投資信託にはできない海外ETFの活用術とは?
~配当で考えるウィズダムツリーの米国株投資~

ウィズダムツリーは、2006年6月に初のETFを設定し、
ファンダメンタルETFの分野では業界リーダーといえる存在だ。
同社のETF ストラテジスト、渡邊雅史氏(以下、渡邊氏)に、
投資信託にないETFの魅力や、長期運用戦略としてのETFの活用術などを聞いた。


SPECIAL INTERVIEW

渡邊雅史氏(ウィズダムツリー・ジャパン株式会社 ETFストラテジスト)×朝倉智也(モーニングスター株式会社 代表取締役社長

ウィズダムツリーの特徴的な
運用戦略とは

朝倉:ETFは、長期投資戦略を考える中で、他の金融商品と比較して、さまざまなメリットが注目されていますが、長期投資戦略においては、時価総額加重での運用がもっとも効率的であるという考え方があります。その中で御社は異なる見解から、より賢い運用すなわちスマートベータといわれるような手法を採用する非常に特徴的な運用会社ですが、まずは御社の運用戦略についてお聞かせいただけますでしょうか。

渡邊氏:大きく3つのポイントがあると思います。
まず、いま朝倉さんが仰ったように、我々は市場は必ずしも効率的ではないという意見を持っています。そういったうえでいうと、時価総額で株をウエイト付けすることは、基本的に割高な株を多く持って割安な株を少なくもってしまうということになります。我々は、そういったやり方ではなく、よりファンダメンタルズといわれる企業の本源的な価値に注目した運用すべきという考え方を持っています。

2つ目のポイントとして、それをどう運用するのかというところですが、我々は実は独自のインデックスを作成しています。世界には様々なETFがありますが、ほとんどのものは第三者のインデックスを使って、それに連動するという形になっていますが、我々は我々独自のアイデアをインデックスにしていることが特徴です。

3つ目のポイントは、なによりも我々がETFに特化しているということです。これはやはり投資信託に比べて、ETFのほうがより効率的な資産運用が実現できるツールであることを我々が確信しているからです。

ウィズダムツリーの哲学

朝倉:今仰いましたように独自に開発したインデックスをもとに、その指数に連動するETFを提供されていることは、非常に特徴的であり、なおかつETFに特化した運用会社という意味では唯一無二といっていいほどの特徴的な運用会社であるかと思います。

それでは具体的に御社の商品を是非ご紹介いただけますでしょうか。


ウィズダムツリーが生み出す独自のETF

渡邊氏:我々が独自のインデックスを作る場合に、どういった観点に注目するかということが大きなポイントだと思います。我々が2006年に初めて市場に出した時に注目した考え方が、配当に注目するということです。
これは2つの意味があります。1つ目は配当が企業のファンダメンタルズを表す一つの指標として使えるということです。そして2つ目は、今まで過去の株式投資のリターンの源泉がなんだったのかというと、実は配当が主なリターンのドライバーであったということです。これは我々のアドバイザーである、ジェレミーシーゲル教授(ペンシルベニア大学)の研究なのですが、1925年から2015年までの90年間について、1925年の12月にSP500に1万ドル投資した場合、株価の変動だけでどうなったかというと、結果は148万ドルです。これでもかなりのリターンですが、ここに配当のその再投資分を加えた時にどうなったかというと、4,758万ドルになります。
こう考えると、いかに配当とその再投資というのが株式投資のリターンのドライバーであるかということがよく分かります。

配当とその再投資が株式投資のリターンのほとんど

こうした配当に注目した投資戦略を実現するために、我々は時価総額で加重するのではなく、企業が出した配当額によって企業のウエイト付けをするという手法を生み出して、これを実現するETFを上場させました。
代表的なウィズダムツリーのファンドが米国大型株配当ファンド「DLN」というものです。こちらは米国の大型株を、時価総額でなく配当額で加重することによって、無配当の銘柄は除かれ、時価総額加重よりも配当を多く出している企業については高く評価して組み入れ比率を大きくするという手法をとっています。
配当に注目する一方で、市場全体をうまくとらえるようなやり方として、この配当ファンドというのが、我々の主力商品のひとつでもあります。
また、配当にフォーカスする以上、より高配当がほしいという投資家の方もいらっしゃるかと思いますので、そういう投資家のためには、ウィズダムツリーの米国株高配当ファンド「DHS」があります。こちらは同じ手法ではありますが、配当利回りが高い上位30%に最初にスクリーニングをかけていますので、配当でウエイト付けはするのですが、より配当利回りが高くなっているというのが、大きな特徴です。

