投信フェア2018 in 福岡採録投信フェア2018 in 福岡採録

特別講演 第4部

資産形成の考え方
〜キーワードは「低金利」と「物価上昇」〜

  • 東京海上アセットマネジメント株式会社
    執行役員 投信本部長
    外尾 竜一氏

大切な資産を減らさない

 今年4月に発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しによると、世界全体のGDP成長率は、16年に3.2%、17年3.8%に対し、18年の予想は3.9%、19年も3.9%成長の予想になっている。そして、3カ月ごとに発表している見通しレポートのタイトルをみると、2016年は「縮小」「停滞」「不透明」「需要不振」などネガティブな言葉が多かったが、17年は「回復」「持続的成長」という前向きな言葉になり、18年は「さらに明るい」「上向き」に変化している。

 日本株式に投資している方の中には、1万円を割れていた日経平均株価が2倍になり、2.5倍になって、これからどうなるのだろうと、そろそろ天井ではないかと気になっている方もいるのではないか。1989年のバブル景気や1999年のITバブルの頃と比較して、足元の日本株式市場は企業業績の改善が株価押し上げ要因となっている。引き続き、世界経済の底堅い成長を背景に、企業収益も拡大基調を維持すると想定されることから、株価も底堅く推移するのではないかと見ている。

 一方、気になることはいくつかある。まずは、米国トランプ政権の動向だ。トランプ大統領は保護主義的な傾向を強めており、特に、米中貿易摩擦が激しくなってきている。これまで自由貿易を掲げてきた米国だが、守ることによって一時的にはプラスの要因もあるのだろうが、停滞へのきっかけにならないのか懸念される。また、自動車などへの関税引き上げが実施された場合、日本企業にも影響が及ぶと見られるため注意が必要だ。

 次に、米国の景気回復を背景に同国金利は上昇傾向にある。このため新興国から投資資金が流出するのではないかという懸念が出ている。

 そして、北朝鮮問題やシリア情勢などの地政学リスクにも注意が必要だ。ここ半年間程度で見ると、以前と比較してやや懸念は後退しているようだが、何か起こると経済活動に制約がかかるようになるため、リスク要因として意識するべきと考えている。

資産形成はインフレ率2%を上回る「欲張らない投資」

 日本国内の投資環境に目を向けてみると、今、一番気にしなければならないのは「物価」の動向だ。政府・日銀は、物価上昇(インフレ)率2%を目標に掲げているが、足元(2018年5月)のインフレ率は0.7%で、物価は上がり始めているとはいえ、目標には遠い状況にある。

 物価が下がるデフレの時代には、企業の売上高が落ち、雇用が減って、賃金も下がる。それによって、個人消費が落ち込んで、経済活動は一段と低下するという悪い循環になる。これが、1990年代から2012年頃まで続いた状態だった。

 これがインフレになると、物価上昇を受けて企業の売上が伸び、賃金が上がり、消費が拡大する。消費拡大がさらなる企業売上の増加につながるという良い循環になる。これを政府・日銀は目指しており、その目標達成の手段の1つとして、金利を低水準に抑える政策を採っている。

対談用写真

東京海上アセットマネジメント株式会社
執行役員 投信本部長

外尾 竜一氏

 インフレ率2%の状態が5年間続いた場合、100円のモノの値段は、5年後に110円になる。ところが、低金利政策を採っている現在の環境においては、預金金利や個人向け国債の利回りでは、ほとんど資産が増えないので、物価上昇に追いつかない。本来は、インフレ率と金利は同じように動くのだが、今はインフレ率を上昇させるために、金利上昇を抑えている状態だ。

 「金利は付かなくても、お金が減らなければいい」という声を聞くが、デフレの時代であれば、モノの値段も下がるのでそれで良いが、インフレになると減らなければいいと思っていても、モノの値段が上がるので結果的に減ってしまうことになる。預金や個人向け国債では物足りない時代になっている。

 資産形成の考え方として、預金などで安全性・流動性を確保して、余裕資金で「育てる」「攻める」といった投資を考える、と言われるが、現在は預金では物足りない環境にあるので、これまでになかった「欲張らない」投資、預金から一歩踏み出した投資を考える必要がある。

図表1:配分比率調整により、リスク水準を抑えた運用を目指します

資産運用のブレない土台として、「円奏会」「ニッポン世界債券ファンド」

 「円奏会」は、モーニングスターのファンドオブザイヤーで、2年連続で最優秀ファンド賞を受賞しているが、受賞したカテゴリーはバランス安定型など「欲張らない」投資の分野だ。

 「円奏会」の特徴は、まず、投資対象を国内の円資産のみとして為替変動リスクがないことだ。また、日本債券を70%、日本株式と日本リートを合計で30%組入れることを基本とするが、基準価額の変動リスクが大きくなった場合、機動的に株式やリートの組入比率を引き下げ、最小で合計5%としている。

図表1:配分比率調整により、リスク水準を抑えた運用を目指します

 債券、株式、リートの過去5年間(2018年5月)のリスク(上下動の振れ幅)は、日本債券が2.0%、日本株式が19.8%、日本リートが15.0%となっている。「円奏会」はこれらの資産を組み合わせ、目標とするリスク水準を3%程度としている。

 日本債券のリスクが2.0%であれば、リスク3%が目標となると日本株式や日本リートを組み入れる余地はほとんどないように感じるかもしれないが、景気の拡大・後退期で債券と株式やリートでは値動きの方向性が異なる傾向にあるため、それぞれが補完する形となって合計で30%まで組み入れることができるようになる。

 過去のパフォーンマンスを3カ月ごとに見ていくと、設定から今年3月までにプラスが17回、マイナスが5回という結果だった。大儲けを狙うようなファンドではないが、預金だけでは物足りないという部分をカバーする商品としてご検討いただきたい。

 また、他の資産と組み合わせての投資も資産形成の手段として考えられる。たとえば、先進国株式と組み合わせた場合、先進国株式だけを保有するよりもリスクの水準を下げて、リターンはあまり落とさない運用成績になる。先進国リート、日本株式、日本リートと組み合わせても同じような効果がある。「円奏会」だけに投資するのではなく、他の資産と組み合わせて活用することもご検討いただきたい。

 「ニッポン世界債券ファンド」(為替ヘッジあり)は、日本企業が発行するA格以上の外貨建ての債券に投資する。実際の発行体の顔ぶれは、日本で誰でも知っているような大手企業ばかりになっている。外貨建てで発行するため、利回りは国内の社債が0.1%のところ3.7%と高い。為替ヘッジコストを支払っても1.37%の利回りがある(2018年5月末)。

 足元では、米国の金利上昇の影響によって基準価額は軟調な推移となっている。しかし、中長期的には、利息収入の積み上げの効果により、パフォーマンスは改善してくると考えられる。

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