投信フェア2018 in 福岡採録投信フェア2018 in 福岡採録

基調講演

急激な変化に備えた運用戦略

  • モーニングスター株式会社
    代表取締役社長
    朝倉 智也氏

穏やかに上昇した2017年比べ、大きな変化の兆しがある2018年

日本の家計に占める投信の額が、これまで100兆円と言われていたのが統計の間違いで73兆円でしかないことがわかった。1,850兆円のうち73兆円なので、わずか4%に過ぎない。米国では8,800兆円のうち20%を占める2,000兆円程度を投信が占め、株式を含めると50%以上を投資商品が占める。これと比較すると、日本の投信保有率は低い。

 日本人は、「元本保証」「元本確保」などの言葉に弱い。0.03%の預金金利では、1,000万円で3,000円の利息が付くだけに過ぎないのだが、預金の残高が多い。中長期で資産を増やすことを考えると、投信は良い器になる。

 投信にとって、08年9月のリーマンショック以降の10年間は環境が良かった。日経平均株価は7,000円台に下がった時には、専門家は2,000円になってもおかしくないといわれていたが、今では20,000円を大きく超えている。

 現在、急激な変化が起こっている。リーマンショック以降の金融緩和・量的緩和の時代が転換し始めている。米国は金利を上げ始め、今年後2回、来年は3回の利上げを実施するといわれている。そうなると短期金利が3%を超えてくる。つい先ごろはゼロ%金利だったものが3%になるというのは大きな変化だ。

 また、量的緩和もFRBの資産を9,000億ドルから4.5兆ドルへと5倍に増やしてきたのを量の削減に向かっている。FRBの量的緩和によって株や不動産に向かっていた資金が逆回転し始める。

対談用写真

モーニングスター株式会社
代表取締役社長

朝倉 智也

 これまで米欧日で量的緩和、金融緩和を実施してきたものが、米国は量的緩和の縮小をはじめ、欧州は量的緩和の規模を縮小しはじめ、今年末には量的な拡大を止めるとしている。日本は年80兆円の買い入れを続けると言っているが、実際には買える国債がなくなってしまって、40兆円〜50兆円くらいしか買えなくなってきている。世界的に段階的に量的緩和が終わろうとしている。

 量的緩和に支えられて世界の株価は上昇した。日本では7,000円台だった日経平均株価は2万2,500円と約3倍に上昇し、アメリカや世界全体の株価も3倍ほどに上がった。

 アメリカが金利を上げると、半年から1年後に大きなクラッシュが起きてきた。1995年に3%から6%にまで金利を上げた時には、アジア通貨危機が起こった。また、アメリカが利上げする時にはドル高・円安に進みそうだが、実際には円高に進んで日本の株価も下落している。

 ネットバブルの99年から2000年にかけても米国が利上げして、株価が急落。そこで1%に引き下げた。そこから再び5.25%まで金利を引き上げた後、パリバショック、リーマンショックが起こった。今回も来年に向かって金利を引き上げてゼロ%から3%を超えるまでの水準に金利を上げていっている。その後には注意が必要だ。

図表1:国内株式市場(サイズ別)の推移

 足元の経済成長は世界的に年3.9%成長が見込まれ好調だ。ただ、中国の第2四半期の成長率がやや鈍化していた。米中の貿易摩擦の影響が心配される。このまま世界の経済が成長を続けるのかということは注意深く見ていく必要がある。アメリカは現在は好調だ。失業率も低く、賃金も上がっている。ただ、原油価格が上がり始めた。米国人にとってガソリン価格が上がる影響は大きい。原油は一時期の1バレル33.75ドルから、最近では74.15ドルへと2倍以上に値上がりしている。

 米国の長期金利が上がってこない。通常は、短期金利に対して長期金利は高くなってイールドカーブといわれる利回り曲線が右の方が上がっていく形になる。ところが、現在のイールイルドカーブは横に寝ている。短期金利と長期金利の差が小さいのだ。これは、将来の景気の見通しに強気になれないことを意味している。短期金利は、今後も上がっていくので、このまま長期金利が上がらないと、長短金利が逆転する逆イールドになりかねない。かつて7回の逆イールドが記録されているが、全ての局面で景気が後退している。

図表1:国内株式市場(サイズ別)の推移

 もう一つ注意したいのは、価格変動率が大きくなってきていることだ。2017年はゴルディロックス(適温相場)といわれ、低金利、低インフレで景気が良く、安定して株価が値上がりした相場だった。ところが、2018年になって、1−2月に株価が急落し、価格が大きく動いた。これは、2017年が異常だったので、通常の価格変動率に戻ったといえる。

