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米国株式・ETFセミナー 〜成長企業の魅力がわかる!これからはじめる米国株投資〜米国株式・ETFセミナー 〜成長企業の魅力がわかる!これからはじめる米国株投資〜

第1部 基調講演

「世界経済の動向と米国の強さ」
絶好調の米国経済にトランプ政権が暗雲、秋以降の予算審議で経済政策の縮小を確認か

  • ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕 治好氏

ブーケ・ド・フルーレットの代表取締役 馬渕治好氏は5月20日、東京・日本橋で開催されたモーニングスターセミナー「米国株式・ETFセミナー」で講演した。馬渕氏は「世界経済の動向と米国の強さ〜リスクは政治・経済政策要因」と題して基調講演し、「米国株式にやや割高さはあるが、長期的には米国経済・企業収益の好調さから値上がりが期待できる」と語った。講演要旨は、以下の通り。

賃金総額が過去最高を更新し米国の家計は絶好調

 ブーケ・ド・フルーレットは、「小さな花の花束」という意味の言葉だが、主な業務は世界中の株式、債券、金利等の分析だ。日本や新興国も調査対象にしている。

 米国経済とマーケットについて、まず、現状を評価すると、従来から堅調だった内需・非製造業に加え、ここへきて世界景気の回復を受けて外需・製造業も回復色を強めている。米国経済を左右する家計の状況を表す雇用は、非農業部門雇用者数が緩やかに上昇している。雇用者数の伸びだけをみると、ゆっくり上昇しているようにみえるが、ここに「週当たり労働時間」と「時間当たり賃金」をかけて、1週間あたりの賃金総額を調べると、順調に上昇し、すでに賃金総額は過去最高の水準を更新している。

馬渕 治好氏

ブーケ・ド・フルーレット代表
馬渕 治好

図表:米国の所得環境は持ち直している

図表:米国の所得環境は持ち直している

 さらに、重要なことは、賃金総額の伸びが4%程度で安定していることだ。賃金総額の伸び率が安定していることで、安心して消費に資金が回るという好循環が起きている。実際に、米国の主要な経済指標の動向をみると、住宅着工件数、小売売上高、自動車販売台数は右肩上がりで順調に拡大している。鉱工業生産のみが14年11月から16年3月にかけて減少していたが、これも上昇に転じた。これは、世界の貿易量が16年を底に回復に転じていることと呼応している。米国の輸出も回復することによって製造業も持ち直してきた。米国の企業業績は2ケタ増益といった好調ぶりを示している。

 また、米国企業の新陳代謝は健全だ。たとえば、ネットに顧客を奪われて百貨店などの決算は不振だが、ネット販売に力を入れたウォルマートは好調。ツイッターは業績不振で身売りなどがささやかれているが、グーグルやフェイスブックは技術の高度化よりもユーザーニーズが大切と、ニューヨークにアンテナショップを開設するなど、成長にどん欲だ。

トランプ政権への失望が市場、家計、企業にマイナスに

 一方、米国の政治は今後の不安要素だ。昨年11月に大統領選挙でトランプ氏が勝利した後、株価が大きく値上がりしたが、その当時から首都ワシントンでは「トランプ大統領は4年間の任期をまっとうできない」といわれていた。何が問題なのか?

 ひとつは、「今後の方針や政策がどうなるのか、わからない」ということ。おそらく、本人にもわかっていないと思う。一般教書や予算教書の提出が1カ月程度も遅れた。また、目玉政策の1つである税制改革案も、4月26日に発表された資料は、A4で1枚と具体的な内容が何も書かれていないものだった。トランプ大統領が比較されるレーガン政権時代に出された税制改革案は、第1稿が500ページを超える分厚い内容だった。いかに、政権内部で政策がしっかり議論されていないかがわかる。

セミナー風景

 したがって、政権運営が暗礁に乗り上げる可能性は高い。公約で掲げた大型減税やインフラ投資などは、かなり削られることになるだろう。勝手にトランプ政権に期待した支持者は、勝手に失望することになりそうだ。そうした支持者が多く勤める、従来型の製造業の復権は無理だろう。

 また、18年11月に中間選挙があることから、議会共和党もトランプ大統領を切り捨てる可能性がある。そして、トランプ氏自身が大統領への執着が強くないように感じられる。彼は、ワシントンと戦った「英雄」であれば良いので、もう回顧録の執筆を考えているのではないか。

 ポイントは、今秋以降に本格化する予算審議で経済政策の大幅な縮小が明らかになることだろう。失望は、株式市場のみならず、家計や企業にも及ぶと考えられる。幸いにしてトランプ政権への期待が薄れてきているため、この失望によるショックも比較的小さなものになりそうだ。

米国株価は行き過ぎの是正へ

 最後に、米国株式と米ドルの考え方について触れたい。米国株式のPER(株価収益率)は、近年は16倍〜18倍で推移してきた。現在は、PER18倍を超える水準になっているため、割高な水準にある。しばらくは、株価は横ばいないしある程度の調整で、収益が上がってくることを待って、次の展開に進むだろう。

 また、米ドルは日米購買力平価でみると、過去は購買力平価プラスマイナス20%に概ね収まってきた。17年3月末時点では購買力平価のプラス20%が114.26円で、当面はこの水準を出たり入ったりという相場展開が続くだろう。

図表:米国株式のPER(近年)

図表:米国株式のPER(近年)

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