「配当加重戦略」ウィズダムツリー米国大型株配当ファンド(ティッカー:DLN)

「高配当戦略」ウィズダムツリー米国株高配当ファンド(ティッカー:DHS)


マーケットの変動に応じて注目すべき配当戦略

朝倉:いまお話しいただいた配当に注目した2つのファンドですが、私どもモーニングスターでも非常に高い評価なんですよね。いわゆる定量的に評価したパフォーマンス「★」の評価と定性面、運用のクオリティという面の定性評価もやっているのですが、両方とも高い評価を得ています。
このご紹介いただいたファンドですが、ここ最近のマーケット環境の中で、今、注目すべき配当戦略について教えていただけますでしょうか。

渡邊氏:いまいわゆる配当加重と高配当とお話しさせていただきましたが、やはりここ最近、特に米国の金利が上昇してきているというところに、投資家が注目しています。
当然ながら、我々は長期では配当に注目する手法というのはワークすると思っていますが、金利が上昇するときに高配当銘柄はなかなかパフォーマンスがでにくいというところがあります。それはインカムの魅力が債券の利回りが上がってくることによって相対的に下がってしまうからなのですが、そういうときに投資家が注目するべきことというのは、配当の利回りではなく、配当がどれだけ成長するかということです。要するに金利が上がっても、金利上昇に対して、配当が増えてくれれば影響がないということです。

「配当成長戦略」ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長ファンド(ティッカー:DGRW)

こういう観点から、我々は配当成長戦略のファンドというものを新たに立ち上げています。これがウィズダムツリーの米国株クオリティ配当成長ファンド「DGRW」というものです。これは配当が成長するような企業を集めたファンドですが、よく配当が成長する銘柄を集めるときに、例えば過去増配してきた銘柄を集めるという考え方がありますが、我々は過去増配した銘柄ではなく、将来配当が伸びるかどうかというところにフォーカスしたというところがポイントです。
具体的にはですね、もちろんいま配当を出している企業でないといけないのですが、その中で収益性が高いこと、そして利益の成長性が高いというところがスクリーニングの基準にしています。

要するに、配当を出していて、収益性が高くて、利益が伸びるのであれば、当然将来の配当も伸びるでしょうという考え方になります。そういう基準で企業をスクリーニングして、そしてわれわれの考え方である、配当での加重というものでつくりあげたのが、「DGRW」というファンドですね。過去「DHS」と「DGRW」のパフォーマンスを比較すると、金利が下落する局面では、「DHS」が優位になりますし、金利が上昇する局面では、「DGRW」が上手くワークしているということが出ていますので、今後の金利上昇を懸念するのであれば、「DGRW」が一つのソリューションとなるかと思います。

朝倉:なるほど。ありがとうございます。
金利上昇局面でも注意が必要であって、ただいまおっしゃいましたように金利上昇以上に配当成長が期待できれば、当然魅力的になるということですね。
その他、海外ETFによる長期投資をしていくにあたってのポイントを伺えますでしょうか。


長期投資における
海外ETFの活用ポイント1
米国投資による税額控除

渡邊氏:これはですね、ETF特に海外ETFを用いたときの、みなさまあまりお気づきになられない利点だと思いますが、米国株式のETFもしくは米国株式投資についていえることですが、国内の一般的な公募投信というのは、米国株に投資した場合、米国株から出てくる配当に対する税金はアメリカで最初に課税されるんですが、それを払ったうえで、配当を得て、それが分配金として最終的に出てきます。
このときに海外で払った税金ですが、米国の場合租税条約が適用となると、10%となります。