 量的緩和の終焉、米中貿易戦争、そして、価格変動率の向上は、これからの市場を考える上での大きなポイントになる。

広く分散して長期で考えることが投資戦略の要

 このような中での運用戦略は、投資期間を長く考えるようにしたい。新興国を含めた世界経済は緩やかに成長していく。世界経済は右肩上がりなので、世界株価も緩やかに上がっていくだろうというのが基本だ。ただ、どこが上がるかはわからない。どこが、どのようなスピードで伸びていくのかは予測ができない。これらを全て買っていくという姿勢が大事だ。

 個別銘柄になってくるとなおさらだ。2005年の時価総額上位銘柄と、現在の上位は大きく入れ替わっている。アップル、アマゾン、グーグルなどの米国IT企業に混じって、テンセントやアリババといった中国企業がベスト10に入っている。

 また、時代のリーダー企業の顔触れも10年単位で大きく変わっている。1980年代は日本がリーダーで日立やパナソニック、ソニーなどが良かったが、90年代になるとパソコンでウインドウズが世界を席巻し、マイクロソフトやインテルの時代、2000年になるとアマゾンが台頭し、現在は、アップルやグーグル、フェイスブックなどアメリカ企業がリードしている。これからの10年を考えると、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ブロックチェーンなどの新しい技術の時代になろう。

 次に何が成長するのかを予測することは難しい。まして、それに投資することは個人では難しいが、投信を使えばそれが可能になる。これからは、数年、数十年という単位で考えて、全体を広く買うような姿勢が重要になる。

 分散も大事だ。過去11年間の8資産の年間リターンの順位を並べていくと、次にどの資産が上昇するのかということはわからない。多くの投資家は、より良いパフォーマンスを求めて、その年に上昇した資産に投資しがちだが、翌年はパフォーマンスが悪いということが良くある。どれが良くなるのか分からないので、全部まとめて買うことを提案している。

 もうひとつ、タイミングを測って投資することをやめようということも申し上げたい。たとえば、「三井住友・げんきシニアライフ・オープン」は、非常に優れたパフォーマンスを残しているが、それでも1年間だけの投資であれば、投資タイミングによってはマイナスになることもあった。ところが、3年間継続して投資した場合、5年間投資した場合ではマイナスになることはなかった。しかも、5年間投資の平均リターンは年率23.41%になっている。

 同様のことは、Jリートファンドやグローバルリートファンドでもいえる。5年間持ち続けると、どのタイミングで投資していてもプラスのリターンになっている。長い目で投資することが大事だ。

「つみたて」による時間分散の効果を使う

 また、現在の日本株の水準から、更に上がっていくのか、反対に下がるのか、あるいは横ばいかと問われた時に、これから先を正確に予測できる人はいない。だから、時間を分散して購入する効果がある。たとえば、過去20年間毎月1万円ずつを日経平均株価に投資した場合と、一括して投資した場合の投資成果を比べると、毎月積み立て投資した方が良い運用成績になった。しかも、毎月積立をしている場合、株価の下落によってマイナスの成績になっている時にも、損失額が小さい。心穏やかに投資することができる。

図表1:国内株式市場(サイズ別)の推移

 「つみたて」と聞くと、シニアの方々は、若い人が資産を作るためにやることで、ある程度の資産を持っている自分には関係がないと感じられるかもしれないが、「時間分散」の効果は、全ての人にメリットがある。3000万円の資金があるのであれば、それを一括して投資するのではなく毎月30万円ずつ投資するという行動が大事だ。

 たとえば、3000万円を作るのに、当初は1200万円を投資し、その後、毎月25万円を5年間投資すると、年率2.9%の安定した利回りで到達できる。あるいは、若い方が長期で5000万円を作る時、当初は100万円で毎月5万円を30年間積み立てると、年率5.5%で運用できれば5000万円になる。

 このような時間分散の投資を考えると、たとえば、3%前後の利回りを求めるのであれば、債券を組み入れた安定型のポートフォリオを組めばよい。また、5%台であれば株式100%の運用プランがある。どの国が大きく成長するかは事前には分からないので、新興国も含めた分散投資したポートフォリオにしたい。

 大事なことは、今いくらあって、何年後にどのくらいの金額にしたいかという計画を立てることだ。福岡フィナンシャルグループに詳しいアドバイザーがいるので、相談してみてはいかがだろう。大事なのは、何を買うのかということではなく、資産の分散をしっかりすることだ。投資の80%以上はアセットアロケーションで決まるといわれる。中長期の目線でしっかりと資産を分散、時間を分散して投資し、心穏やかな投資を進めていただきたい。

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