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講演

J-REIT、インフラファンドの最新動向と投資のポイント

  • モーニングスター株式会社
    プロダクト開発本部 ファンド分析部 マネージャー 
    坂本 浩明

安定的なパフォーマンスが魅力のJ-REIT

 J-REITは東証REITでみると、2019年2月末に1850ポイントで高値圏にあります。昨年のパフォーマンスが好調でしたが、今年も好調を維持しています。

 2013年にアベノミクスが始まったところから、現在の好調な相場がスタートしました。日銀による大規模な金融緩和によって、東証REIT指数は堅調な推移が続いています。

 昨年のパフォーマンスについて、モーニングスターのカテゴリー指数を使って主要資産の動きをみてみると、日経平均株価は7年ぶりに下落し約12%のマイナスでした。アベノミクス以降、初めての大きな下落になりました。他の資産では、中国の株式は20%超下落しました。国内の株式の中では中小型の株式が、2017年の好調な運用成績の反動もあって20%超の下落になりました。

図表1:2018年のカテゴリー別リターン(上位5、下位5)

図表1:2018年のカテゴリー別リターン(上位5、下位5)
  • ※ 上位5、下位5カテゴリーはブル・ベア型を除く
  • ※ モーニングスターインデックス(単純)に基づく
  • ※ (F)は為替ヘッジなし、(H)為替ヘッジあり
  • 出所:モーニングスター作成

 半面で好調なセクターは、トップにJ-REITで9%以上値上がりしています。主要資産の中でも、J-REITのパフォーマンスは抜きん出て良いものでした。

 過去1年間の動きを、TOPIX(東証株価指数)とドル円、そして、東証REIT指数で比較すると、株価は乱高下し、昨年10月以降に大きく下げました。為替も株安の時期に円高になっています。年末年始にかなり円高が進みました。このような中にあって、1年間安定した値動きで右肩上がりでした。

 REITはディフェンシブな性格があるといわれ、株安や円高が進むような局面でも下げ渋る特性をもっています。株式市場にはグローバルで活躍している企業も多く、海外の株安で株価が下落することもありますが、J-REITは国内不動産がメインですので為替の影響も受けず、米国や中国など海外の株安の影響を受けることもありません。昨年1年間は、その特性が良く表れました。

図表2:国内株式、J-REIT、米ドル・円の推移

図表2:国内株式、J-REIT、米ドル・円の推移
  • ※ TOPIX(配当込み)と東証REIT指数(配当込み)は2018年2月末を10,000として指数化
  • ※ 期間:2018年2月28日〜2019年2月28日(日次)
  • 出所:モーニングスター作成

 日銀は、J-REITを年間900億円買い入れると言っていて、2015年以降に900億円前後の買い入れを実施してきましたが、2018年は約560億円と未達でした。日銀はJ-REIT市場を支えるために買いを入れていますので、2018年は市場を支える必要がなかったという見方もできます。今年の日銀買い入れ額も低水準ですが、東証REIT指数は堅調に推移しているので、日銀頼みの市場ではないということができます。

 金融政策は重要です。海外REITも同様に、中央銀行の政策と長期金利の動向に左右されます。REITは銀行から借金をして物件を取得しますが、その借入コストと政策金利や長期金利は直結しています。低金利になるほど、REITにはプラスです。国内の10年金利は低水準で推移しています。これが、J-REITの業績を下支えしています。日銀が1月の金融政策決定会合で物価の見通しを下方修正していますので、当面、金利が上がるような状況ではないといえます。

 アメリカの金利も上昇していましたが、年明け以降に金利が低下傾向にあります。FRBが利上げを小休止しようという話になって、利上げにピークアウト感が出ています。世界的に金利上昇に打ち止め感が出ていることは、グローバルREITのプラス材料になっています。

 国債利回りとREITの金利差はポイントです。日本国債の金利は現在マイナス0.02%で、J-REITの平均は3.89%になっています。この差をスプレッドいって、これが大きいほどJ-REITの魅力が高いといえます。この格差がどのようであるかが重要です。アメリカは、利回り格差が日本や欧州と比べてタイトになっています。グローバルで投資する投資家は、アメリカのようにスプレッドが取れなくなっている市場より、欧州や日本のようにスプレッドが大きな市場に投資をしたいといえます。

 J-REITの増資について、その件数と総額は、2017年に一旦公募増資が少なくなって18年に戻ってきました。増資はマーケットでは売り材料になっていました。増資して、物件を購入しても高値掴みになってしまうのではないかと懸念されたためです。2019年にも増資が増えています。19年は18年と比べて増資をプラスに評価するようになってきています。これは、都心のオフィスの空室率が低いなど不動産市場が好調であることを評価しているためです。賃料の伸びが期待できるというマインドに変わってきています。

 J-REITの投資家として外国人投資家と投資信託が大きいのですが、特に外国人投資家が18年11月と19年1月に大規模な買いを入れています。投資信託のお金は、毎月分配型の投資信託によってJ-REITに投資するファンドから流出していたのですが、その売りも一巡し、今年はプラスで資金流入になっています。ETFを通じてJ-REITを買う動きは安定しています。

世界的に関心が高まるインフラファンド

 インフラファンドは、太陽光発電や港湾施設に投資するファンドです。そこから得た収益を投資家に分配するファンドですが、現在のメインは太陽光発電です。

 国の財政難があり、民間の資金やノウハウを活用していこうという国策として振興が図られています。2015年4月30日に市場が開設され、16年6月に第1号ファンドが上場しました。

 日本の電源構成は、天然ガスや石炭が多く、再生可能エネルギーは水力発電を除くと2013年度に2.2%に過ぎませんでした。2030年には13.4%まで増やしていく方針であり、その対応策の一つとしてインフラファンドが脚光を集めています。

図表3:再生可能エネルギー市場は拡大へ

図表3:再生可能エネルギー市場は拡大へ
  • 出所:経済産業省平成27年7月「長期エネルギー需給見通し」
  • (2030年の見通しはレンジで示されている場合下限に基づく)

 太陽光発電では、収益が日照時間によって変動するという特徴がある。株式のように景気によって収益に影響が及ぶような影響は受けにくい。また、国が国策として再生可能エネルギーを固定価格で買い取るという制度を置いているため、20年間固定で長期の収益を見通しやすくなっている。そして、REITの税制優遇と同じように、配当可能利益の90%以上を分配すれば実質的に法人税が免除されるというメリットがあります。

 銀行からの借り入れ、また、投資家から調達する資金によってインフラに投資していくという点では、J-REITと同じです。調達した資金で、どのような資産を取得していくのか。また、日照時間によって収益に差が出るため、地域分散によって収益の安定化が図られているのかもチェックが必要です。地震等へのリスクもあります。そして、借り入れ余力もチェックします。

 インフラは世界の投資家の間で注目されています。日本の公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も2014年からインフラ投資を開始しています。インフラを含むオルタナティブ資産に5%を上限で投資ができます。海外の年金基金や政府系ファンドもインフラに投資しています。

 昨年末にマーケットが荒れ、貿易摩擦の行方が不透明で、特に中国の経済見通しが不透明です。J-REITやインフラファンドは安定した運用先として注目されています。

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