米国株式・ETFセミナー採録「2016年 米国投資のはじめ方」米国株式・ETFセミナー採録「2016年 米国投資のはじめ方」

第2部 パネルディスカッション

「米国ETFではじめる米国株投資」

  • (パネリスト):ウィズダムツリー・ジャパン株式会社 ETFストラテジスト 渡邊 雅史氏
  • :バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社
    セールス・マーケティング部 マネージング・ディレクター 小林 賢氏
  • モーニングスター 代表取締役社長 
    朝倉智也

ETFを使って米国株に投資する方法について、代表的なETF提供会社であるウィズダムツリー・ジャパン ETFストラテジストの渡邊雅史氏と、バンガード・インベストメンツ・ジャパン セールス・マーケティング部マネージング・ディレクターの小林賢氏が、互いのアイデアをぶつけ合うパネルディスカッションを行った。コーディネーターは、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也が務めた。

朝倉:
米国ETFの純資金流入額は、2015年に約2500億ドル(27〜8兆円)。大きな資金が入っている。現在、世界のETFの運用資産残高は約3兆ドルだが、5年後には5兆ドルになるといわれている。このETF市場の拡大に、「アクティブからパッシブへ」という資産運用の流れが続いていることがわかる。
2015年の米国籍ETF資金流入のランキングを個別銘柄でみると、トップはウィズダムツリーの「WisdomTree ヨーロッパ・ヘッジド・エクイティ・ファンド(ティッカー:HEDJ)」、バンガードは2位に「バンガード・S&P500ETF(VOO)」、7位に「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」、9位に「バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA)」がランクインしている。
本日は、昨年の資金流入額で1位のETFを運用しているウィズダムツリー社と、会社別で第1位の資金流入額になったバンガード社が登壇し、ETFの魅力について語り合ってもらう。まずは、両社の簡単な紹介から。
渡邊 雅史氏

ウィズダムツリー・ジャパン
ETFストラテジスト

渡邊 雅史

小林氏:
バンガードの運用資産は右肩上がりで伸び続け、2015年末に3.4兆ドル(約411兆円)の規模になった。この間、2003年の投信スキャンダル、2008年に発覚したマドフ事件、リーマンショックといった危機を乗り越えてきた。リーマンショック時には運用資産が約100兆円だったが、この8年で4倍に拡大した。
バンガードは、一般的な投信会社と形態が異なっている。バンガードが運用するファンドがバンガードの株主であり、投資家は間接的にバンガードの株主になっている。外部の株主が存在せず、全ての利益を株主である投資家にお返しするという考え方で経営を行っている。この仕組みは、運用会社ではバンガードだけが採っている会社構造だ。
また、バンガードETFは、既存のインデックスファンドの1つのシェアクラスとして運用する仕組みを導入している。単独でETFを運用することと比較して、初期費用削減やスケールメリットによる固定費の削減、取引コストの最小化など、運用費用を大幅に削減することができる。このスキームは、バンガードが特許を持っている。
朝倉:
バンガード社についてはご存知の方が多いと思う。昨年1年間で約43兆円の資金流入が米国ETFにあったが、その流入額の7割がバンガードだった。
渡辺氏:
ウィズダムツリーはETFに特化した会社で、2006年に最初のETFの運用を開始した。通常のETFプロバイダーは、S&P500など既存のインデックスに連動するETFを提供しているが、ウィズダムツリーは自らの投資アイデアを具体化したインデックスを開発し、そのインデックスに連動するETFを組成するというユニークな会社だ。現在、米国で5位のETF運用資産を有し、NASDAQに上場している。
たとえば、一般的に時価総額加重平均を採用しているインデックスが多いが、ウィズダムツリーでは時価総額ではない独自の基準でウェイトを決定するインデックスを作っている。時価総額加重平均には、買われ過ぎの銘柄をオーバーウェイトにし、売られ過ぎの割安銘柄をアンダーウエイトしてしまうという問題点がある。これに対して、配当や収益などを基準にして独自にウェイトを決めると、時価総額加重とは異なる価値を提供できる。
朝倉:
ウィズダムツリーという会社を知らない方も多いと思うが、米モーニングスターのレーティングは高く、スマートベータのパイオニアとして米国ではかなり注目されている会社だ。
ここで両社から注目のETFを3本紹介してもらう。
小林 賢氏

