つみたてNISAセミナー採録つみたてNISAセミナー採録

第一部 基調講演

つみたてNISAで資産形成

  • モーニングスター株式会社
    代表取締役社長 
    朝倉 智也

「目的」に応じて人それぞれの資産運用の仕方がある

 資産運用には、「目的」が大事だ。まず、目標を決めることから、運用について考えていただきたい。例えば、年間40万円を投資して、20年で1,000万円にしたいというような目標を持つことから始めることが大事だ。

 多くの人が資産運用や投資ということになると、「次は何を買えばよい?」ということに関心をもっています。何を買うかということは、目標によって異なる。一人ひとりの目標が異なれば、何を買えばよいのかも異なってくる。

 たとえば、今、100万円が手元にあって、5年後に住宅の頭金が800万円欲しいと思っているとする。頑張って、毎月10万円ずつ積み立てていくことを考えた場合、年間で120万円なので、NISAを使うことになる。この場合は、年率4.6%で800万円に届くことになる。

 また、今200万円があって、毎月3.3万円を積み立てて20年で2,000万円を作りたいとする。この場合は、年率5.5%で運用することが必要になる。ここでポイントは、年率何%で運用する必要があるのかという水準だ。この水準が3%程度なら、株式のようなエクイティは持たなくても良い。5%〜6%という利回りが必要なら、株式を中心とした運用を考えなければならない。一人ひとりの目標が異なるので、資産配分もひとり一人異なって当然だ。

 そして、5年以内など、比較的短い期間であれば、NISAを使った方が良い。株式60%、債券40%という配分比率を検討してみてはどうだろう。5年という期間は、決して長くない。株式だけではなく、運用を安定させる債券も組み入れたバランス型の運用を考えたい。20年間など長い時間軸で考えるのであれば、株式100%の運用で良いと思う。

 一方、ロングタームの積立で資産をつくる場合は、「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」の利用も考えたい。税メリットは、iDeCoの方が圧倒的に大きい。iDeCoをメインに考えながら、プラスαでつみたてNISAを使うといった2段構えの作戦を立てたい。つみたてNISAは20年間、iDeCoは60歳まで収益非課税で投資ができる制度になっている。若い方なら、iDeCoで30年以上の運用もできる。iDeCoは株式100%で長期の資産形成を続けながら、つみたてNISAでバランス運用するという使い方も考えたい。

図表1:長期つみたての資産形成は 「iDeCo」と「つみたてNISA」を併用する

図表1:長期つみたての資産形成は 「iDeCo」と「つみたてNISA」を併用する

長期投資の魅力は、10年、20年と長期になるほど効果的

 「ヒューマンキャピタル(人的資本)」という考え方がある。人が仕事をして昇進や昇給で稼ぐ力がどんどん大きくなっていく。一方で、「金融資産(フィナンシャルアセット)」は、少しずつ大きくなって、老後に引退して稼ぐ力が衰えていくと、金融資産で生活を支えていくようになる。ここで、重要なのは、資産運用は主従でいうと「従」であるということ。「主」は、ヒューマンキャピタルだ。若い頃は金融資産が普段の生活に影響を受けないようにしたい。その点で、積立は金融資産を大きくしていく手段として適している。

 では、具体的に資産形成をするため、何を使えばよいのか? 世界経済は、長期で成長をしている。米国のGDPは年率2.5%〜3%程度で成長し、新興国の経済は6%〜7%成長している。世界経済全体では右肩上がりの成長をしているので、この成長を享受する投資を考える。経済が成長すれば株価も上がる。株式を中心にした運用を考えたい。

対談用写真

モーニングスター株式会社
代表取締役社長

朝倉 智也

 株価は値動きがある。大きな下落もあるが、たとえば、インターネットバブルといわれた2000年当時は3年間ほど株価が下落したが、5年〜10年で株価は回復している。長期で運用することによって、株価の山と谷を乗り越えることができる。

 過去を振り返ると10年周期で山と谷がある。株価が大きく下落したのは、2007年のサブプライムローン問題からリーマンショックになった時期、97年にはアジア通貨危機、87年のブラックマンデーなどであり、10年ごとに大きな下落を経験してきた。それでも世界の株価は、右肩上がりで上昇しているので、10年、20年持つつもりで投資すると、株価の変動を恐れなくても良い。

 過去10年間の年間リターンを調べてみても、「国内株式」「先進国株式」「新興国株式」で、どこが一番上がるのかということは予測できない。株式に投資するにも、分散することが重要だ。

