“女性”のためのiDeCo(個人型確定拠出年金)活用セミナー採録“女性”のためのiDeCo(個人型確定拠出年金)活用セミナー採録

第1部 基調講演

『今から備える女性のための生活設計』
〜iDeCoで始める老後資金〜

  • ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 
    井戸 美枝氏

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)には思い入れがあります。社会保障審議会でiDeCoなど確定拠出年金制度について検討する委員の一人でもありますし、個人型確定拠出年金の愛称を「iDeCo」に決める委員会にも加わっていました。本日は2つのポイントからお話しをしたいと思います。女性が4人に1人は90歳以上になる時代になり、「人生100年時代」に楽しく長生きするためにどのようにしていけば良いのかというライフプランの話。そして、iDeCoを使いこなそうという話です。

人生100年時代を考えてiDeCoを使いこなしましょう

 さて、これからの人生を考えると、様々な予定があります。20代から、80代まで、年齢別に考えて、お金については、「貯める・増やす」の時代、また、「守る、減らさない」時代などに分けて考えられます。また、様々な行事もあります。就職・転職、結婚、子供の教育のこと、そして、退職などです。退職後も長い時間があり、この期間の生活費を準備することが大事です。iDeCoは、退職後の生活のために、現役時代に得たお金を先送りする制度になっています。

 ファイナンシャルプランナーとして受ける相談はいろいろあります。保険の見直し、あるいは、ローンのことなど、スポットで相談に来られる方が多いのですが、大事なのは家計全体のバランスです。そして、金融中央広報委員会の調査で、金融資産の保有目的を聞くと、70%が「老後の生活資金」という答えになります。老後というのは全ての方に必ずやってくるので、だれもが意識していることになります。次いで、「病気や不時の災害への備え」が63%になります。将来のことを不安に思わずに今の生活を楽しみたいというのが貯蓄の目的になっています。

 人生の後半にはお金がかかります。平均寿命は徐々に延びていますが、健康寿命と重ねてみると、およそ男性は9年、女性は12年の不健康な時代があります。この不健康な時代を乗り切るにはお金が必要です。高齢者医療制度や介護保険などを使っても、800万円程度をストックしておく必要があるでしょう。

資産を増やす黄金の3原則

 年金については、若い時から段取りをすることが大事です。公的厚生年金、国民年金)は絶対になくならない制度で、死亡するまでもらえます。老後生活の軸になる年金といえます。ただ、金額の調整はあるかもしれません。自分がいくら受け取れるかということは、「ねんきん定期便」「ねんきんネット」等で確認するようにしましょう。企業年金のある企業にお勤めの場合は、公的年金にプラスして年金を受け取ることができます。そして、iDeCoなどの自分でつくる年金があります。

対談用写真

ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士
井戸 美枝氏

 ここで大事になるのは、生活費の水準です。一般には現役時代の70%程度の水準に落とすことを心がけましょう。生活費はいきなり減らすことはできないので、50代くらいから徐々にスリムにしていくことを考えましょう。このように老後の生活資金の収支を考えると、マイナスになってしまう期間があります。その部分を、貯蓄で補うことを考えます。大事なことは、収入を増やすと同時に支出を減らすことです。

 資産を増やす黄金の3原則があります。まず、「積立」は知らない間に貯まっていくので、ぜひ活用したいことです。また、「投資」は、預貯金では利息が付かない今、増やすためには検討したいことです。そして、「節税」はとても大事です。預金の利息にも20.315%の税金が課されるので、100円の利息があっても実際の手取りは80円に足りない金額になります。これが100円そのままに受け取れたら、その分だけお金が増えます。この3つの原則を全部備えているのがiDeCoです。iDecoを使うと、お金が増えていく可能性が高まります。

図表1:年金はいつから受け取る?

図表1:年金はいつから受け取る?
  • ※ 生活費のみの支出例。現役時の70%くらいにスリムにしたいところ。家族構成・年齢など考慮していない。

お金を増やしやすい仕組みが入ったiDeCo

 iDeCoは積立で年金を作っていく仕組みです。加入して掛金を出していくと、税金が安くなるメリットがあります。また、運用では運用益に非課税なので増やしやすい制度になっています。そして、60歳になると老齢給付金の受取ができます。一時金、あるいは、年金として受け取ることができます。また、公的年金の基礎年金は繰り下げて受給することで、受取額を最大42%増やすことができます。iDeCoと合わせ技で年金の手取りを増やすことを考えたい。

 一方、60歳まで引き出せない。途中でやめられないし、お金を貸してもくれない。強制的に貯めていくことができる制度になっています。

 掛金は、自営業者など国民年金(基礎年金)だけに加入している人は年額81.6万円まで。厚生年金に加入している会社員は、企業年金がない場合は年額27.6万円、企業年金がある場合は変わってきます。公務員は年額14.4万円。専業主婦の方など第3号被保険者は27.6万円になります。自分自身が今、いくらまで掛けられるのかということを知ることが大事です。

