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基調講演

急変した相場に対応する最適な投資法とは?

  • モーニングスター株式会社
    代表取締役社長 
    朝倉 智也

これからはボラティリティの大きな相場に

 「2つの相場」が終焉を迎えたと思います。ひとつは、「適温相場」、ゴルディロックスともいわれますが、経済が好調であるにもかかわらず、低金利、低インフレが続く状態。2016年後半から2017年にかけて続いた株高の背景になった経済状態です。これが、終わったように思います。

もうひとつは、「過剰流動性相場」です。リーマンショックの後で、米日欧が揃って金融・量的緩和を実施し、市場に大量の資金を供給して相場を下支えしました。すでに、米国や欧州は量的緩和を止めました。日銀だけが緩和継続を言っていますが、実際には年間80兆円といっている日銀の国債買い入れ額は40−50兆円規模でしかなくなっています。そして、米国では、量的緩和によって積み上がったFRBの資産の削減を始めました。これまで市場から買っていたものを売るのですから、大きな変化です。

 ボラティリティ、すなわち、価格変動率を振り返ると昨年1年間は、日米欧とも極めて安定していました。安定して株価も上がってきました。ボラティリティが大きく上がる時には、株価が大きく下落している時です。BREXIT(英国のEU離脱)、チャイナショックなどです。そして、今年2月に米国の長期金利が急上昇したことに驚いて日米欧の株価が下げました。

 この1年間が異常だったのです。ゴルディロックス相場は終焉を迎えて、これからは通常通り、株価が大きく動くようになると思います。

図表1:急激に跳ね上がった相場のボラティリティ (価格変動率)

図表1:急激に跳ね上がった相場のボラティリティ (価格変動率)
  • ※ 日本=日経平均ボラティリティ・インデックス、米国=VIX(CBOE SPXボラティリティ指数)、欧州=EURO STOXX ボラティリティ
対談用写真

モーニングスター株式会社
代表取締役社長

朝倉 智也

 ゴルディロックスの要因の経済成長は、18年、19年ともに3.9%成長という堅調な状態が続く見通しです。ただ、注意しなければならないことがあります。リーマンショックの時には、想定外のことが起きたといわれ「ブラック・スワン」だとされました。最近は、もともと予知できたリスクを見過ごしていた、見て見ぬふりをしていたのではないか。「グレイ・ライノ(灰色のサイ)」ではないかといわれています。サイは、ひとたび暴れ出すと大変です。静かなサイが、突然暴れ出すようなことが起こるといわれます。

 そのようなリスクが様々にあります。日本の政局もリスクです。安倍政権が倒れた時には、金融・量的緩和が大きく崩れる可能性があります。

 「金融緩和・量的緩和の終焉」は、これまで凄まじい緩和をしてきましたから、なくなると影響は大きいです。「バリュエーションが高い」株式や不動産。「仮想通貨」は、市場には影響ないだろうと思われるかもしれませんが、関連で株価が値上がりしているところがたくさんあります。仮想通貨が下落すると、その株価が下がって市場に影響が出ます。

 また、中国が6.4%成長できるのか疑問です。現在、中国のGDPは1,300兆円ほどありますが、その2.5倍くらいの3,000兆円が債務だといわれています。日本はGDPの2倍の債務があって世界最大の借金国といわれますが、中国の方がより大きな借金があります。この中国に何かあった場合は、世界に影響が及ぶと思います。

 世界の株価は、2009年2月から3倍強に値上がりしています。金融緩和・量的緩和が株価を押し上げました。主要な国で金融緩和、量的緩和を止めています。これは、非常に大きなことです。

 相場は10年ごとに、ブーム・アンド・バーストを繰り返すといわれます。大きく膨らんで、破裂するということです。2008年リーマンショック、1997年のアジア通貨危機などの大きな株価下落を機に、金利は引き下げられますが、その前には金利の引き上げの時期があります。リーマンショックの前の04年、05年にも金利が引き上げられました。今回の金利引き上げは、リーマンショックで史上最低に引き下げてから、少しずつ引き上げています。

リスクを意識する環境に有効な時間分散「定時定額投資」

 では、今後の行方はどうなるのでしょう? いろんなシナリオが考えられますが、どのように対処すれば良いのでしょうか?

図表2:今後の株価の行方は?

