モーニングスターETFカンファレンス2016採録モーニングスターETFカンファレンス2016採録

パネルディスカッション

ETFでできる今後の資産形成術

パネリスト

  • 野村アセットマネジメント株式会社
    運用調査本部 ヘッド・オブ・インデックス・プロダクト 
    奥山 修氏
  • バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社
    投資戦略部長 
    塚本 俊太郎氏
  • 三菱UFJ国際投信株式会社
    法人投資家営業部 シニアマネジャー 
    佐々木 康平氏

コーディネーター

  • モーニングスター株式会社
    代表取締役社長 
    朝倉 智也

好調だった2017年を受け、来年は慎重な分散投資が大事

朝倉
私は第一部の基調講演で「慎重にいきましょう」と話をしたが、皆さんの今後の市場見通しは?
塚本氏
バンガードは市場の見通しを語ることがないが、あえてお答えするのであれば、「長期の投資を継続してください」という回答になります。平均して見ると、投資は長期ではプラスのリターンをあげられるものだ。市場は、上にも下にも動くので、瞬間瞬間では波に揺さぶられることになるが、長期に投資を継続していると、この波を乗り越えることができる。
たとえば、リーマンショックも長期投資の教訓になる。リーマンショックの時には、リーマン前の07年の株価ピーク時に売れば良かったと悔やむ人が多かったと思うが、08年に40%下がった時に売らなければ、09年、10年とリカバリーしていくことが出来た。短期で利益を確定している人は、08年のボトムから戻る相場についていけなかったと思う。長期で投資を続けることがポイントだと強調したい。
佐々木氏
今年はパフォーマンスが良い1年だった。主要国の株価はほとんど値上がりし、1年間投資を継続していれば20%程度値上がりしている。
継続して投資するということでは低コストで、かつ、シンプルに分かりやすいものが良いと思う。そこではETFが役立つと思う。
奥山氏
マーケットの状況を一言で表現すると「適温」ということになる。当面の基本シナリオは、グローバルで景気が良いが過熱していない状態にあり、かつ、インフレリスクは先進国でも新興国でもリスクが高まっていない。リーマンショック後の異常な金融緩和政策が正常化に向かっている過程にあり、この正常化の流れが現在の様な緩やかなペースが維持されれば、心地良い状態が続くだろう。
対談用写真

バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社
投資戦略部長

塚本 俊太郎氏

ただ、さすがにこの1年間に株価等が値上がりした。割安ではないゾーンに入っているものもある。先ほどの朝倉さんの基調講演にあった「灰色のサイ」がうろうろしているような状態と考えたい。分散投資をベースに考えた方が良いと思う。

朝倉
お三方の話では、長期の投資を考えること、分散すること、そして、ETFは分散投資の手段として使い勝手が良いということになる。ETFには、国内ものと海外ものがある。この違い、使い分けは?
佐々木氏
国内ETFのメリットは、国内株式の場合、9時の開場から15時の閉場まで、リアルタイムで取引ができることと、低コストの日本株商品が多いこと。
一方で、ETFは流動性が乏しいという指摘も多い。現在、流動性を高めていく課題に対して、取引所が中心になって取り組んでおり、流動性が拡大していくことで、ETFの魅力も高まると思う。
対談用写真

三菱UFJ国際投信株式会社
法人投資家営業部 シニアマネジャー

佐々木 康平氏

朝倉
日銀が買ってくれているということも、ETFの注目を高める要因になったように思う。
奥山氏
ETF市場の規模は大きくなってきた。今では世界第3位の市場になっている。これは、日本のETFをどうやって活性化させるかということについて関係者が努力を続けてきた結果と言える。
昨年の金融審議会でも議論があり、(1)品揃えが足りない、日本株に偏っている、(2)流動性の乏しいものがある、(3)個人の認知度が低い――などの指摘があった。この点について、東証でも対策を取り始めている。品揃えの拡充のための新規上場が進んでいるし、市場における流動性を改善させる為の取組みも検討されている。今後ともETF市場は成長していくだろう。
対談用写真

