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第一部 基調講演

『iDeCo』で自分年金をつくる

  • モーニングスター株式会社
    代表取締役社長 
    朝倉 智也

 iDeCoについて、その制度の特徴やメリットを知ることは大事なことだが、より重要なことは、iDeCoでどのようなファンドを買うのか、どのようにiDeCoを活用していくのかということだと思う。車のエンジンの構造がわからなくても運転ができれば良い。本日のセミナーは、iDeCoをいかに活用していくかということを中心に話したい。

今、なぜiDeCoなのか?

 まずは、なぜiDeCoなのか? 人的資本と金融資産という考え方があるが、若い時には稼ぐ力、すなわち、人的資本が多い。年を取るにつれて人的資本は少なくなる。将来の生活を不安なく過ごすためにも、若い間から、金融資産をコツコツと積み上げていく必要がある。iDeCoはその積み上げる手段の1つになる。

 さて、年金・医療・介護といった社会保障について、保険料等の負担と自分に還元される金額を世代間で比較した表があるが、それによると、1965年生まれから後の世代は、自分が支払った金額よりも受け取る額がマイナスになってくる。これは若い世代ほど、マイナス額が大きくなるので、よほど意識して自分で金融資産を積み立てていかなければならないということになる。

 ところが、現在の環境は金利が大幅に低下している。1990年に郵便貯金金利は6.33%だった。100万円を3年間貯金すると利息が20万円あった。現在は金利が0.01%なので、3年間で300円の利息しかない。10年国債を10年間保有した場合、90年だと国債金利が6.799%なのでほぼ倍に増えた。現在では個人向け国債が0.05%なので10年でも5,000円だ。運用が必要な時代になっている。

図表1:大幅に低下した貯金と国債の金利

図表1:大幅に低下した貯金と国債の金利
  • ※ 出所:日本銀行調査統計局「金融経済統計月報」、2016年12月末の金利はモーニングスター調べ
  • ※ 利息は税込

 日本の状況をみてみると、金利は10年国債利回りをゼロ%程度に固定するイールドカーブコントロールが行われているので、金利は動かない。消費者物価指数はジワジワ上がっている。円安・原油高がインフレを押し上げることにつながる。金利がゼロでインフレになると、実質的な金利はマイナスになる。金利では、お金が減価するという状況だ。また、賃金上昇率もインフレ率を超えるほどには上がっていないので、実質賃金もマイナスになっている。このような目減りに対抗するためには、投資が必要になる。

iDeCoとNISAの使い分けもポイント

 iDeCoには3つの税制優遇策が取られていることは、良く知られるようになってきた。掛金の拠出時、運用時、そして、受取時と3段階で税制優遇のある、非常に有利な制度になっている。また、人によって拠出額に上限が決まっているというのも特徴だ。毎月5,000円からスタートできる。

 NISA(少額投資非課税制度)と比較すると、NISAは5年という比較的短い期間の運用で運用益非課税というメリットがあることに対し、iDeCoはロングタームで運用する制度という特徴がある。ロングタームという点では、2018年1月からスタートする積立NISAと似ている。ただ、iDeCoだけが、口座管理手数料がかかるというデメリットがある。そして、iDeCoは運営管理機関が揃えた銘柄のみでしか運用できないので、運営管理機関を選ぶことが大事になる。

対談用写真

モーニングスター株式会社
代表取締役社長

朝倉 智也

 税制優遇のNISAやiDeCoをどのように使い分けるかという点では、「投資目標」や「投資期間」がポイントになる。10年以上の中長期の投資資産であれば、iDeCoや積立NISA、5年程度であればNISA、日々の生活費や緊急時の予備費の運用は預貯金や一般の口座という区分ができる。

図表2:投資目標や投資期間に応じて、運用資産を振り分ける

図表2:投資目標や投資期間に応じて、運用資産を振り分ける

「分散」と「中・長期」、「積立」が資産運用の基本

 IMFが発表している世界経済の成長予測でみると、米国は強いが、その他の国は不安定になっている。欧州ではいくつもの重要な選挙がある。そして、新興国でも中国が経済成長が一段と減速すると見通され、インドも高額紙幣廃止の影響から経済成長が鈍化するという予想になっている。メキシコなど米国と強い貿易上のつながりがある国は、米国の保護主義的な政策によって厳しい状況に置かれるとみられている。

 一方、株価の動きをみてみると、2016年はロシアやブラジルの株価も最も大きく値上がりした。昨年の年初には、米国が利上げを行ったことで新興国から資金が引き上げられる懸念があり、原油安等で資源国であるロシアやブラジルは厳しいといわれていたにもかかわらず、終わってみれば、ロシア株は50%以上値上がりした。為替も、ルーブル高、ブラジル・レアル高が進んだ関係で、日本から投資した場合、ロシア株であれば70%程度、ブラジル株は50%程度の値上がり益を得ることができた。何が起こるのか分からないというのが市場だ。