図表2:今後の株価の行方は?
  • ※ ドル円レートは東京市場17時時点/月中平均
  • ※ 期間:1993年1月〜2018年1月
  • 出所:日本銀行のデータを基にモーニングスター作成

 (A)のケースは、2009年2月のように、株価が大きく下げた後であれば、全力で一気に買ってしまった方が運用効率は高くなります。3倍になって、ほとんど下がっているところがありません。積立投資をしている人は、2倍くらいになったということです。

 また、(B)のケースのように一度下がってから上がると考える場合は、07年1月のリーマンショックの前から投資したとすると、一括投資した人は、リーマンショックで半値以下になっています。ところが時間分散する人は、少しずつ買っていますので、下がった時のショックが大きくありません。一回下がると思った場合は、時間分散の方が投資効率は高くなります。

 そして、(C)のケースのように、これからどうなるかわからない場合、20年間のような長期の投資の場合、1998年2月から20年間でいろんなことが起こりました。乱高下があっても、時間分散で投資をしていると、毎月買っていると価格が下がると嬉しいものです。下がると量を買えます。量の考え方は大事です。

 たとえば、リーマンショックのような時に株価が半値になったら、2倍の量を買えます。1万円で1口買えるとすると、100万円で一括投資した人は100口で変わりませんが、毎月買っていった人は下がった時に多く買えますから、150口を買えたりします。そうすると、平均の買いコストは6,666円です。一括投資の人は1万円を超えなければ利益になりません。毎月買っている人は、6,666円以上だと儲かるのです。

 毎月買っていると、平均の買いコストが気にならなくなります。それが大事です。一括投資の人は価格が気になります。1万円で買って7,000円に下がったら、1万円に戻ることばかりを考え、戻ったら売ってしまいます。反対に値上がりした場合も、1万2,000円くらいに上がると、まずは、利益を確定しようとします。自分の簿価が分かってしまうと、投資した価格に判断が左右されます。

 そのために、投資の簿価を考えない方がいいと思います。考えないために、時間分散して積立投資をしていくのです。つまり、購入の簿価が気にならない。日々の株価を気にせず、心穏やかに投資が続けられます。生活が主ですから、株価に一喜一憂しない投資をしたいところです。

中長期の目標に必要な利回りを実現するポートフォリオを考える

 たとえば、毎月20万円を10年間とすると、投資簿価は2,400万円です。これを3,000万円にしようとすると、だいたい年間4.3%で目標に到達できます。若い方が、100万円の資金があって、毎月5万円の投資をする。20年間で投資簿価が1,300万円ですが、これを20年間で2,500万円にしたい場合は、運用利回りは5.6%を上げていく必要があります。

 皆さんは、それぞれ目標が違います。投資する期間、持っている金額も、月々の投資額も違います。目標金額も違います。これをひとつひとつ当てはめていくことによって、投資利回りが計算できるのです。一括投資、定時定額でも、まず目標を決めていただきたいと思います。

 目標利回りが3%〜5%の場合は、債券を組み入れるポートフォリオがいいと思います。定時定額で10年〜30年の投資には、株式100%でいいと思います。ただし、国内株だけではなく、先進国株式、新興国株式を入れていただきたいと思います。時間を分散することも大事ですが、資産も分散することが大事なのです。

図表3:目標の運用利回りに沿ったポートフォリオを構築する

図表3:目標の運用利回りに沿ったポートフォリオを構築する

 2030年には、中国がGDPでアメリカを抜く可能性があります。新興国を少し多めに入れましょう。新興国は、私たちが考える以上に成長しています。インドが日本を抜く、ロシアがドイツを抜く、ブラジルが英国を抜くということです。昨年の1年間を見ても、新興国の株価が伸びています。トルコが47%、インド、ブラジルが30%弱です。普段、目にしない市場ですが、大きく値上がりしています。

 投資信託を選ぶ時、インデックスとアクティブで、どちらを選ぶのかという問題があります。低コストを選ぶのであれば、インデックスの方が優位です。インデックスで市場全体を買うということができます。また、アクティブは、良い商品を探すのが大変ということもあります。ファンド オブ ザ イヤーでは、特徴のある優れたファンドを選んでいます。これは、インデックスでは対応できません。

 GPIFという公的年金を運用する機関は、世界最大で約140兆円の資金を運用していますが、インデックスだけではなく、アクティブも併用しています。中小型株、社債、リート、ヘッジファンドなどは、やはり、インデックスだけではカバーできないので、アクティブを組み入れることでカバーしています。

優れたアクティブファンドを選ぶファンド オブ ザ イヤー

 アクティブファンドを選ぶには、まずは、過去の運用実績を見てください。ファンド オブ ザ イヤーも他と比較して成績が良いものを選びます。たとえば、日本株の最優秀賞ファンド賞の「ちから株」というファンドは、非常に特徴のある運用をしています。また、三井住友アセットマネジメントの中小型株ファンドも特徴のある運用です。インデックスでは、特徴のある運用ができません。インデックスを1年、3年、5年と比較して上回っているなど、実績を見ることが大事です。

 ファンド オブ ザ イヤーの受賞ファンドは特徴を持って運用をしています。オルタナティブを使ったGCIアセットマネジメント、あるいは、債券の運用会社もあります。そういったファンドを見ていただいて、面白い、投資をしてみたいとお感じになったら、アクティブファンドもご活用いただきたいと思います。GPIFのように、インデックスとアクティブを併用するというやり方もあります。

 大きく変動することは当たり前になります。相場をつかむタイミングは難しいです。高く買って安く売るというようなことをしないため、定時定額で時間分散をして投資していただいて安定した運用をしていただきたいと思います。

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