モーニングスターアワード受賞記念セミナー採録モーニングスターアワード受賞記念セミナー採録

第一部 基調講演

マネーの選択、今後の世界経済と資産運用

  • 国際ジャーナリスト 
    蟹瀬 誠一氏

 モーニングスターは2017年3月11日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで「FUND OF THE YEAR2016 モーニングスターアワード受賞記念セミナー」を開催した。第1部の基調講演は「マネーの選択、今後の世界経済と資産運用」と題して、国際ジャーナリスト 蟹瀬誠一氏が講演した。講演の要旨は以下の通り。

「まさか」の時代、目先の動きにとらわれず
「大きな流れ」を押さえる

 小泉元首相は、「人生には、3つの坂がある」と言っていた。「上り坂」「下り坂」「まさか」。近年は、「まさか」の連続だ。トランプ大統領の誕生、北朝鮮のミサイル発射、韓国大統領の弾劾。これからも、欧州の大きな選挙で何が起きるかわからない。トランプ大統領のイスラエル寄りの態度が中東地域を不安定化させ、また、アメリカ単独主義の政策が、結果的にロシアや中国の拡大政策を呼び込んでいるなど、どのようなことが起こるか予測しにくい。このような時には、投資の視点に立てば、目先のことにアタフタすることなく、大きな流れを押さえておくことが大事だ。

 「政治」の世界では、「国際協調の時代」からの揺り戻しが起こっている。「東西冷戦」が終わって、世界は「G7」「G20」といった対話と協調の時代を迎えていたが、米国にトランプ大統領が誕生したことで、協調路線が変化した。協調から単独へ、各国が自国の利益を優先するようになる。これは、一度シフトするとなかなか止まらない。コンサルティング会社ユーラシアグループのイアン・ブレマー氏は、「地政学の後退(ポリティカル・リセッション)」と呼んでいるが、国と国が力でぶつかり合う、戦争前夜のような危険な緊張の時代を迎えたといっている。

 トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」で、何が起こるのか? 彼の政策で掲げる、国防費の増大、法人税減税、規制緩和などは、ちょうど、リーマン・ショック前の政策に似ている。リーマン・ショック後に規制を強めて金融を守ってきたものが、金融緩和によって危機の可能性を高めている。テロのリスクも高まり、また、中東の不安定化によって原油価格が乱高下することにもつながるだろう。

 ヨーロッパは、オランダ、フランス、ドイツで大きな選挙が予定されている。EUやユーロの維持を脅かすようなことが起こるかもしれない。

 中国とロシアについては、たとえば、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)から米国が抜けたことで、アセアンなどアジア諸国のチャイナシフトが強まっている。また、ロシアのプーチン大統領は武力行使に躊躇しない大統領だけに、国境を接する諸国の緊張感は大きい。北欧諸国では徴兵制を復活させる動きになっている。

対談用写真

国際ジャーナリスト
蟹瀬 誠一氏

「まさか」の時代の心得

 このような「まさか」の時代には、「資産を減らさない」対策が大事だ。ヨーロッパの大金持ちが実践してきた心得が参考になる。「現実を直視する」「わからないものには投資しない」「ほしいものより、必要なものに投資する」など。

 そして、「自分が実現したいライフスタイルを知る」「他人と比較して自分を疲れさせない」「夢を先送りしない」「失敗してもあきらめない」ということも言っている。

 大事なことは、「何のための投資しているのか」「何のための貯蓄なのか」ということを改めて考えてみることだ。日本は、将来の不安が先進国でもっとも強い国だといわれる。そのために、せっせと貯蓄に励んでいるのだが、「いくらあっても足りない」では、いつまでたっても安心できない。「どんな暮らしをしたいのか」を考え、そのためには、いくら必要なのかを考えれば、計画ができる。

 また、現在は情報過多の時代でもある。英語では、情報について「シグナル」と「ノイズ」に分けて考えるが、「ノイズ」が90%だ。本当に信頼できる情報を見極められるようになりたい。

 最後に、予想を頻繁に見直すことも大事だということも伝えたい。多くの人が、トランプ氏が大統領になるとは予想しなかった。しかし、大統領になってしまったからには、トランプ大統領に合わせた世界観を考えなければならない。今後も、「まさか」の結果が出ることもあるだろうが、その時に、それまでの予想にこだわるのではなく、新しい事態に合わせて柔軟に見直すことが重要だ。

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