 世界のGDPの規模は、現在は、米国、中国、日本という順位になっているが、2030年の予測では、中国が米国を抜いてトップになり、2位の米国の次には、日本を抜いてインドが来る。ロシアはドイツを上回り、ブラジルも英国を上回るなど、先進国を新興国が抜いて高い位置になる見通しだ。これらの国々を「BRICs」といってもてはやしたことがあったが、長期の投資を考える場合は、新興国への投資は外せないといえる。

 一方、その時代に活躍する企業も変わる。2005年の時価総額トップ10には、GEやエクソン・モービル、BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)などといった製造業やエネルギーの大手が上位を占めていた。現在の上位は、アップル、アルファベット、アマゾンなど、インターネットをベースにビジネスを展開している企業ばかりになっている。2030年には、現在にない全く新しい企業がトップを占めるようになるだろう。たとえば、「ユニコーン」などと呼ばれる未上場の成長企業をみると、ウーバーなどは既に時価総額で7兆円の価値がついている。JR東日本の時価総額が4兆円程度なので、いかに高く評価されているのかがわかる。

 良く、長期投資のたとえで、「アマゾンに30年前に投資していたら・・・」という例えがあるが、個人でアマゾンに投資して、30年間もずっと持ち続けているということは難しいと思う。だから、投信を使って分散して持っておくという発想が大事だ。

積立投資は、投資タイミングに関係なく始められる

 投資ではタイミングが難しい。安く買って高く売れば良いのだが、たとえば、2009年2月に日経平均株価は7,000円になっているが、この時に誰が買えただろうか? 当時は、日経平均が2,000円になってしまうという専門家の話さえあった。安値も高値も後になってわかるので、その時にはわからない。だから、定期的に買っていくことが重要だ。

 定期的に定額で買っていると、下がってきたときにより多くの量が買える。投資では「量」も大事だ。たとえば、一括投資で100万円を投資してしまったら、その時の時価が買い値となり、上げ下げが気になってしまうが、100万円を100回に分けて毎月1万円ずつ買っていくことにすると、株価の上下も気にならなくなる。

図表2:一括投資 vs 積み立て投資の比較

図表2:一括投資 vs 積み立て投資の比較
  • ※ 2017年11月30日時点
  • 出所:モーニングスター作成

 たとえば、20年間積立投資をすると考えると、240回の投資機会がある。1回あたりは240分の1に過ぎないのだから、1回あたりの投資が気にならなくなる。できるだけ早く始めて長く投資したい。

 過去10年間で5年間の投資をした場合、最小リターンは10.44%のマイナスの場合もある。ところが、10年間の継続投資をした場合は、一度も負けたことがない。平均で5.37%のプラスになっている。継続投資期間は、5年より10年、10年より20年など長期になるほど良い。

 また、行動心理の面でも積立投資はプラスだ。下がっていると、量を多く買えるので喜ぶことができる。100円が50円に、半値になれば2倍買えるのだ。また、一括投資の場合は、購入金額の簿価が気になるが、毎月積み立てていると、平均の購入価格がいくらになっているのかは気にならなくなる。それだけ心穏やかな投資ができる。

低コストのインデックス投信で分散投資する

 具体的には、まず、インデックス投信で投資を始めたい。インデックス投信には、(1)コストが安い、(2)市場全体に広く投資できる、(3)アクティブ投信を選ぶように、運用の優劣を判断するような手間がかからない――などのメリットがある。

 たとえば、コストの場合、アクティブ投信とインデックス投信では、年率1%の信託報酬に差がある場合がある。1年で1%の違いは、20年では20%の違いになる。そして、10年以上の長期投資を考えるのであれば、100%株式での運用で良いと思う。三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」のシリーズ、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード」などを使うと、非常に低いコストで株式のポートフォリオ運用が実行できる。

図表3:株式100%のおすすめポートフォリオ

図表3:株式100%のおすすめポートフォリオ
  • ※ 2017年11月末現在 (eMAXIS Slim新興国株式インデックスの信託報酬は、11月22日リリースより)、「たわらノーロード」シリーズ信託報酬は12月13日のリリースよりモーニングスター作成

 資産形成をする時には、まずは、「目的」「目標」を決める。何年で、いくらにしたいのかということから、NISA、つみたてNISA、iDeCoなどの口座でどれがよいのかを考え、目標の実現に必要な利回りを求めて、資産配分の比率を考えるようにする。大事なことは、分散投資を考え、ポートフォリオ運用をするということだ。積立投資で、心穏やかな長期投資で資産をつくっていきたい。

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