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アナリストの視点(ファンド)

「チャインドネシア」は新たな「BRICs」となるか

2009-08-06

 「チャインドネシア」。この耳慣れない言葉は、「チャイナ(中国)」、「インド」、「インドネシア」の3カ国(地域)を現す呼称として、CLSAのアジア太平洋市場担当エコノミスト、ニコラス・キャシュモア氏が提案したものです。「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、チャイナの4カ国の頭文字を採ったもの)」に続き、中長期的な成長期待の高い国々を指すとされます。過去、「BRICs」に続く新興国の呼称として、「VISTA」(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)、「MEDUSA(メデューサ)」(マレーシア、エジプト、ドバイ、サウジアラビア)から、「EMEA」(ロシアを含む東欧、中東、アフリカ地域)、「MENA」(中東・北アフリカ地域)まで幅広い呼称が考案されましたが、米サブプライムローン(信用度の低い顧客向け)問題に続く世界的な信用危機の中、世界各国の株価指数が大きく下落したこともあり、新興国への投資は手控えられたことでこれまでのような大きな関心を呼ばなくなったようです。ただ、米サブプライムローン問題の初期には、新興国と先進国の「デカップリング論」が優勢となったこともあり、こうしたネクスト「BRICs」への投資が盛り上がる場面もありました。

 現在、中国の2009年4〜6月期実質GDP(国内総生産)成長率が前年同期比7.9%増と、09年1〜3月期の実質GDP成長率6.1%増から底打ち感を強めていることなど、一時の世界的な金融危機の悪化への懸念は収まり、新興国の早期の景気回復期待が強まってきています。その中で、一時は減速したとしても、高成長への回復期待が高い新興国への投資意欲は高まっているようです。その代表格といえるのが、中国、ブラジルの2カ国と言えるでしょう。仮に、世界的な景気の落ち込みが想定以上に早い回復を見せるとすれば、注目を集めるのは新興国でしょうが、その中で「チャインドネシア」という新たな着眼点が発表されたということは興味深いといえます。直近1年間の新興国、先進国の株価指数の推移をみると、08年末にかけての新興国株価は大きく下落していますが、上昇時には新興国の株価は大きく上昇しています。中でも中国の上昇が著しいですが、インドネシアの株価指数も大きく上昇しています。もちろん、早期の景気回復に期待しすぎるのはやや不安がありますが、「BRICs」という概念が浸透するのにかかった時間を勘案すると、再びこうした新興国に注目しておくのもよいでしょう。

▼約1年前(8月4日)を基準とした各国の株価指数の推移
約1年前(8月4日)を基準とした各国の株価指数の推移
bloombergデータよりモーニングスターが作成

 「チャインドネシア」は中国、インド、インドネシアを注目地域としていますがが、既にポートフォリオの中に中国株、インド株を組み入れている個人投資家も多くいるとみられます。新たな投資という観点では、この3カ国の中で注目されるのは、インドネシアとなりそうです。ただ、インドネシア株式市場の時価総額は小さいことから、インドネシアの上場株式のみを投資対象とするファンドは現状では外国籍ファンドのみとなっています。追加型ファンドでは、「国際株式・アジア・オセアニア(為替ヘッジなし)」、「国際株式・エマージング」(純資産総額10億円以上、設定後1年経過したファンド)に属するファンドの中では、JPモルガンアセットマネジメントの「JPM・VISTA5・ファンド」、日興アセットマネジメントの「日興 新世代新興国株式ファンド」などの組入比率が高いようです。ただ、いずれの1年間のトータルリターンでは大きなマイナスとなるなど、振れ幅の大きな展開となっています。また、純資産額が10億円以下のファンドでは、東京海上アセットマネジメント投信の「東京海上・東南アジア株式ファンド」にも比較的多く含まれています。ただ、今後は投資対象国が入れ替わる可能性もあることや、エマージング株式に投資するファンドでインドネシアの個別企業を選別して投資しているところもあり、中身を精査することが大事でしょう。

▼インドネシア株式(実質)の組入比率の高いファンド(6月末現在、%)
ファンド名 委託会社名 トータルリターン インドネシア
株式の
組入比率※1
3ヵ月 6ヵ月 1年
日興 新世代新興国株式ファンド 日興アセット 37.59 37.43 -32.85 20
DIAM VIPフォーカス・ファンド DIAM 36.85 49.18 -17.24 22
JF アセアン成長株オープン JPモルガン・アセット 48.03 51.22 -36.31 15
サザンアジア・オールスター株式ファンド 新光投信 36.29 42.32 -21.47 8%程度※2
PCA グローイング・アジア株式オープン ピーシーエー・アセット 44.87 56.09 -17.25 15
エマージング10 日興アセット 39.71 43.09 -36.51 9
※1 マザーファンドベース、実質的な株式含む
※2 弊社推定による

(渡邉 亮)

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