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アナリストの視点(ファンド)

各資産クラスごとの相性を探る

2010-04-08

 2009年は、金融危機時に大幅に下落した資産クラスほど、反発が大きかったこともあり、投資家の間では、一極集中投資で収益を狙う動きが見られた。しかし、再び市場が落ち着きを取り戻し始めており、再び分散投資の重要性が見直される可能性があると考えられる。

分散投資のポイント

 分散投資を行う上でのポイントは、どれだけ値動きが違う銘柄や資産に投資をするかである。値動きの安定を目指して分散投資する場合、やみくもにいろんな銘柄や資産にたくさん投資するだけで良いということにはならない。例えば、連動性が高い(相関関係が高い)資産や銘柄に分散投資した場合、個別リスクの分散にはなるが値動きを安定させる分散効果は期待しにくいからである。「値動きの安定」を追求するのであれば、ポートフォリオの相関関係を考慮に入れる必要がある。できるだけ連動性が低い(相関関係が低い)資産を組み合わせることで、分散投資による値動きの安定性を追求することが可能となる。

資産クラスごとの相性を探る

 下図は、資産クラスごとの値動きの傾向を相関係数として数値化したものだ。相関係数とは、ある2つの資産の値動きの関係性(連動性)を数値化したもので、1.0に近いほど連動性が高く、-1.0に近いほど逆の値動きをすることを意味する。0.0に近いほど無相関となり、値動きの関連性がないことを意味する。分散投資によって値動きの安定性を求める場合は、この相関係数ができるだけ低い資産クラスを組み合わせることがポイントとなる。下図を見ると、国内債券、外国債券、外国REITは他の資産クラスとの連動性が概ね低いことが分かる。つまり、分散投資対象として向いている資産クラスと言える。一方で、国内株式と外国株式は経済のグローバル化などの影響もあり、年々連動性が高まっている傾向があるため、両資産クラスを組み合わせる場合は、他の資産クラスとのバランスを考慮する必要があるといえる。また、外国債券と外国株式の相関がやや高いのは、為替の影響と思われる。そのため、外国債券と外国株式を組み合わせる際は、ポートフォリオが特定の通貨に偏らないかなども考慮したい。

【過去5年】
  国内株式 外国株式 国内債券 外国債券 外国REIT
国内株式 -        
外国株式 0.81 -      
国内債券 -0.30 -0.25 -    
外国債券 0.58 0.70 0.02 -  
外国REIT 0.28 0.26 -0.23 -0.13 -
【過去10年】
  国内株式 外国株式 国内債券 外国債券 外国REIT
国内株式 -        
外国株式 0.62 -      
国内債券 -0.33 -0.16 -    
外国債券 0.21 0.46 0.12 -  
外国REIT 0.22 0.23 -0.21 -0.11 -
【過去20年】
  国内株式 外国株式 国内債券 外国債券 外国REIT
国内株式 -        
外国株式 0.44 -      
国内債券 -0.08 -0.02 -    
外国債券 0.06 0.55 0.08 -  
外国REIT 0.11 0.15 -0.19 -0.03 -
出所:Bloombergデータよりモーニングスター作成
基準日:2010年2月末

使用した指数は以下の通り
■国内株:TOPIX(配当込み)
■外国株:MSCIコクサイインデックス(除く日本、円換算)
■国内債券:NOMURA−BPI総合
(1999年12月までは日興マーケットパフォーマーの指数データを使用)
■外国債券:シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円換算)
■外国REIT:S&P先進国REIT指数(円換算)
※外国株、外国債券、外国REITは三菱東京UFJ銀行のTTMを使用し、円換算。

資産クラスの動きに変化

 また、過去5年間、10年間、20年間の各資産クラスごとの相関係数を調べた結果、相関が強まった資産と、逆相関が強まった資産がわかった。
相関が高まった資産の組み合わせは以下の通り

国内株式×外国株式
国内株式×外国債券
国内株式×外国REIT
外国株式×外国REIT


 国内株式は、国内債券を除いて全ての資産クラスと相関が高まっている傾向が見られた。また、外国REITは、各資産クラスとの相関関係を低く維持しているものの、国内株式、外国株式との相関がやや高まっている傾向が見られた。
逆相関が高まった資産は以下の通り

国内債券×外国株式
国内債券×外国REIT
外国債券×外国REIT


 外国REITが国内株式や外国株式との相関を強めた一方で、国内債券、外国債券においては逆相関の傾向が高まっていることがわかった。

 今月は新年度ということもあり、ポートフォリオを見直すのも良いかもしれない。また、昨年の反動相場でとっていたポジションを整理するのにも良い機会かもしれない。その際は、資産クラスの相性やバランスを考慮することで、より安定感のあるポートフォリオを構築できるだろう。

(吉田 絵美子)

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