに販売が開始されたが、東証へのETFの上場を含めて、今後の日本におけるビジネス展開をどう考えるか。

日本では、セゾン投信、SBI証券、マネックス証券、楽天証券などのパートナーを通じて、個人投資家へのサービス展開に注力している。今後も、既存のパートナーとの関係を強化し、もしくは新たなパートナーを通じてサービスを広げていくつもりだ。東証への上場は現時点では考えていないが、将来的にも検討しないというわけではない。

――日本以外の海外で注力する国は?

現在、海外部門は年率25%以上の成長を遂げており、地域ごとに異なる戦略をとっている。北米のカナダでは、個人投資家へのサービスに注力しており、カナダやアメリカへ投資するETFが投資家の人気がある。欧州でも拠点があるイギリスだけでなく、オランダでも個人投資家向けが中心だ。一方、その他の欧州の地域では、年金基金などの機関投資家にアイルランド籍ETFを中心に展開している。中南米のチリ、コロンビア、ペルー、メキシコなどでも、機関投資家向けが中心だ。

忘れてならないがアジア・オセアニアのマーケットだ。現在600億ドル以上の規模に成長しており、シンガポール、香港に加え、昨年には北京にも事務所を開設した。現在は、機関投資家向けのサービスが中心だ。オーストラリアについても同じく600億ドル以上の規模に成長しており、実は米国の次に歴史がある。既にバンガードのビジネスが確立されており、個人投資家向け、確定拠出年金向けのサービスを提供している。

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バンガード インターナショナル部門
マネージング・ディレクター

ジェームス ノリス氏

海外部門全体で2,500億ドル以上の規模あるが、成長の要因は様々で、ある国では個人投資家向け、ある国では機関投資家向けと戦略を柔軟に変え、ミックスすることで様々なマーケットに対応していく。バンガードは商品販売のために、販売会社に対して手数料を支払わないおそらく唯一の運用会社であり、運用業界に限らずこうしたビジネスモデルは当初は受けいれられにくい。そのため、新しいマーケットに参入するときは、既存のマーケットを揺らすようなアイデアを持っていかなければいけない。規制当局への働きかけや、現地のパートナーに新しいアイデアを理解してもらうことも重要だ。

インデックス最大手バンガードが語る「スマートベータ」について

――スマートベータに関心が集まっているが、どのようにみているか?

スマートベータとは、過去のデータを検証することで法則性を見つけ、その法則性が将来にわたって持続することを前提としている。しかし、将来にわたって法則性が持続し良好なパフォーマンスを維持できるかはこれから判明することだ。ただし、バンガードの調査でも、『ローボラティリティ』や『モメンタム』、『小型バリュー』などは持続性があると予想され、将来にわたってもアウトパフォームする可能性が高いとみている。

バンガードではスマートベータという区分は重要視しておらず、シンプルに時価総額加重の指標がインデックスであり、それ以外は全てアクティブであると考えている。個人的には、スマートベータはネーミングが良くないと思う。そもそも「ベータ」(市場感応度)ではないし、それ以外のベータがスマートでないように聞こえてしまう。スマートベータと呼ばれるものの中には、優れたものとそうでないものがあり、定義をはっきりさせる必要があるだろう。

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顧客が欲する商品と顧客に有益な商品は必ずしも一致しない。インデックスファンドが出始めた10年間はほとんど売れなかったように、顧客が自身にとって真に有益なものを理解するには時間が必要だ。そうだとしても、バンガードは顧客に真に有益な商品を提供し続けていくことが重要だと考えている。

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