バンガード・インベストメンツ・ジャパン
セールス・マーケティング部
マネージング・ディレクター

小林 賢

渡辺氏:
「WisdomTree ハイ・ディビデンド・ファンド(ティッカー:DHS)」は、高配当のランキング上位30%のアメリカ株に投資するETF。時価総額ではなく配当額を基準にウェイトを決めている。時価総額順位でランキングすると、アルファベット(グーグル)、アマゾン、バークシャー・ハサウェイ、フェイスブックがベスト10に入るが、これらは配当を出していない。株主の果実として配当は重要なので、配当額で加重すると、時価総額加重とは異なる比率になる。アップルは2012年から配当を出し始めた。
「WisdomTree エマージング・マーケッツ・ハイ・ディビデンド・ファンド(DEM)」は、同じ手法をエマージングで行う。2016年にはエマージングが再注目され、このETFへの資金流入も目立っている。
「WisdomTree ヨーロッパ・ヘッジド・エクイティ・ファンド(HEDJ)」は、米ドルに対するユーロをヘッジすることで、ユーロの変動を抑制して現地株の値上がりのみをとりにいく。ユーロ安の時には、欧州株が値上がりする傾向が強い。現地通貨安による目減りを気にする必要がないと、昨年は資金流入が続いた。
小林氏:
「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」は、新興国・先進国、大・中・小型の全てを含む全世界の株式の98%以上をカバーするETF。この1本で、世界の7400銘柄に投資し、しかも、運用コストは年0.14%だ。1本だけで、世界の成長がとれる。
「バンガード・S&P500ETF(VOO)」は残高が20兆円あり、年0.05%の運用コストで提供している。かのウォーレン・バフェットが、「S&P500に90%投資し、残りは米国短期債券で良い」と言ったほど、S&P500はパワフルなインデックスだ。
「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)」は、新興国株に投資するETF。一般投資家が投資できない中国A株や小型株など3500銘柄に投資している。新興国への投資は、3年から5年で投資すると良い。
朝倉:
次に実践編として、両社のETFを使ったポートフォリオを作ってもらった。
朝倉 智也

モーニングスター 代表取締役社長
朝倉 智也

小林氏:
「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」は、世界の7500銘柄に分散投資できるETFと紹介したが、このパイチャートと同様の配分を、3つのETFを組み合わせて作ることができる。具体的には、「北米株(VTI)」を56.4%、先進国(除く米国)株(VEA)」を35.5%、「新興国株(VWO)」を8.1%という比率だ。この組み合わせによって、運用コスト年0.072%で約1万1000銘柄に分散投資するポートフォリオが作れる。VTがコスト年0.14%で7500銘柄に投資することより、低コストで分散が効く。ETFはほとんどが現地取引所で個別銘柄の売買をしているので、きめ細かなポートフォリオになる。
また、プロの間で有効的といわれている集中投資を取り入れ、個別銘柄で日本株や米国株を保有した上で、先ほどの米国株(VOO)と先進国株(VEA)、新興国株(VWO)のETFを組み合わせるというポートフォリオもある。市場全体にストレスがかかった時に、集中投資の個別銘柄にはヘッジの役割も期待できる。
プロのポートフォリオマネージャーでも、市場平均を上回ることは難しい。市場全体を買って分散する方法をおススメしたい。
渡辺氏:
グローバルな株式の時価総額ウェイトと同等のウェイトで、高配当の銘柄に投資するポートフォリオを考えた。北米株に投資する「WisdomTree ハイ・ディビデンド・ファンド(ティッカー:DHS)」を55%、欧州株の「WisdomTree ヨーロッパ・ヘッジド・エクイティ・ファンド(HEDJ)」を25%、日本株の「WisdomTree ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド(DXJ)」10%、そして、新興国株の「WisdomTree エマージング・マーケッツ・ハイ・ディビデンド・ファンド(DEM)」を10%という組み合わせだ。
長い目で見てドル高の基調は意識する必要があるため、欧州と日本への投資は通貨ヘッジをする。そして、なるべくインカムを取れるポートフォリオにした。新興国株ETF(DEM)の昨年末で配当利回り7%程度を取り入れたことで、一般のグローバル株ポートフォリオの配当利回りが2.60%に対し、高配当株ETFの組み合わせは4.07%にまで引き上げることができる。
朝倉:
最後に各社から投資家の皆さまへのメッセージを。
渡辺氏:
ウィズダムツリーは、日本オフィスを2015年8月に開設し、今年2月に金商業の登録を完了したばかり。これから日本の皆さまにソリューションを提案していきたい。現在、日本国内で投資できる金融庁届出済みのETFは17銘柄だが、米国には数多くある。これからにご期待いただきたい。
小林氏:
日本ではジャスダックとマザーズの合計で時価総額が約10兆円だが、米国のナスダックは1000兆円の規模。これくらい次の世代の企業の厚みに違いがある。米国ではエンジェル、ベンチャーキャピタルなどアーリーステージから支えていく体制が整っている。そこから出てきた企業群で構成されるS&P500は、大変力強いインデックスといえる。年0.05%という低コストで提供しているバンガードのETFを活用していただきたい。
セミナー風景

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