ピクテ・スペシャルジャパン・ツアー 5大都市セミナー採録ピクテ・スペシャルジャパン・ツアー 5大都市セミナー採録

世界の富裕層が取り入れる
ピクテの資産保全術とは

  • ピクテ投信投資顧問株式会社
    代表取締役社長 
    萩野 琢英氏

インフレの時代、最新の運用技術が求められている

 ピクテは、欧州の富裕層を主な対象にプライベートバンクとして資産保全サービスを提供してきたが、日本でもいよいよ「資産保全」が必要とされるタイミングがやってきたと感じている。それは、物価上昇の時代を迎えたからだ。

 これまで日本は約20年間にわたって物価が下落していた。物価が下落している間は、運用は必要ない。しかし、物価が上昇すると運用が必要になる。ところが今、株式市場を含むマーケットは7合目、8合目まできている。ここからの運用は簡単ではない。

 私たちは、日本の資産運用は高度化が必要だと考えている。今の時代は、馬車が自動車にとって変わられたくらいの、大きな変化を迎えている。つまり、最新の技術を取り入れないと運用がうまくいかない時代だ。しかし、たとえ自動車だとしても、そのすべてを知らなくても運転できるように、乗り心地などで車を選べるよう、新しい運用について知っていただきたいと思う。

ピクテは1805年から200年以上続く伝統的プライベートバンク

 ピクテは、1805年にジュネーブに設立された銀行を母体とする運用会社。ジュネーブはカルバン派に属する。カルバンとは、1500年代にルターとともに宗教改革を担った人物で、カトリックを否定したプロテスタントだ。カトリックの国は、例えばイタリア、フランス、スペイン、ドイツなどがあるが、金融業を認めなかった。プロテスタントはジュネーブ、オランダ、イギリスなどがあり、アメリカではボストンからニューヨークに至る地域などで、金融を認めていたため技術も発展した。

 カルバン派には当時のテクノクラートが多く、勤勉、倹約を求める厳格な宗派だった。伝統的なプライベートバンクは、質素で真面目だ。ヨーロッパには約100の王侯貴族があると言われるが、そのうち約70はピクテの顧客とされている。200年以上にわたって、インフレに負けない資産保全のためのサービスを提供してきた結果だ。

 現在、ピクテ・グループは6名のパートナーによって経営されている。213年の歴史でパートナーは総勢41名のみ。お客さまとは世代を超えた長いお付き合いになるので、経営も長期の視点で行っている。

 ピクテの強みを一言でいうと「(資産運用において)逃げるのがうまい」。世界の金融機関の信用格付けをみると、ピクテはAA(ダブルA)が続いている。リーマンショックや欧州債務危機の時も格付けが下がらなかった。たとえば、欧州債務危機の時には、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、フランスまで、欧州各国に信用不安が広がり、国債価格が30%ほども下落し、欧州の金融機関は痛手を被った。この時、ピクテは、いち早く国債の保有残高を落として難を逃れた。

対談用写真

ピクテ投信投資顧問株式会社
代表取締役社長

萩野 琢英氏

 50年−100年の間には、似たような歴史が繰り返される。2007年〜09年のリーマンショックは、1929年の大恐慌と同じような経緯があった。まず、社債市場に変化があり、国債市場の急落につながった。大恐慌を経験したパートナーから、社債市場の異変は国債市場につながるというアドバイスが残っていたので、ピクテは欧州債務危機につながる大きな混乱を回避できた。

 もちろん歴史の繰り返しは、全てが同じではない。大恐慌の時とは違って、今回のショックでは米欧日の同時金融緩和があった。約1,000兆円といわれる巨額なマネーが市場に流れ込んだ。この結果、2009年3月を底に、これまで9年間にわたる上昇相場が続いたことになる。繰り返しになるが、株式市場が7、8合目まで来ているなか、物価上昇圧力も高まっており、資産を運用するのは難しい時代だといえる。

資産保全にはグローバルな視点が必要

 資産保全の鉄則で最も重要なことは、「グローバルな視点で資産保全をする意思を持つこと」だ。この視点が日本人には欠けている気がする。日本人は、グローバルでは、ある意味どんどん貧しくなっているのに、それを外から見ていないので実感していない。

