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資産管理のキホン

資産を目減りさせないために知っておきたい2つのルール

2015-08-28

 ファイナンシャル・プランナーとして多くのお客さまからご相談をいただく中で、資産を「増やしたい」以上に「減らしたくない」というニーズを持ったお客様は意外と多いです。今回は「資産を目減りさせない」ためにはどうしたら良いかを考えてみましょう。

 ポイントは「運用で大きな損をしない」と「インフレによる資産価値の下落を防ぐ」の2つです。

「資産の目減り」の2つの意味

 「資産を目減りさせない」には2つの意味があります。1つは、”大きな損をしない”こと。もう1つは”インフレに備えて資産価値を減らさない”ことです。

 まず、1つめの”大きな損をしない”とは、できるだけ元本を減らさないようにするということです。例えば、元本100のものが3年後に50まで下がってしまったとします。そうすると、元本は50%減になります。しかし、それを取り返そうと思うと今度は2倍、つまり100%アップを目標としなければなりません。大きな損失を取り戻そうとすると、より大きなリスクを取りに行かなければなりません。

”大きな損失”を防ぐためには

 大きな損失を出さないためには、保有資産のリスク管理が必要となります。

 保有資産のリスクを測るには、標準偏差を見ると良いでしょう。標準偏差とは資産の値動きの大きさを表しており、この標準偏差が大きいほど、目標とするリターンに対するブレ幅が大きくなります。

 ただ、資産は一つのものを持つより複数のものに分散してポートフォリオを組むことで、全体のリスクを低減させることができます。この資産分散によってリスクを抑えることが”大きな損をしない”ために大切だといえます。

”資産分散”以外のリスクを抑える方法は?

 資産分散以外のリスクを抑える方法として、時間分散や通貨分散が考えられます。

 時間分散の良い例が積立投資です。長期間運用している間には、2008年のリーマン・ショックのようなことも起こり得ます。ただ、リーマン・ショックを挟んだ過去10年間毎月積立を行うことで、投資成果が倍くらいになるケースもありました。また、積立投資は途中で投資先を変更するなどリバランス(資産配分の再調整)をし易いという点でも優れています。

 時間分散は給与収入がある方や、ご退職された方でもキャッシュフローが潤沢な方には有効な手段になると思います。

 また、ご自身に合ったポートフォリオを組んだ上で、数回に分けて買付するという方法もあります。債券や債券型の投資信託は大きな効果は得にくいですが、値動きの大きい株式や通貨に関しては時間分散による効果が高くなります。

インフレから資産を守るために

 政府がインフレ目標を2%に設定して以降、私たちの生活に関わるものの値段は少しずつ上がり始めています。このコラムをご覧の皆様の中にも、1970年代からのインフレを経験し、その影響を懸念されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 一方で、20年以上に渡り続いたデフレがそう簡単には解消されない、という意見もあります。一部の大手企業を除き日本の賃金上昇が大きくは見込めない等の理由があると思います。確かにインフレは、現時点ではそこまで差し迫った問題ではないかもしれません。食料品などの一部を除けば、国内物価は未だに低下傾向にあり、実質的なインフレにはなっていないとも言えます。しかし、インフレは後から準備しても遅い、という点が重要ではないでしょうか。

 インフレについて考えるには、長期金利と短期金利の違いを知ることが重要となります。短期金利は基本的には国が決める政策金利に連動します。長期金利は市場金利ですので、市場で将来の金利上昇が予想されると上昇します。通常、政策として利上げを決めるよりも先に市場金利が動きますので、まず市場予想の長期金利が上昇し、続いて短期金利が上昇する事になります。一般的に金利の上昇とは、この長期金利の上昇を指しますが、金利上昇には”良い金利上昇”と”悪い金利上昇”があります。