野村アセットマネジメント株式会社
運用調査本部 ヘッド・オブ・インデックス・プロダクト

奥山 修氏

塚本氏
日本のETFの流動性が高まり、品揃えも充実していくことは、海外ETFにとっても関心が一段と高まることにつながり、良い影響を与えると考えている。
米国のETF市場は約350兆円の規模があり、日本の10倍だ。株式が275兆円、債券が57兆円、その他が33兆円という市場規模で、それぞれに大きい。株式では、米国、欧州、新興国など様々なエリア、そして、大型、中型、小型と規模別でも多くの商品がある。債券も様々な国の国債や社債、ハイイールド債など多くの債券種類のETFがある。
また、取引高が大きいことで、ベンチマークとのかい離率も小さく、ETFへの投資コストが低くなっている。このコストの低さを巡っては運用会社の間で価格競争が起きて、一段と安くなっていっている。モーニングスターでは、この価格競争を推し進めるバンガードの動きを「バンガード・エフェクト」と表現しているが、まさしくバンガードの影響で、ETFの投資コストが下がっていっている。
デメリットとしては、取引に為替コストがかかること。また、米国の取引時間が日本では深夜にあたることなどがある。
対談用写真

モーニングスター株式会社
代表取締役社長

朝倉 智也

ETFを使ったポートフォリオ戦略

朝倉
ポートフォリオ戦略は?
佐々木氏
基本的なコア・サテライト戦略の切り口でお話しすると、コアとして「日経225」「TOPIX」などを置いて、サテライトに中小型株や高利回りの株式やリートなどを柔軟に組み合わせて分散することができる。投資の目的によってETFが使い分けられると思う。
また、マーケットニュートラルは機関投資家の間ではコア資産に位置づけられる見込みがあり、12月に上場した。株式のように年間20%もリスクがあるような資産は、コアとして持ちにくいが、5%程度のリスクでリターンが期待できる資産はコアになるという考え方に基づくもの。ただ、マーケットニュートラルは商品性が複雑でもあり、理解しにくい方は投資しない方が良いと思う。
奥山氏
新たに上場した「国内債券」や「先進国株式」「先進国債券」などのETFラインナップは、インデックス投資の選択肢を増やす重要なツールになると考えている。これまで、国内ETFに「国内債券」という選択肢がなかったために、基本ポートフォリオを作ることができなかった。それが全部そろった。公募投信とETFとどっちを使った方が良いのかというのは、人それぞれだと思うが、そのような選択肢が増えたことが大事だと思う。
公募投信でも、バランス型の投信で4資産、6資産、8資産に投資するパッケージ型の投信に人気がある。幅広く分散投資するマルチアセット運用も人気だ。このような運用手法が、国内ETFを使ってもできるようになったということは、画期的なことだと思っている。
塚本氏
インデックス運用は、コスト以外は、どこも同じという見方になってしまうかもしれないが、バンガードは、インデックスにどこまでも忠実に運用している。株式ETFでは、インデックス採用銘柄を100%買って、配分比率も忠実に配分するという完全再現法といわれる方法を採用している。「VT」は8,000銘柄、「VTI」は4,000銘柄、「VWO」は5,000銘柄というそのインデックスに応じた銘柄数を保有している。これが、トラッキングエラーの少ない理由だ。
また、かい離率を低くするために、マーケットメーカーと一緒になってETFのモニターを実施している。バンガードのETFのかい離率が低いのは、努力をしている結果であることを知ってほしい。
朝倉
公募投信かETFか? という議論もあるが、一方で、1月からはじまる「つみたてNISA」やiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)、NISAや一般の口座などもある。この商品には、こんな使い方があるというヒントをいただきたい。
奥山氏
コア・サテライト戦略というのは、運用の基本戦略になる。コアになる資産を、6資産に分散して持つということは大事だ。
また、日本国内では低金利状況が長期化しているなかで、NEXT FUNDSにある「高配当株」のETFをご検討いただきたい。「日経高配当株50ETF」(1489)と「日本株高配当70ETF」(1577)の2本がある。
佐々木氏
NISAではETFも投資対象商品になっており、「MAXISトピックス」(1348)のような商品をNISAでもご活用いただきたい。シンプルなTOPIX連動型で、信託報酬が0.1%以下という低コストのメリットを得ることができる。
また、「高利回りJリート」(1660)」のような高い分配金を見込む商品などもご検討の対象になると思う。
塚本氏
キーワードは、長期、分散投資だと思う。「セゾン・バンガード・バランスファンド」は10周年を迎えた。長期・積立を愚直に訴え続けて残高が1,500億円程度になった。
また、バンガードでは今年つみたてNISAを意識して「楽天・バンガード・ファンド」を立ち上げた。「全世界株式」と「米国株式」は、つみたてNISAの対象になっているので、是非、ご検討いただきたい。
朝倉
ETFでメジャーな「VT」や「TOPIX」などは、コアとして活用できると思うが、あえて、サテライトで使うとすれば、どんなETFがあるのか紹介してほしい。
奥山氏
サテライトとは言いにくいが、コアの資産をつくる方法として為替ヘッジ付きの「外国株式(為替ヘッジあり)」(2514)と、「外国債券(為替ヘッジあり)」(2512)を活用していただきたい。
 「TOPIX」(1306)と、「国内債券」(2510)に、為替ヘッジ付きの2本を合わせると、国内外の株式・債券という主要4資産の基本ポートフォリオができる。日本から、世界に投資しようとすると、どうしても為替リスクを被ってしまう。日本の投資家の方々が、為替リスクについて管理できるよう、ヘッジ付きのETFをご活用いただきたい。
朝倉
機関投資家は、ほとんど為替ヘッジ付きで運用している。為替について100%オープンにするのではなく、50%はヘッジ付きで持とうなど、ヘッジ付きのETFが出てきたことで、為替についても管理できるようになるメリットは大きいと思う。
佐々木氏
日本株は、円安になると株価が上がるという傾向に注目する方も多いと思う。その際に、円安のメリットを受ける企業を探して投資するということもあると思うが、円安のメリットに敏感なETFとして「S&P東海」(1553)という商品もある。名証に上場しているETFだが、製造業の集積地である愛知県や静岡県など東海地域に本社のある企業に投資する商品。
朝倉
コア・サテライトで、サテライトの部分は、機動的に売買ができるETFの特性を活かすということもできる。
塚本氏
コア・サテライトでいえば、ETFはコアで使うべきだと考えている。ただ、投資の目的によって、少し目線をかえた投資商品もある。たとえば、配当を重視した「VYM」は、高配当株式に投資する。
債券は金利が上昇する中では不利だと考えられがちだが、金利感応度の低い米国短期社債に投資する「VCSH」というETFもある。さまざまなETFがあることがもっと広まればと思う。

