投信エキスポ2016投信エキスポ2016

特別パネル対談

〜いまからはじめる未来の資産作り〜
《資産形成のポイントと積立投資のメリット》

パネリスト

  • fpフェアリンク株式会社
    代表取締役 
    白浜 仁子氏
  • モーニングスター株式会社
    プロダクト開発本部 ファンド分析部 マネージャー 
    坂本 浩明

コーディネーター

  • ふくおかフィナンシャルグループ FC企画部
    福岡銀行 FC推進部 FC推進室 室長 
    井ア 一氏

資産形成のポイントは?

井ア氏:
資産形成のポイントについて、低金利、かつ、人生100年時代において、運用で資産を増やしたいというニーズが高まっていますが、そもそも資産形成の方法がわからないという方も少なくありません。
白浜氏:
資産形成については、まず、「何のために資産形成するのか」ということを考えることが第一だと思います。多くの方が、将来に向かって資産を作らなければと考えているのですが、実際に何のお金の準備をするために運用が必要なのかなどが、あいまいなままだという印象があります。
自分の一生のライフイベントについて、どんなお金が必要なのか、それに向けて、今、どの程度の準備ができているのかということを踏まえながら、短期と中期と長期というように、3つにサイフを分けることが大事だと思います。長期は「投資」をするサイフです。中期は、定期預金や国債など安定的な運用。短期は、日々の生活費なので普通預金になります。
一番分かりやすいのは、老後の資金をどうするのかという課題があります。年金が目減りをする時代に、自分で自分の身を守るために資産運用を取り入れていかなければなりません。長期のサイフには、老後を見据えた資金について準備を進める必要があります。
学資の準備を中期的な目標として進めることがあります。これが、生まれたての赤ちゃんであれば、大学まで18年間ありますので、長期のサイフで考えることもできます。ちなみに、教育資金については、児童手当をずっと使わずに貯めたら全部で200万円くらいになります。大学資金の40%が賄える計算です。
対談用写真

fpフェアリンク株式会社
代表取締役

白浜 仁子氏

井ア氏:
投資信託やその他の商品がありますが、これらのメリット・デメリットなどについてご説明いただけますでしょうか?
白浜氏:
まず、株式への投資は、大きな値上がり益を狙うこともできますが、その反対もあるということで、リスクが大きいといえます。値上がり益を狙えることは大きなメリットです。たとえば、20年くらい前はファーストリテイリングの株を500円〜600円で買えましたが、今では5万円を超え、100倍くらいになっています。この反対のこともあり、倒産して紙屑になってしまうリスクもあります。これはデメリットです。
対談用写真

ふくおかフィナンシャルグループ FC企画部
福岡銀行 FC推進部 FC推進室 室長

井ア 一氏

ただ、資産形成という観点で考えると、もしかしたら紙切れになってしまうかもしれないものに、自分の人生を委ねるのは厳しいです。その点では、広く分散して投資できる投資信託はメリットがあります。
一方、保険は、基本的に保障を得る商品です。死亡保険など保障を得ながら、少しずつ積み立てて運用する商品です。運用の効率という点では見劣りします。それぞれ、資金の目的などによって取捨選択することが必要だと思います。
井ア氏:
2018年は、日経平均株価が7年ぶりに下落する厳しい投資環境になりました。
坂本:
2018年を振り返ると、株安の印象が強かったと思います。資産別の騰落率は、日経平均株価が12%下落しましたが、中国の株式(マイナス24%)や中小型株式(マイナス20%超)などは厳しい下落でした。しかし、国内リートは9%以上の値上がりでした。さらに、債券も一部でプラスのリターンでした。株安であっても、国内リートなどに分散投資していれば、分散効果がありました。
対談用写真

モーニングスター株式会社
プロダクト開発本部 ファンド分析部 マネージャー

坂本 浩明

図表1:2018年のカテゴリー別リターン(上位5、下位5)