 グローバルに分散投資をするにあたっては、(1)人口が伸びている地域、(2)イノベーションが起きている分野、(3)金融の投入がある地域、すなわち、金利の引き下げや量的緩和の余地がある地域に投資する。これは経済の潜在成長力があるところに投資するということだ。

 割安な資産に投資する。これはタイミングの問題といえる。どのくらいのタイミングかというと、10年に1度くらいだ。そのくらいの頻度で考えるのが資産保全の鉄則。バーゲンハンティングといわれるような下がるタイミングを待っている。

 グローバルな投資資産のリスク・リターンを調べると、リスクが高いものはリターンも高いという当たり前のことがわかる。様々なリスク・リターンの中央部にあるような運用成績をめざすことが肝心だ。また、10年、20年先に世界がどうなっているかは分からないため、どの程度のリターンをめざすという考え方ではなく、「取ったリスクに見合ったリターンを得る」という考え方が重要だ。

図表1:グローバル分散投資:許容したリスクに見合うリターンを追求

図表1:グローバル分散投資:許容したリスクに見合うリターンを追求
  • ※ 世界株式:MSCI世界株価指数、世界公益株式:MSCI世界公益株価指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数、米国REIT:S&P米国REIT指数、その他各国株式:MSCI各国別株価指数、全て円換算
  • 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

グローバル比較で日本市場の特徴は?

 実際のファンドに置き換えて考えると、米国、欧州、日本の残高上位300本について、過去10年間のリスク・リターンの関係では、米国はマイナスが1本もない。比較して、日本ではリターンがマイナスになっているファンドが多い。日本には10年で年率8%マイナスというものもあるが、これは、10年持って1万円が2,000円になるということだ。このようなことが日本では起きてしまっている。流動性の少ない資産に投資する傾向があるためだ。

 世界の株価と世界経済の成長率を重ねてみると、相関関係が強いことがわかる。1971年以来、2017年末まで日本円換算で18倍になっている。世界の経済は伸びている。日本は、1990年以来、株価はボックス圏だが、日本経済も1995年以降は伸びていない。投資先を決める時には、経済が伸びているかどうかが重要なポイントだ。

 世界各国の労働人口の伸び率と経済成長率間にも強い相関がある。日本の経済成長率と人口増減率を重ねてみると、ここにも強い相関がある。人口が減少したにもかかわらず、成長率が伸びたのはバブル当時、そして今だ。現在は、量的緩和によって経済が押し上げられている。バブルといえる状況だ。

 日本は経済成長率が鈍化しているため、企業の借り入れ需要が高まらず、結果として金利も上がらないという状況が続いている。人口が減少しているため、ここから経済成長率を引き上げるのは、よほど大きなイノベーションが必要だろう。

株価がピークを迎える最終局面

 投資サイクルという視点で考えると、ピークからボトムへと大きなサイクルで捉える必要がある。現在は、ピークを迎えにいっている水準にある。株価は上昇し、金融政策は引き締め、長期金利が上昇し、経済は好調。そして、市場は将来の流動性危機を蓄積していっている局面にある。中小型株などリスクのある資産が動きやすいので投資家が飛びついて買ってしまう。この局面の投資行動としては、利食いをし、分散して流動性の高い資産に移しておく必要がある。

図表2:投資サイクル

図表2:投資サイクル

 今後、株価が下落する局面を迎え、経済もピークアウトし、流動性危機が発生する局面に移っていくことに備えなければならない。そのためには下落に強いポートフォリオを作っておく必要がある。不動産など流動性の低い資産は持たない。クレジットものや中小型株には深入りしないという判断が必要だ。流動性を確保した上で「バーゲンハンティング」に備えるようにしたい。

 米国債の投資収益率は、1805年以来の5年間保有の平均リターンが7%だったが、1981年に20%になるような大相場があった。国債のリターンから物価上昇率を引いた、実質投資収益率を見ると、過去に何度かマイナスになっている期間がある。米国債の実質投資収益率がマイナスになっている時は、米国債利回りが低下している時だ。金利水準が低い現在は、債券投資によってインフレに勝つのは難しい。また、米10年国債の利回りは、1981年当時の大相場から一貫して下がってきたが、直近では10年移動平均を抜けて上昇に転じている。大きな転換点を迎えているようだ。利回りが上昇する局面は、債券投資はマイナスに作用する。