外国税額控除について

これが米国に上場している米国株のETFに投資すると、当然ながら米国の株式から米国のETFが配当を受け取ります。これは米国同士なので、基本的に税金がかかりません。 そして、米国ETFから出てくる分配金ですね、これを日本人が受け取るときに、同じようにアメリカに10%を源泉徴収ということで、税金を払うのですが、これを確定申告の際に、外国税額控除の手続きをすると、税金を取り返すことができます。

これは投資信託にはできないことで、外国株特に米国株に投資する際に海外ETFを使うメリットになりますので、是非おさえていただきたいポイントですね。

朝倉:なるほど。確かに、今仰った税額控除というのは、あまり気に留めてらっしゃる方もいらっしゃらないかと思いますので、非常に重要なポイントですね。

渡邊氏:特に高配当の株に投資するわけですから、そういった場合はよりインカムに対する課税というのは重要なファクターになりますから、こういったところも検討していただきたいと思います。


長期投資における
海外ETFの活用ポイント2
海外ETFで貸し株金利を得る

朝倉:そうですね。また個人投資家の皆さんには、是非押さえていただきたいポイントですが、「貸株サービス」というものがありますよね。
「貸株金利」いわゆるこの保有をしている間に貸株をすることによって受け取ることができる金利ですが、SBI証券では240銘柄以上の貸株対象ETFがあり、中にはこの低金利下で年2%という金利が付くものもあります。

こちらのスライドはウィズダムツリーの貸株金利ですが、同社のETFも比較的魅力的なものが多いですよね。
ですから、長期投資をしていくにあたっては外国税額控除のところもありますし、「貸株金利」についても、個人投資家の方には、是非ご参考にしていただければと思います。

それでは、渡邊様、最後に個人投資家のみなさまにメッセージをお願いいたします。

米国ETFの投資に「貸株サービス」を活用する

SBI証券米国株貸株(カストック)金利(2017年2月1日時点)

渡邊氏:投資に当たっては、みなさまには2つのテクノロジーを駆使して頂ければと思います。

一つはETFというテクノロジーですね。これは投資信託にはない魅力をもったETFという新しい投資ツールで、当然ながらコストが安いとか流動性が高いとかありましたけれども、朝倉さんとの対談の中でもありました実は外国税額控除ができるとか、貸株もできるといった投資信託にはないメリットもありますので、こういったところもひとつ念頭に置いていただければと思います。

2つ目はスマートベータというテクノロジーですね。これはいままではETFといいますと、時価総額加重の投資のイメージが強かったですけれども、我々ウィズダムツリーのようなスマートベータ、たとえば配当加重のような、時価総額加重でないやり方のETFも多数出てきていますので、そういった中で、こういったETFの活用をご検討いただきたいと思います。また、我々は、配当に特化したETFには強みを持っていますので、そういったインカムにフォーカスした投資手法を取りたい場合には、ぜひウィズダムツリーのETFをご覧いただければと思います。

渡邊さん、本日のお話は個人投資家の皆さまにとって、大変参考になるお話だったと思います。
本日はどうもありがとうございました。

リスクについて

投資には投資元本の損失を含む種々のリスクが伴います。WisdomTree ETFでは、それぞれのETFが参照するインデックス(指数)及びインデックスに含まれる金融商品等の変動により、投資元本に損失が生ずるおそれがあります。外国投資には、通貨、政治情勢、及び経済状況に関わるリスクも伴います。特定の国、セクターに焦点を合わせたETFや、中小企業に対する投資を重視するETFでは、価格の変動が大きくなる場合があります。新興国市場、不動産、通貨、債券、およびオルタナティブ投資に関わる投資には、個々のインデックスに特有な追加のリスクが伴います。ETFの投資戦略によって、他のETFに比べてキャピタルゲインの分配が多くなる場合があります。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。


手数料、費用等について

WisdomTree ETFを取引される際の手数料については、取扱い金融商品取引業者(証券会社)にお問い合わせ下さい。また、手数料に加え外国金融商品市場等における売買手数料及びその他費用がお客様の負担となる場合があります。また、WisdomTree ETFの保有期間中は間接的に運用報酬・管理報酬等がお客様のご負担となります。詳細については、取扱い金融商品取引業者(証券会社)にてご確認下さい。

商  号:
ウィズダムツリー・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2891号
加入協会:
日本証券業協会

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