モーニングスターETFカンファレンス2016採録モーニングスターETFカンファレンス2016採録

特別講演 株式会社GCIアセット・マネジメント

GCIエンダウメントファンド(成長型/安定型)
〜ヘッジファンド運用会社がバランス型公募投信を運用する理由〜

  • 株式会社GCIアセット・マネジメント
    代表取締役CEO
    山内 英貴氏

GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏は、モーニングスターカンファレンス2017で「GCIエンダウメントファンド(成長型/安定型)〜ヘッジファンド運用会社がバランス型公募投信を運用する理由〜」をテーマに講演した。講演の要旨は以下のとおり。

長期で優れた成績をおさめるエンダウメント

 GCIアセット・マネジメントは、社名こそアルファベットだが、日本の運用会社。スパークスグループ、さわかみ投信などと同じように、独立系の運用会社だ。営業開始は2000年で、内外の機関投資家から資金を受託してヘッジファンドの運用をやってきた。2015年9月に投信ビジネスに参入し、従来は機関投資家に対して提供されてきたヘッジファンド戦略を個人投資家の方々に提供している。

 エンダウメント(Endowment)は、主にアメリカの大手の大学が運用している基金、財団のことを指す。世界のカリスマ投資家としてウォーレン・バフェット氏、あるいは、ジョージ・ソロス氏が有名だが、金融業界で長く注目されて尊敬を集めているのが、米国のエンダウメントだ。

 ハーバード大学やイェール大学は基金を設立し、3〜4兆円の資産を運用している。日本では、大学の資金運用として一番運用規模が大きいといわれても3,000億円〜4,000億円とされ、米国の10分の1程度。今後、国立大学でも今年4月から資産運用ができるようになるので、日本での注目度も高まるだろう。エンダウメントの特徴は、最低で10年以上といったような半永久的な資産運用をし、時間軸が長いことだ。

 実際の運用実績は、リーマン危機を挟んだ過去10年間で、米国株式が累積リターン163%だったところ、エンダウメントの成績はそれを大きく上回り、イェール大学は米国株を100%上回る成績をおさめている。長期で一貫した運用によって素晴らしい成績をおさめている。

 運用の実際は、徹底した分散だ。特に2000年代以降、世界的に金利が低下し、世界的に債券で利回りが得られなくなった中で、オルタナティブ運用を増やしている。オルタナティブは、株式・債券などの伝統的資産に対する代替的な資産のことだが、本来は代替のはずのオルタナティブが、大手エンダウメントでは半分以上を占めている。

図表1:エンダウメントとは

図表1:エンダウメントとは

伝統的な株式や債券に代わるオルタナティブを個人の資産運用に

 オルタナティブとは投資の王道である債券や株式など市場のある有価証券を安く買って、高く売ることで収益をあげる。あるいは、買って保有することによって金利収入などをえるインカムゲインを得る。まず、買いから入ることが基本だ。

 買って・売る、買って・持ち続けることとは違って、オルタナティブは、売りから入ることもある。値下がりしそうな時に売って・買い戻すこともやって収益を稼ぐ。また、オルタナティブな資産、市場性の低い資産も投資対象に含まれる。例えば、未公開企業の株式や貸し付け、商品、森林、農園などの実物資産だ。また、発展途上国の飛行場や港湾施設などのインフラも含まれる。一般に投資の回収までに時間がかかるため、大きな機関投資家は一部で取り上げているが、個人投資家が取り入れるのは難しいとされてきた。

対談用写真

株式会社GCIアセット・マネジメント
代表取締役CEO

山内 英貴氏

 近年ではオルタナティブな手法=ヘッジファンドは、流動性の問題を解決して米国のミューチュアルファンドではオルタナティブ投資が広がっている。

 実際に金融危機以降の運用業界の勢力図を見ると、アクティブの存在感が圧倒的に大きいが、近年はパッシブ運用に押されている。また、アクティブ運用は市場のベンチマークをアウトパフォームするものの、ベンチマークのないヘッジファンドがアクティブ運用のニーズの一部を奪っている状況だ。