図表1:2018年のカテゴリー別リターン(上位5、下位5)
  • ※上位5、下位5カテゴリーはブル・ベア型を除く
  • ※モーニングスターインデックス(単純)に基づく
  • ※(F)は為替ヘッジなし、(H)は為替ヘッジあり
  • 出所:モーニングスター作成
井ア氏:
中長期的にみた分散投資効果は?
坂本:
過去15年間の分散投資効果を見てみますと、国内債券だけに投資した場合は、1万円で始めて1万2,000円弱の水準ですが、国内債券と国内株式に分散投資すると1万6,000円くらいになります。さらに、海外の株式と債券を加えて4資産にした場合は、1万7,000円超えになります。そして、国内外のリートを加えた6資産にすると2万円を超えてきます。より幅広い資産に投資することによってリスクを抑えてパフォーマンスも良かったということが分かります。

図表2:分散投資のパフォーマンス(過去15年間)

図表2:分散投資のパフォーマンス(過去15年間)
  • ※分散投資のパフォーマンスは以下のモーニングスターインデックス(単純)に基づく。国内債券=国内債券・中長期債、国内株式=国内大型ブレンド、外国債券=国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)、外国株式=国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)、国内REIT=国内REIT、外国REIT=国際REIT・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)。各資産を均等配分で投資、月次でリバランスしたとして計算
  • ※期間:2004年1月末〜2019年1月末(2004年1月末を10,000として指数化)
  • 出所:モーニングスター作成

分散投資の実際と投資信託の選び方

井ア氏:
国内外の資産に投資する国際分散投資が重要であるということが分かりました。実際に複数の資産に分散投資するとして、どのファンドを選べばよいのでしょうか?
白浜氏:
投資信託選びについては、まず、「分散する」ことが大事です。値上がりする資産は、その年によって違うので、安定した運用がしたいということであれば分散投資は欠かせません。
ただ、分散しても1年では明暗が分かれます。分散して長期で持つことが大事です。さらに、タイミングが気になる方もいます。いつ買えは良いのかということですが、この場合は、積み立てをするということを考えてください。長期の視点で、分散して積み立てるということを死守してください。
また、自分のコアになるファンドを持ち、サテライトでエッセンスとして違うタイプのファンドを組み合わせて運用してみてください。そうすると、楽しみながら資産形成ができると思います。
投資信託の種類には、運用方針の違いによってインデックスとアクティブがあります。インデックス型は、世の中の平均点狙いの投資です。日本株であれば、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)と同じ程度の運用成績をめざします。一方で、アクティブ型は、積極的に平均点以上の成績をめざすものです。
それぞれ特徴を踏まえながら、過去の実績を参考に選ぶことを心掛けてください。最後に手数料についても比較して選んでいくことが大事だと思います。
坂本:
ファンド選びについて、モーニングスターの指標があります。モーニングスターレーティングで、星の数で格付けしています。カテゴリー内での相対的な運用の効率性を示しています。運用の効率性は、リスクを考慮したリターンで評価しています。また、3年以上という中長期のパフォーマンスを見ています。
井ア氏:
運用成績は中長期的に見るという話でしたが、コストについてはいかがでしょうか?
坂本氏:
信託報酬についても同じカテゴリーで比較しています。2017年8月から、「モーニングスターフィーレベル」という指標を公表しています。アクティブとパッシブを分けて評価しています。5段階評価でコストが比較できます。

投資する商品を組み合わせる時のポイントは?

井ア氏:
商品の組み合わせについては?
坂本:
ファンドの組み合わせを考える時には、分散投資は異なる値動きをする資産同士を組み合わせるようにしましょう。異なる値動きをすることを確認するために、「相関係数」という指数があります。「+1」が全く同じ値動きをし、「−1」が全く逆の値動きをする資産ということになります。相関係数が「−1」に近いほど、分散効果が高いということになります。例えば、日本株式との相関係数を過去15年間で調べると、日本債券が「−0.25」になって、最も分散投資効果が高いということがいえます。
一方、地域分散すれば、分散効果が得られるということもありますが、国内株式と外国株式の相関係数は0.73です。ある程度の連動は避けられません。したがって、分散投資をするということであれば、株式に株式を組み合わせるより、国内外のリートや外国債券など異なる資産と組み合わせることが重要です。

図表3:相関係数とは?

