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米国株式セミナー米国株式セミナー

掲載期間:2019年12月20日〜2020年1月20日

第一部講演

グローバル経済から見る米国株の成長力と魅力

  • エモリキャピタルマネジメント株式会社
    代表取締役 
    江守 哲氏

世界経済の現状と世界の株価

 世界の投資家は、グローバルな投資を考えたとき、まず、アメリカ株から考えます。皆様も株式に投資することを考えた場合、まず、アメリカの株を見ることをお考えいただきたいと思います。経済、政治などは、アメリカ発で動き、その次に影響力のあるのは中国です。日本の政治、経済のニュースで世界の市場が動くことはありません。しかし、アメリカの雇用統計の数字ひとつでマーケットは動きます。その点でも、まず、アメリカを見る必要があることがお分かりいただけると思います。

 OECDが11月に発表した世界経済見通しは、2019年に2.9%成長になっています。世界の経済成長が3%を下回った場合は、これまでは景気がピークアウトしたとみられてきました。2019年が終わってみて2.9%だったと確認できれば、世界の景気がピークアウトしたかもしれないと頭の片隅に置くようにしてください。

 中国は、今年は6%台を維持する見通しですが、来年は6%を下回る見通しになっています。ただ、中国は6.5%成長を下回ると来年までの所得倍増計画が未達成になってしまいますので、6.5%という成長率は数字として作ってくると思います。

 中国の貿易は、2018年の輸出は米国向けが一番多く、次いでEUです。米中貿易戦争の行方は世界経済に影響を与えます。中国の輸出入の動向を見てみると、輸出は下げ止まってきていますが、輸入が非常に弱いです。中国の内需が回復していません。米中貿易戦争が繰り広げられる中で、世界の貿易量は落ち始め、主要国の貿易量ではユーロ圏の貿易が弱くなっています。

 中国の経済データは、基本的に前年同月比でみて、依然としてプラス成長ですが、前年同月比の伸び率は小さくなっています。伸び率が小さいからといって、景気が減速していると思うのは間違いです。成長度合いがマイナスになると違うステージですが、プラスが続いている間は、さほど心配する必要はないと思います。

対談用写真

エモリキャピタルマネジメント株式会社
代表取締役

江守 哲氏

 製造業のPMI(購買担当者インデックス)は、2015年1月から2016年6月まで低下しています。この6月にはイギリスでEU離脱に関する国民投票がありました。そこがボトムとなって、景気が戻り始めて2018年1月がピークです。この月の雇用統計の数字が強すぎて2月、3月と株価が大暴落しました。そこが一つのピークになっています。そこから下がって、今年の7月、8月に底を打ちました。PMIは1年半くらいのサイクルで動いています。そのサイクルは、今年の夏にボトムアウトしている可能性があることに注目してください。

図表1:主要国の経済指標の推移

図表1:主要国の経済指標の推移
  • 出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント作成

 もうひとつ、OECDが発表する各国の景気先行指数の推移をみると、中国はどの国よりも早くピークをつけ、また、ボトムもつける傾向にありますが、その中国の先行指数は今年2月に底入れしています。中国のOECD先行指数は、上向いてから1年から1年半くらいのサイクルがあります。普通に考えると、来年の真ん中から年末までは拡大基調が続くだろうと考えられます。

米国経済はいつピークアウトするのか?

 米国の主要経済指標をみると、前年同月比でプラスマイナスが半々くらいの数字になっています。今の市場の懸念は、景況感(センチメント)の数字が弱いことです。消費者信頼感指数、ISM製造業景況感指数などが弱い状態で続いています。幸い、今、住宅価格は高値を更新し続けています。ただ、懸念は商業用不動産の価格がリーマン前の水準と比較して約50%上回っていることです。バブルといわれたリーマン・ショック前よりも、すでに5割も高くなっています。これは気を付けた方が良い部分です。

 米国の雇用は堅調です。非農業部門の雇用者数は、十分に良いといわれる12万人〜15万人くらいの数字がおおむね出ています。失業率も3.6〜3.7%で悲観的になる必要はありません。ただ、求人数は昨年11月にピークをつけて落ち始めています。この傾向が続くようだと、いずれ雇用の数字が落ちてきます。毎月の数字をチェックする必要があります。

 消費者信頼感指数は期待値と現況値の差が今のところ下がっていますが、これが上がっていくとリセッション入りになります。そして、失業率も現在は低下傾向で3.7%ですが、これが4%を超えて上がっていくとリセッションのサインです。また、イールドスプレッド(10年国債と3カ月物Tビル利回りの差)が今はほとんどゼロですが、逆ザヤになると景気や株価も調整に入ります。この3つとも悪い方向に転換すれば、景気後退が懸念されます。

 米国のGDPの拡大期間は過去最長です。そろそろピークアウトしてもおかしくないといわれながら、なかなか悪くなりません。市場が懸念している時には、なかなかピークアウトしません。ピークアウトするときには、市場全体が楽観している時です。

アメリカの株式市場はやや行き過ぎ感

 FRBは10月から短期国債を月額600憶ドル購入することで市場にお金を出す実質QE4(量的緩和第4弾)といえる量的緩和を始めました。これを受け、株価も上がっています。