長期分散を継続する強い意志で資産を豊かに積み上げる

朝倉
ETFの魅力については、集まっていただいた3社の公式ホームページでは、分かりやすい様々なコンテンツが用意されている。最後にメッセージをお願いしたい。
奥山氏
日本のETF市場では、レバレッジ型やインバース型が活発に売買されている。短期の売買にはリスクも大きいことから、推奨されるものではないが、ETFを知っていただくきっかけにはなっていると思う。レバレッジ型でETFの存在を知った方に、ETFは必ずしも短期で売買するためのツールだけではない、他の使い方もできる、ということを伝えていくことが大事だと思っている。
日本で、中長期で資産形成にお使いいただけるツールとしてETFが認知されるように努力を続けたい。
塚本氏
長期・分散・積立を低コストでやっていただくことが、資産形成では大変重要なことだ。投資を継続し、市場の短期的な上下動を乗り越えていただきたい。
また、税制優遇口座は積極的に活用していただいて、しっかりと資産を積み上げていっていただきたい。
佐々木氏
東証のデータでは、個人は個別株式を99兆円程度保有している一方で、ETFは1兆円程度の保有に留まっている。これをみると、まだまだETFのすそ野は広いと期待している。
株式ではIPOという新規上場時に注目を集めるが、ETFはそういったイベントがある商品ではない。今後、ETFをもっと使い勝手の良いものにしていって、運用のコアとして活用いただけるよう、地道に育成に努めていきたいと考えている。
朝倉
長期・分散投資が重要、コア・サテライト戦略が重要という話をしてきたが、昨今のように株価が値上がりすると、どうしても値上がりしている株式に集中してしまいがちになる。このような時でも、しっかりと分散をし続けられるタフな心を持ってほしい。そして、長期・分散投資を継続することで、豊かな資産を築いていっていただきたい。

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