 ただ、中・長期的な運用を考えた場合は、新興国の高い成長率は重要だと思う。長い目で見ると、新興国への投資は重要な意味があると考える。

 また、何に投資するかという点では、国内株式や債券、先進国や新興国の株式や債券、そして、リートなどの資産別年次リターンを振り返ると、毎年、パフォーマンスの良し悪しは変化し、次に何が値上がりするのか予測することは非常に難しいことがわかる。何が上がるのか分からないから、全てに投資するという、分散投資が大事になる。

 そして、投資期間を長く取ることも重要だ。たとえば、国内株20%、先進国株50%、新興国株30%のポートフォリオで運用して、5年間保有したとする。1993年12月から2016年6月まで約23年間で総月数は214月あるが、うち、マイナスになったのは59月あった。5年保有リターンの平均は5.94%だった。これを15年間保有すると、総月数94月で、マイナスになったことはなかった。15年保有の平均リターンは年率4.72%だった。長期に保有すると株式100%の運用でもマイナスにならないという結果になった。これは一括投資の事例だが、毎月の積立投資にすると、もっと有効な結果が期待できる。

 一定額で積立を行うということは、価格が下がった段階で、より多くを買うことができるということだ。一括で投資すると価格の変動が気になるが、積立投資をすると価格が安くなると、より多く買えるのでむしろ喜ぶ。価格変動を気にしない、おだやかな投資が実行できる。

 たとえば、リーマン・ショック前の2007年6月の高値でTOPIX(東証株価指数)を買ったとすると、2016年12月末で9年7カ月間が経過しているが、一括投資の場合は、未だに14.4%のマイナスの成績になっている。ところが、この間、毎月1万円ずつを積立投資していた場合は、44.4%のプラスになっている。価格が安くなった段階で多くを買っていることの効果は、少しの株価上昇でもプラスのリターンにつながるものだ。

図表3:定額投資の魅力

図表3:定額投資の魅力

後悔しない金融機関の選び方

 金融機関選びのポイントは、まずは、口座管理手数料。金融機関によっては無料にしているところから、毎月500円程度をとることころまで様々。この手数料は、一律で国民年金基金連合会が取っている103円と、信託銀行の64円があるため、無料といっているところでも、毎月167円はかかっている。そこに上乗せされるので、できるだけ低い手数料のところを選びたい。

 そして、品揃えがある。金融機関によっては10本程度のところから、60本を超えるSBI証券まで、さまざまだ。これに関しては、数は多い方が良いと思う。たとえば、最初はバランス型や日本株などのインデックスファンドで運用を開始したとしても、慣れてくると、新興国やリート(不動産投信)、あるいは、金やコモディティなども加えたいと考えるようになるかもしれない。その時に選択肢がないなど困ることがない方が良い。また、品揃えでは、個別ファンドの運用コストである信託報酬も低く抑えられているかどうかを確認したい。さらに、投資情報や運用ツールなどが充実しているかということも選定ポイントになる。

 具体的に、どのようなポートフォリオで運用した方が良いか? 私は、50歳までの方であれば10年以上の運用期間があるので、株式100%のポートフォリオでも良いと考えている。もちろん、株式は国内株式や先進国、新興国などに分散した方が望ましい。そして、50歳を超えてくると、債券を加えるようにして安定的に運用するようにしたい。まずは、インデックスファンドを使って、できるだけ市場全体を保有するようなポートフォリオを作りたい。そして、慣れてきたら、アクティブファンドなども加えて、収益の上乗せを考えることも方法。アクティブファンドを選ぶ時には、インデックスファンドの組み入れ銘柄とは異なる銘柄で運用しているファンドを選びたい。

図表4:iDeCoの最適な運用ポートフォリオ

図表4:iDeCoの最適な運用ポートフォリオ

 このようなポートフォリオの変更が面倒な場合は、ポートフォリオの組み替えを自動的にやってくれる「ターゲットイヤーファンド」も選択肢になる。

 最後に長期運用で大事なことは、年に1回でも運用の状況について確認することだ。市場は動いているため、たとえば、株式等が値上がりした場合、株式への配分比率が高いポートフォリオに変わってしまっている場合がある。その際には、配分比率をもとに戻すリバランスをすることも大事だ。

 投資の王道は、長期・積立・分散。iDeCoを使って、毎月の掛金を、分散投資し、長期に運用することで老後の資金に備えていただきたい。

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