 これまで、0.25%ずつ3回にわたって利下げをし、0.75%金利が下がりました。このような時は、過去、良い結果がでています。景気が悪くなる前に行われる予防的利下げは、1995年と1998年に実施され、株価はその後1年間で20%程度値上がりました。2001年のハイテクバブル、2007年のリーマン・ショック前のサブプライムローン問題の時の利下げは悪いパターンで、景気が悪くなってから、0.5%の利下げをドンと実施しました。このような利下げをすると、それほど景気が悪いのかと市場が受け取って、株価は1年間で20%程度下落しました。今回は、予防的に利上げしたパターンですので、株価にはプラスの要因になると思います。

 住宅市場は住宅着工件数、販売件数ともに右肩上がりで上昇しています。アメリカの株価は、これら住宅指数と同じ方向を行きます。住宅が崩れなければ、株価も崩れないのです。今、住宅は金利が低くて、非常に良い状態です。

 ラッセル2000という米国中小型株式のインデックスが、直近で高値を更新しました。1977年以降のラッセル2000の移動平均線の50日と200日のゴールデンクロスが15回あったのですが、その後の平均騰落率は1年後に16.5%です。1年後に上がる確率は86.7%です。ラッセル2000の出遅れ感が今後回復する可能性があります。

 ただ、ISM製造業景況感指数も消費者信頼感指数も悪化しているのに、株価は反応していません。株価はいったん調整した方が良い場面です。

 たとえば、バフェット指数という、アメリカの時価総額を時価総額で割った指数は、今は147%という過去最高の水準になっています。ハイテクバブルの時の142%よりも高いのです。バフェット氏が運用するバークシャー・ハザウェイの手元流動性が過去最大級の現金比率になっています。CAPEレシオも過去最高レベルにあります。

図表2:米国株のバリュエーション

図表2:米国株のバリュエーション
  • 出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント作成

 S&P500はPER19.65倍になっています。最近にない数値です。PERが高いときは株が上がりやすく、20倍超は1945年以降で9回あり、1年後に株価が上がっていた確率は75%、8.46%プラスでした。PERが高いからといってすぐに下がるものでもありませんが、現在の株価はEPSと比較すると上昇ピッチが速すぎです。少し調整した方が良いといえます。

 一方、VIX(ボラティリティインデックス)は10倍から12倍まで下がると株価がピークアウトして下がるというのが過去の例です。直近で11.54まで下がりました。これは、昨年の10月3日、株価が暴落する前日以来の低水準です。VIX先物は売りポジションが多いときは楽観的になっているということですが、直近では上場来で最大の売りポジションになっています。楽観的になり過ぎているような状態です。

 VIXの水準別リターンを調べると、VIXが35を超えると大きなリターンを得られるというのが過去のデータでは分かります。今は現金比率を上げた方が良いタイミングです。現状は、現金化しておいて、株価が上がっても悔しがらない。VIXが30を超えるほどに株価が下落したら買い出動します。

 米国大統領の任期3年目の株価のパフォーマンスは、過去、非常に良いものになっています。アメリカの投資家は、アノマリーが好きで、大統領の1期目、2期目などの四半期ごとのパフォーマンスのデータを持っていて、そのデータに基づいて、ポジションを考えるようにしています。3年目のパフォーマンスは4年の中で一番高いのです。4年目は上昇率が少し落ちて平均で6%くらいの上昇率です。

具体的なポートフォリオの考え方

 世界の株価をリーマン・ショック後でみるとS&P500は2番目です。インド株が一番良い成績になっています。インドは、生産年齢人口が2040年まで拡大傾向が続きますので、次の注目市場です。どこの株式市場に行くのかというと、実績の強いアメリカ、そして、インドなどが良いと思います。

 S&P500に投資した場合、1970年に1ドル投資してずっと保有していると、現在は116ドルになっています。ハイテクバブルの時に投資していても、ずっと持っていたら、5年、10年持っていると必ずプラスになっています。日本株は、このようなことはありません。企業の成長力が全然違うのです。アメリカの株はずっと投資をし続ける方が良いということがご確認いただけます。

 たとえば、長期に安定した収益をあげ配当がきちんと出ている銘柄をコアに70%程度投資します。コカ・コーラやジョンソン&ジョンソンのような会社です。マーケットのシェアが大きくて簡単には崩れない企業です。次に、成長企業に2割くらい投資します。3−4年くらいで株価が大きく値上がりする期待があります。GAFAと言われる企業などは、安定と成長の間くらいに入る企業だと思います。さらに、10%くらいを新興企業に投資する。最悪でゼロになるかもしれないのですが、うまくいけば大きく値上がりする企業です。

 事業体やセクターで考えると、半導体、電子決済、医療、自動運転などは将来性があります。たとえば、マスターやVISAは電子決済で、金融商品取引所、格付け機関なども安定的に伸びています。

 良い銘柄をピックアップしてポートフォリオを作って2016年末でポートフォリオを作るとS&P500よりも高いパフォーマンスになっています。アメリカの株は長期でもって、高くなりすぎたらいくらか売って、その後、株価が下がったら買い増すようにして、長期で増やしていく運用をすると10年、20年後に良い結果がでてきます。人生100年時代ですので、長期で投資していただきたいと思います。

図表3:投資配分イメージ

図表3:この文章はダミーです。
  • 出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント作成
  • ※(下図)2016年末=100、配当を含まず
  • ※(下図)2016年末にポートフォリオを構築し、保有し続けた場合

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