GCIはインハウスでオルタナティブ運用を提供する

 GCIはエンダウメントが採用している長期運用戦略を公募投信の形で提供している。大学は寄付金を運用しているため返済する必要がなく、半永久的に運用し続けることが前提になっている。長期の視点で運用している。これは、家計と同じだ。若い世代は20年〜40年という期間で運用をしていく。また、シニア世代も長い人生の中で、10年〜20年の期間で運用していくことができる。

 ファンドのコンセプトは四つ。まず、「長期」。10年超の時間軸で考え、株式主体で運用する「成長型」は年率リスク8%くらい。「安定型」はリスク5%程度に抑えたもの。

 二つめは「分散」。伝統的な資産分散と比較して、より伝統資産と相関の低い資産を入れることでリスクを下げている。三つめ、その分散をするために「オルタナティブ」を活用していること。そして、コストは極力安くしている。

 オルタナティブで使っているものは、市場との相関の低い運用戦略だ。市場が厳しい時に、連れて価格下落せずにふんばれるもの。そして、インハウス運用の戦略を採用している。日本では、ヘッジファンドが少なく、機関投資家もほとんどが欧米のヘッジファンドに投資している。複雑になればなるほど、プロに任せると運用の内容が見えなくなる。そうすると、2008年のような状況になると、中身がわからず不安になって損切りしてしまうという最悪の結果になる。

 例えば、当社のインハウス運用の一つは、大学の博士課程の卒業論文を基にしてプログラムを作って運用している。100%モデルが判断している。2014年〜15年の量的緩和時には、経験豊かな運用者は、あまりの値上がりで、途中で益出しをして債券を買えなかったが、債券を保有し続け大きなプラスになった。また、昨年1−2月の人民元不安とマイナス金利の乱高下、6月のBrexit(英国のEU離脱決定)でも大きなリターンを得た。人間の判断を加えないモデル運用だからこそ、このような相場の変動時にも対応できた。これをポートフォリオの一部に入れておくと、リスクを低減できる。

 GCIエンダウメントファンドの特徴の一つは、インハウスで運用するヘッジファンドを入れ、伝統的資産はETFを利用することによって、運用の中身を理解できること、かつ、総コストが安いこと。為替リスクはヘッジしている。

 設定来1年3カ月の運用実績は、2016年1月−2月、6月などの市場の急変時に踏みとどまっている。市場の動きに対し基準価額のブレが抑えられているところに注目してほしい。取っているリスクに対し、相対的にリターンを稼げる。

 為替ヘッジコストはもったいないといわれるが、より効率的、安定的な長期運用をするためにはドル円はヘッジした方が良いと考えている。

 個人投資家にとってエンダウメントは手本になる。オルタナティブを活用して、より分散することが重要だ。トランプ政権になって、市場は荒れることが予想される。リスクの予測は難しいが、分散がカギになる。エンダウメントのやり方は、分散することによって何がおこってもある程度対応できる戦略だ。選択肢としてご検討いただけると思っている。

図表2:GCIエンダウメントファンドと他社ファンドとの比較

図表:GCIエンダウメントファンドと他社ファンドとの比較
  • ※ グラフはモーニングスターのアクティブ型バランスファンド(安定/安定成長型)に属する、純資産総額上位10ファンドの指数化した平均基準価額と、GCIエンダウメントファンド(成長型/安定型)の基準価額推移を表したもの。上二図は、楽天証券における取扱いファンドのうち、GCIエンダウメントファンド(成長型)の属する「バランス(固定配分・中リスク)−為替リスク低減」(15ファンド)及びGCIエンダウメントファンド(安定型)の属する「バランス(固定配分・低リスク)−為替リスク低減」(11ファンド)カテゴリーにおけるファンドの中から設定来基準価額騰落率上位4ファンドを抽出し、GCIエンダウメントファンド(成長型/安定型)のデータと比較したもの。期間:2015年9月25日から2016年12月16日まで。年率リターン・標準偏差・下方偏差は1年を250日として計算。

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