 また、現在、第1号被保険者のうち、iDeCoへの加入率は10.4%、第2号被保険者では0.8%程度にとどまっています。まだまだiDeCoは浸透していません。そして、これまで個人型に加入していても、自動移管者といって掛金の拠出も運用もしていない人が何十万人もいます。手数料だけが差し引かれていてもったいないので、このような方もiDecoに移して運用を続けることができます。

iDecoのメリットは早く始めるほどに有利

 iDeCoのメリットは老後資金を積み立てながら節税ができること。3つの税メリットがあります。まず、掛金は全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が減ります。これは、すぐに効果が現れます。そして、運用益は非課税ですので、効率よく資金を増やせます。そして、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除の対象となり税負担が少なくなり、手取りを増やすことができます。

 所得控除は、具体的にどういうものでしょうか? 年末にもらう源泉徴収票を見て確認することができます。まず、「支払金額」の欄にあるのが、いわゆる「年収」です。ここから、全員に適用される給与所得控除を引きます。源泉徴収票には「給与所得控除後の金額」として記載されています。さらに、個々人の事情によって差し引かれる扶養控除や保険料控除、年金控除などを差し引きます。この金額も「所得控除の額の合計額」として源泉徴収票に記載があります。iDeCoの掛金は、この所得控除の金額に合算します。

 そして、「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額が「課税所得」になります。税率は課税所得に対してかかり、累進課税といって課税所得が多くなるほど税率も高くなっています。住民税は一律10%です。たとえば、課税所得が330万円以上695万円以下の場合、30%の税額が戻ってくることになります。これは、iDeCoを始めるとすぐに適用されるので、早く始めて長く務めるほどに有利になります。

図表2:税制優遇の所得控除って?

図表2:税制優遇の所得控除って?

 年金の仕組みや税金の仕組みを知っておくと良いと思います。社会保障には必ず私たちがコストを負担しています。たとえば、iDeCoの掛金で課税所得が少なくなると、所得税が少なくなるばかりでなく、公立保育園に入園しやすくなったり、保育料が安くなる可能性もあります。税金が計算の基準になっていることが多く、課税所得をなるべく低くするとお得になることがあります。

 たとえば、会社員と専業主婦の世帯では、夫が確定給付型企業年金有の会社員で、夫婦2人でそれぞれ限度額いっぱい(夫は30年間で432万円、妻は同828万円)に掛金をかけたとします。課税所得が500万円だとすると、30年間で節税で約129万円が得になり、利回り3%で運用すると夫婦2人で合計2030万円を作ることができます。

 また、運用時に課税されないことのメリットは、たとえば年率3%で運用した場合、毎月2.3万円を30年間積み立てると約130万円の差が出てきます。現実問題として株式や債券の運用で年率3%で定率で運用できるはずはないので、あくまで計算上のことですが、長く運用を継続することによって、運用益への非課税も結構な金額になるということを実感していただければと思います。

運営管理機関選びのコツ

 金融機関によって商品の品揃えや手数料が違うので、その内容をよく確かめて選ぶことが大事です。違いのあるのは、「商品のラインナップ」「口座管理手数料」「運用サポートなどのサービス」です。

 ここで大事なのは、私は「商品のラインナップ」と「サービス」と考えます。「口座管理手数料」は無料のところから数百円のところまでありますが、せいぜいの差はコーヒー代くらいの話です。それよりも、ラインナップが悪くて、望むような運用ができないことの影響は大きいです。そして、運用商品にかかってくるコスト(信託報酬)をしっかり見ておきたいと思います。長く運用していると、信託報酬の差がとても大きく効いてきます。

 また、運用サポート等のサービスも大事です。企業型の場合は、会社で説明会などを開いてくれますが、iDeCoは全部自分でやらなければなりません。キチンと運用サポートが受けられるのか、また、コールセンターなどの受付時間など事前にチェックして利用しやすいところを選びましょう。モーニングスターのサイトなどに、運営管理機関の比較ができるので、事前に比較検討した上で申し込むことをおすすめします。

iDeCoの運用は成績を気にせずに無理なく長く続ける

 iDeCoで運用できる商品は、元本確保型の預貯金などに加え、いろんな種類の投資信託があります。国内外の株式や債券、不動産投信や、それらを組み合わせたバランス型などがあります。iDeCoは配分変更やスイッチングなどで運用商品を変えることができます。若い時には株式の比率を高くして、資産が増えてゴールが近くなると安定した商品に変えるなど、iDeCoの中でいろいろできる自由さがあります。

 iDeCoは20歳から59歳まで誰でも加入できます。18歳で勤めて厚生年金に加入していれば、18歳でも加入することができます。そして、預貯金や投資信託などで運用をするのですが、この運用をするときに、iDeCoだけで考えるのではなく、その他の銀行口座など全体の中で考えることが大事です。預貯金がたくさんあるのであれば、iDecoは投信だけでも良いかもしれません。配分比率は中で変えられる自由さがあるので、ときどき運用の内容も見直すようにしましょう。

 人生100年時代に備えるということをお話しましたが、統計によると高齢世帯は毎月8万円が不足しているというデータがあります。これをいかに埋めるか。そのためには、自分で用意するとともに、生活費をミニマムにするということも考えましょう。そして、いつまでも働き続けられるスキルを持つことも大事です。

 iDeCoは全員が入れる制度になりました。公的年金だけでは心もとない老後の資金を準備するため、長期に分散して積立てていきましょう。始めたら、運用成績を気にしないことが大事です。掛金の金額も途中で変更できますので、無理しないで最後まで続けることを優先してください。

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