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資産管理のキホン

会社がいきなり「確定拠出年金に変わります!」って・・・これってなに?

2015-09-18

 こんにちは、心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナーの山中伸枝と申します。

 先日新聞にも大きく取り上げられました「東芝、確定拠出年金導入!」の記事。目にされた方も多いのではないでしょうか?今回の制度導入の対象は国内のグループ会社89社の従業員9万5千人とか・・・。日本最大規模の制度導入なんだそうです。

 あれっ、待てよ。
うちの会社も、なんか「確定拠出年金」っていうのになったって連絡があったよな。
あれ、これって同じもの?
ん?そもそも確定拠出年金って何?

 そうですね、そういう方も多いですよね。何しろ確定拠出年金は東芝さん以外にもNTTさんや全日空さんをはじめ、多くの会社さんで導入されている制度ですから、「そういえば、うちも確定拠出年金」という方がいても不思議はありません。

 では、改めて、確定拠出年金とは何か?

 確定拠出年金とは、企業年金の一種です。企業年金というのは、公的年金の上乗せとして会社が自社社員のために独自に設ける制度です。いわば福利厚生の一環ですね。企業年金のある会社とない会社であれば、前社の方が福利厚生が手厚いということになります。

 会社員さんは、厚生年金に加入しています。厚生年金に加入すると自動的に国民年金にも加入しますから、会社員さんが加入する年金は国民年金と厚生年金の2つとなります。このふたつが会社員さんの「公的年金」、国からの年金です。

 前述した企業年金は、公的年金の上乗せ制度です。老後の資金用に会社が援助してくれるお金と考えると分かりやすいでしょう。また定年退職時に受け取る退職金が会社からの一時金とすれば、企業年金は分割で受け取る退職金と考えるとよりイメージしやすいかと思います。

 企業年金には、3種類あります。厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金です。

 このうち厚生年金基金と確定給付型企業年金の2つについては、「将来の給付額があらかじめ決められている」のが特徴で、確定拠出年金は「毎月の拠出額(積立額)があらかじめ決められている」のが特徴です。

 将来の給付額があらかじめ決められている「確定給付型」というのは、例えば60歳時点で500万円の年金の元となる資金を会社が作るという意味です。社員は60歳の退職後、そのお金を数年間に分けて年金として受け取ります。

 一方毎月の拠出額(積立額)があらかじめ決められている「確定拠出型」というのは、例えば月々1万円をあなたの老後資金用の積立金として会社が拠出するから、そのお金をあなた自身で管理運用してね、という意味です。掛け金を受け取った後は、その社員本人がいくつかの金融商品を選んで運用をすることになるので、たとえ毎月会社から同額の掛け金を受け取っている会社の同僚であっても、運用商品の選び方によっては60歳時点の資産が多くなる人もいれば、少なくなる人もいるという仕組みです。

 どうせ60歳でしかもらえないお金なら、自分で運用して増えるかも知れない、減るかもしれないという確定拠出型より、会社が決まった金額を支給してくれる確定給付型の方が楽そうだな~、こういう風に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 確かに確定給付型は、将来の受け取り額が確定なので、お任せで楽っていうところがあるのですが、厳密に言えば将来の受け取り「額」が確定しているわけではなく、将来の受け取り額を決める「計算方法」が確定しているというだけなので、実際のところ経済の動向、あるいは会社の運用状況によっては将来の受け取り額が「不確定」となってしまうこともあるのです。

 また確定給付型の場合、実際にそのお金をあなたが受け取るその瞬間まで、そのお金の所有者は「会社」です。したがって定年の1日前に会社が倒産なんてことになると、もらえるはずのお金ももらえなくなるという状況もありうるのです。

 一方確定拠出年金は、運用次第で資産額が増えたり減ったりするのですが、毎月の掛け金を受け取ったその瞬間からそのお金はあなたのものとなります。退職金を前払いでもらっている思えば、それはそれで納得感もあるのではないでしょうか?

 また通常退職金というのは、同じ会社に長く勤めるからこそ大きな金額を受け取ることもできますし、「退職所得控除」という税制優遇を受けることができます。実はこの「退職所得控除」というのはとてもお得な制度で、勤続年数が長ければ長いほど、「非課税」で受け取れる退職金の額が大きくなるのです。

 退職所得控除は、勤続20年までについては1年あたり40万円の「非課税枠」を作ることができます。勤続20年を超えると1年あたり70万円の「非課税枠」となります。つまり勤続30年での退職金については、40万円x20年+70万円x(30年-20年)=1,500万円までについては、税金を引かれることなく丸々自分の懐に入ってくるという訳です。この税制優遇は大きいですね。

 しかし残念ながら、今の時代同じ会社に30年も勤続し続ける方も多くはないですし、そもそも退職金なんてないという会社も多くなっています。そういう時代の移り変わりの中、確定拠出年金というのは、加入している期間が勤続年数として読み替えられるので、ご自身で老後資金を作りながら、その期間中退職所得控除の非課税枠を拡大させることができるので、いわば時代にマッチした「自分で作る退職金」とも言えます。

 確定拠出年金は、毎月の掛け金が社員さんそれぞれの「個別の口座」に積立られていくので、個人の持ち分が明確になっているんですね。またその個人口座は転職しても「持ち運び」といって、転職先の会社に持って行って継続することができるのです。そのため、転職しても確定拠出年金の個人口座で老後資金作りを維持し続ける限り、その加入期間を勤続年数とみなして60歳で受け取る際退職所得控除が使えるので、有利という訳です。

 このように確定拠出年金というのは、会社の福利厚生の一環でありながら、自分で作る退職金あるいは老後資金なので、この制度がある会社にお勤めの方は恵まれた環境にいらっしゃる方となります。

 ただし注意点がひとつあります。それは確定拠出年金はほったらかしにしていてはダメということです。確定拠出年金はご自身の口座で、会社から受け取った掛け金をご自身が選んだ金融商品で運用していきます。そのため運用についてあまりにも無関心でいるとお金が成長するチャンスを失ってしまう可能性があるのです。

 確定拠出年金の運用商品の中には投資信託という選択肢もあり、確かにそれらの商品は元本割れの可能性もありますが、資産運用というスキルは身に着けておいて損はありませんので、もし「うちの会社もそういえば確定拠出年金だ!」という方は、ご自身の資産残高、運用商品を見直してみるのも良いかと思います。

山中 伸枝【やまなか のぶえ】

株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役

経歴:
1966年 岩手県宮古市出身
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業
「心とお財布をハッピーに!」をモットーに、お客様のお金の不安に丁寧にむき合ったコンサルティングを中心に活動、得意分野は年金と資産運用

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