 一方、株式を20年間保有した場合の実質投資収益率を調べると、1805年以来、一度もマイナスになったことがない。株式投資がインフレに強いといわれる所以だ。

株安を中央銀行が支える構図に変化、インフレ率に債券利回りで勝てない

 今後の米国市場の見通しは、トランプ大統領の行動が予測できないので難しい。今年11月6日の中間選挙に向かって、なりふり構わず公約を実行しようとしているようにも見える。米国の金利は上がってきているのに、法人減税を実施し、インフラ投資を強化している。さらに、輸入制限をかけているので、国内の物価は上がる方向だ。景気に減速懸念は小さい。また、ユーロの景気も強く、世界的に景気は良い。

 また、日本、イギリス、アメリカ、ドイツの金利とインフレ率の関係をみると、金利の平均をインフレ率が上回ってきている。債券の利回りではインフレ率に勝てなくなっていると言える。

 2007年以降は、株価が下落すると、中央銀行が資金を供給して市場を支えるということを繰り返してきた。既に、米FRBは資金供給をストップし引き締めに動き、欧州も止めている。日銀は依然緩和姿勢だが、グローバルでは供給量が10分の1に縮小する。これは、株価にはマイナスのインパクトになる。

 ピクテ・米国バブル・インデックスは、1を超えると株価に大きな調整が起こる指標だが、過去にブラックマンデー、エンロンショック、リーマンショックの時に1を上回った。現在は、1には届いていないが、相当高い水準に上がってきている。株価が7合目−8合目にあるというのは、この指標でもわかる。問題は、このようなピークを付けに行くときには、株価が大きく値上がりする傾向があることだ。したがって、バブル・インデックスが高いことは警戒するシグナルであるが、株価が下がると決めつけるものではない。

図表3:ピクテの市場分析の一例

図表3:ピクテの市場分析の一例
  • ※ 世界株式:MSCI世界株価指数、米国株式:S&P500種、現地通貨ベース
  • 出所:トムソン・ロイター・データストリーム、ピクテ・アセット・マネジメント

資産運用を取り巻く日本の投資環境、単純なバランス投資に限界

 日本円と、米ドル、ユーロ、英ポンドの単純平均との価格推移をみると、1999年12月〜2018年1月末までに、ほぼ横ばい、若干の円安という動きだ。この間、欧米と日本の物価上昇率には2%程度の差があった。累積した物価上昇率では欧米は過去20年間で50%ほど物価が上がった。日本は横ばいだ。通常、物価上昇率の低い国の通貨は上昇する。しかし、この間、日銀が金融緩和、量的緩和による強力な資金供給を実施し続けた関係で、やや円安になった。

 この結果、1人当たりGDPは、1995年当時に日本は4万3,455ドルで世界2位だったものが、2015年には、3万4,493ドルで22位に後退した。他国がGDPの水準を上げる中で、日本は円安の影響もあって減少した。円安によって円の価値が目減りしたというより、他の国の物価が上がったことで、円の価値が相対的に下がっている。近年のインバウンドブームは、海外からみると、日本の物価が相当安く感じられているということの証だ。

 日銀が発表している販売価格DIが1990年以降ずっとマイナスだったものが、ここ数年は上がり始め、現在はバブル期以来の水準になっている。企業側の感覚として製品の値上げができる環境になってきているということだ。また、コア・インフレーションも1990年をピークにずっと下がってきたが、5年移動平均が2016年に15年ぶりにプラスに転じた。ジワリと物価が上がっていることがわかる。

 中南米諸国では、過去デフレ経済が続いた間に、中央銀行が市場に資金供給を実施して物価が上昇に転じた時、50%、100%というハイパーインフレになっている。日本も市中に供給された資金量とモノの量の関係だけをみれば、中南米で起こったようなハイパーインフレになっても不思議ではない。それほど、インフレのマグマがたまっている状況ということだ。

 一方、家計の所得と非消費支出(社会保険保険料等)の関係は、所得が減っているのに非消費支出は増大している。家計が苦しくなったように感じる要因だ。

 今年の株安は、これまでと違って円高になっていない。リーマンショック以降は、株安と円高は強い相関関係があった。これが変わったというのは、何らかのメッセージである可能性がある。