図表3:相関係数とは?
  • ※国内株式との相関係数(過去15年間)は以下のモーニングスターインデックス(単純)に基づく。国内債券=国内債券・中長期債、国内株式=国内大型ブレンド、外国債券=国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)、外国株式=国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)、国内REIT=国内REIT、外国REIT=国際REIT・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)
  • ※期間:2004年1月末〜2019年1月末
  • 出所:モーニングスター作成
井ア氏:
相関係数によってイメージはつかめたのですが、より具体的に理解するために、個別のファンドを使って説明してください。
坂本:
まず、ファンドを選ぶ上で、レーティング3以上、フィーレベルを平均以下で選びます。その上で、パッシブファンドを活用すると、ポートフォリオを組む場合に便利です。
実際に組み合わせる時は、まず、株の比率をどの程度にするかということを考えます。若くてリスクを取れる方は、株式の比率を高めにします。リスクを取りたくない場合は、債券の比率を高めます。次に、地域分散を考えます。
コア・サテライトの考え方によりますと、たとえば、日本株のインデックスファンドは、株式投資のコアとして位置付けられ、そこに、日本株の中小型で運用するアクティブファンドをサテライトとして組み合わせます。重要なのは、コアを多めにすることです。
また、外国株式は先進国株式をコアとして、新興国株式ファンドをサテライトとして入れるという考え方です。このように、全体の枠組みを決めて、その資産配分に沿ったファンドを組み合わせていくという考え方もできますし、もっと手軽に分散投資をしたいという場合は、バランスファンドを選ぶということも、ひとつの方法です。
井ア氏:
資産の分散と同様に大切なのが、時間分散といわれます。2018年1月にスタートした「つみたてNISA」の利用者が拡大していますが、この活用法は?
白浜氏:
つみたてNISAがスタートして1年少しで、既に利用者が100万人を突破しています。資産運用のご相談は増えていますが、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)についての関心が高まっています。
ただ、注意をしたいのは、積み立て投資をしていくことの意味をしっかり理解して始めなければならないと思います。積み立てのいいところは、タイミングを考えなくても良いことです。高い時にも安い時にも買い続けていきます。たとえば、パンを買いに行った時に、100円のパンに50円の割引シールが貼ってあれば、100円で2個買えます。投資は、下がりっぱなしも上がりっぱなしもないので、下がっていれば、どこかで上がります。安い時に買えたら、多く買えるので喜んでいいのです。
ネット証券では、下がる時に積み立ての解約が目立つと聞きます。対面と違って、相談する相手がいなくて自分で決めて投資をされているので、そこが、対面で投資されている人との差になっているのかもしれません。ですから、まず、積み立ての効果について理解することが大事だと強調しておきたいと思っています。
井ア氏:
ライフプラン全体を俯瞰した商品選びが大事であること。そのためには、資産の分散、時間の分散を長期で実践していくことが大事であるということが良くわかりました。最後にお二人からメッセージをお願いします。
坂本:
足元の経済指標をみると、中国の経済指標が厳しくなっています。今まで以上に分散投資を心掛けていただいて投資されることが大事になっていると思います。
白浜氏:
少子高齢化で日本の社会は厳しくなり、税金があがって、社会保障が減っていくなどという話題がありますが、つみたてNISAなどの仕組みも提供されています。これらは、社会的に有利な仕組みも自動的にみんなに与えられるのではなく、アンテナを張って自分から取りに行くことが大事です。資産運用を含めてマネー知識が求められている時代です。相続や税金など、マネープラン全般について情報を取りながら、資産形成を進めていただきたいと思います。

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