”良い金利上昇”と”悪い金利上昇”とは

 日本における悪い金利上昇とは、例えば債務残高の多い日本が破綻し、信用力の低下による金利上昇が考えられます。信用力の低下は貨幣価値を下げ、インフレへとつながります。しかし、ここではその可能性は考えず、通常のインフレに備えることに触れていきたいと思います。

 これまでのデフレの時代には「cash is king」と言われ、現預金が一番でした。デフレーションとは、例えば1990年代に400円だった牛丼が2013年には200円台になったように、モノの価値が下がる(カネの価値が上がる)ことです。つまり、何もしなくても現預金の価値が将来に向けて高くなる時代でした。

 しかし一昨年政府がインフレ目標を2%と掲げ、昨年には消費税が5%から8%に引き上げられました。それにより生活物価が上昇することになりますが、現在の日本は“超”低金利政策をとっています。異次元緩和といわれる環境下では、日本の短期金利はまだしばらくは上昇しないでしょう。

 増税や原材料価格の上昇等により物価が上昇する一方で、短期金利によって決まる預貯金の金利はしばらく上がらない状態が続きます。物価の上昇にお金の価値がついていけなくなる、これが大きなリスクです。

インフレが資産に与える影響

 図表1は、インフレ率を1%、2%、3%と想定し、1,000万円の資産が将来どれだけの価値になるかを示したものです。政府目標であるインフレ率2%が続いたとすると、現在の1,000万円は25年後には約半分の価値にまで目減りしてしまいます。

図表1:インフレ率と資産残高の推移

出所:ガイア作成

 また、可処分所得(税金・社会保険料等を差し引き後の所得、つまり使えるお金)はどのように変化していくでしょうか。図表2は、2010年を100とした可処分所得と物価の推移となります。

図表2:可処分所得と消費者物価指数の推移

出所:総務省統計局よりガイア作成

 2010年から2014年まで、年によって上下はあるものの可処分所得の金額は次第に減っています。一方で、消費者物価指数は2013年まではほぼ横ばい、2014年には増税の影響もあり大きく上昇しています。つまり、使えるお金は減っているのに物の値段は上がっているのです。この差は2010年から2014年までの4年間で4%以上にもなります。

所得が増えにくいと言われる年金夫婦世帯への影響

 現在の公的年金制度では、今後マクロ経済スライドが本格的に実行されてくると考えられます。一般的に、年金受給額は物価の上昇から0.9%を引いた率が受取る年金の増加分になります。仮に、物価の上昇が2%としますと、そこから0.9%を引いた1.1%しか年金受給額は増えない計算になります。ですので、どうしても年金受給額は物価の上昇について行けなくなってしまいます。

年金保険への影響

 デフレの環境下では金額が確定されている保険金は、受取時期まで何もしなくても価値は上昇して行きました。しかし、今後物価が上昇すると、10年後、20年後の保険金は足りるでしょうか。もしその金額に不足が出るなら、自分でその不足分を補わなければならなくなります。

我々、個人投資家が取れる対策は?

 では、インフレリスクに対し個人投資家はどのように対策をとることができるでしょうか。具体的な方法のひとつとして、やはり資産運用が挙げられると思います。インフレ対策としての資産運用の方法は、リスク許容度や年齢(現役世代/退職世代)によってそれぞれ違います。

 将来の資産を目減りさせないためにも、全体の資産バランスを考えていくつかの資産に分散させ、リスクをコントロールしながら運用をして行くことが重要です。

FP法人GAIA株式会社

社歴:
金融機関に属さない独立系のファイナンシャル・プランナーの会社として2006年に設立。コンセプトに「二世代プライベートfp」を掲げ、50~60代の退職世代を中心にライフプランや資産配分を提案、家族契約率は3割に上る。現在、顧問契約者約620名から仲介している預かり資産は200億円を超える。毎月開催する「塩漬け投資信託を賢く見直すセミナー」には、これまでのべ8,000名以上が参加。新宿に本社を構え、社員数は現在26名。2015年3月には大阪オフィスをオープン。

GAIA株式会社ホームページ

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