 債券の価格と株価の推移を確認すると、これまでは株価が下がっている時には債券が上がり、バランス投資が効いていた。ところが直近では、債券の金利が下がったことで、株価も債券も一緒に下がってしまった。金利が下がっているので、クッション機能の回復には時間がかかるだろう。単純な株式と債券の分散投資では、今後の変動への備えとしては難しい環境だといえる。

図表4:1990年以降の市場調整局面

図表4:1990年以降の市場調整局面
  • ※ 月次ベース、世界株式(円):MSCI世界株価指数(円換算、配当込み)、世界国債(円ヘッジ):FTSE世界国債指数(円ヘッジ)
  • ※ ロシア・ショック:1998/7-1998/10、ITバブル崩壊:2000/3-2003/2、リーマン・ショック:2007/6-2009/2、
    チャイナ・ショック:2015/5-2016/2、直近下落:2018/1-2018/2
  • 出所:トムソン・ロイター・データストリーム、ブルームバーグのデータをもとにピクテ投信投資顧問作成

ピクテの資産保全術、より高度で多様な国際分散投資を組み合わせ

 世界のインフレ率が3.5%なので、これに対応する資産保全を図るのであれば3%程度のリターンを意識しなければならない。日本の国債は0.2%の利回りなので足りない。世界株式の益利回りは5.1%なので対応策になり得るが、価格の変動率が大きい。資産を保全する目的ならリスクが低い商品に投資することが重要だが、その領域は利回りが非常に低い。

 そこで、一つの手法になるのが、従来型の株式や債券に投資するバランス運用を、更に細かく細分化し、オルタナティブ資産も含めて幅広く分散投資する手法だ。このようなファンドになると、金融機関の販売員にとっても説明は簡単ではない。これからは、商品が販売員を選ぶ時代になるのかもしれない。債券投資の代替になる手段としては、細分化された分散投資ポートフォリオだ。ピクテ・グループでは自社の年金運用でも、近年はオルタナティブ資産を加えて多様な資産に分散投資する運用を行っている。

 このように多様な分散投資をすることによって、流動性が保てるとともに、資産価格の変動も安定する。従来の株式と債券では同方向に動くことがあるので、オルタナティブ資産も含めて幅広く分散することで安定を追求することができる。

図表5:バランス運用と分散投資戦略

図表5:バランス運用と分散投資戦略
  • ※ 上記の資産配分比率は、2018年2月末現在のものであり、今後変更される場合があります
  • ※ クアトロ:ピクテ・マルチ・アセット・アロケーション・ファンド

 もう一つは、株式投資の代替としてのバランスポートフォリオだ。従来のバランス運用は、債券ポートフォリオにプラスαのリターンを期待して株式を組み入れるというやり方だったが、株式をメインに運用していて、この成績を安定させるために、オルタナティブなど他の資産を組み入れるというやり方だ。ピクテには「アルテ」という運用商品がある。これは、株式の組み入れ比率を市場の環境に応じて機動的に変更している。

図表6:アルテ類似戦略

図表2:アルテ類似戦略
  • ※アルテ類似戦略:ピクテSICAV II-ダイナミック・アセット・アロケーション-I GBPクラス(運用関連費用等控除後、英国ポンド・ベースを円ヘッジ)、世界株式:MSCI世界株価指数(配当込、円換算)、為替ヘッジコストは簡便法(英国の短期金利(英国ポンドLIBOR1ヵ月物)-日本の短期金利(円LIBOR1ヵ月物))による計算であり、実際の為替ヘッジコストとは異なります。
  • 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

アルテの類似戦略の実績は、英国ポンドベースの運用成果を円ヘッジしたと仮定したもので、アルテの運用実績ではありません。アルテには為替リスクがあります。当類似戦略はアルテとは投資対象、配分、リスク水準が完全に一致するものではありません。また、過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 このように株式をメインにしてダイナミックに組み入れ比率を変更するような運用は、ヨーロッパやアメリカの東海岸に優位性を持つ運用会社が多い。米国時間に出た材料によって世界の株価が動くことが多いなか、日本では真夜中になってしまうので機動的に動けず、そのため日本に拠点を置いて運用することは長期には難しい。

 このような新しい考え方に基づいて作られたバランスファンドを複数組み合わせて保有することがさらに重要だ。難しい投資環境の時代に対応できる投資戦略をご検討いただきたい。

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