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アナリストの視点(ファンド)

継続して超過収益をあげた国際株式型ファンド

2010-05-21

 今回は、世界の株式へ分散投資するファンドの中で、上昇局面でも、下落局面でもMSCIコクサイ(円ベース)※に対して一貫して超過収益をあげたファンドについて調査した。米国の経済指標が概ね良好な数値を示す一方で、ギリシャ問題や中国の金融規制などの動向から、世界の株価は大きく上下動し、不安定な動きとなっている。こうした市場環境において、過去の上昇、下落の両局面で、相対的に良好なパフォーマンスであったファンドについて検証することは、今後の資産運用の参考になると思われる。
※前営業日に算出されたMSCIコクサイ(米ドルベース)に当日の午前10時の円・米ドルレート(TTM)を掛けて算出。

判断基準としてMSCIコクサイ(円ベース)を利用

 今回はパフォーマンスの良し悪しを判断する指標として、MSCIコクサイ(円ベース)を利用した。MSCIコクサイは、日本を除く22の先進国で構成された株価指数で、外国株投資のベンチマークとして広く利用されている。調査対象としてはモーニングスター類似ファンド分類「国際株式・グローバル(為替ヘッジなし)」に属するアクティブファンドとし、パッシブファンドは除いた。さらに、その中でも上昇局面、下落局面でトータルリターンが比較可能なファンドとした。対象とする期間はMSCIコクサイの上昇局面、下降局面が1年程度継続した期間(両期間は連続したものとし、計2年間)で、できるだけ直近の期間ということを考慮した結果、2008年3月末から2010年3月末の2年間とした。2008年3月末から2009年3月末を下落局面(同期間MSCIコクサイ<円ベース>は▲46.81%下落)、2009年3月末から2010年3月末を上昇局面(同期間MSCIコクサイ<円ベース>は46.07%)と位置づけた。そして、上昇局面・下落局面で、MSCIコクサイのリターンに対して超過収益を獲得したファンドとそうでないファンドを集計したものが下記の図表1である。図表1では2008年3月末から2009年3月末の下落局面を期間A、2009年3月末から2010年3月末の上昇局面を期間Bとした。

図表1:A・Bの局面でTOPIXを上回ったファンド、下回ったファンドの合計 図表1:A・Bの局面でTOPIXを上回ったファンド、下回ったファンドの合計
期間A=2008年3月末〜2009年3月末(下落局面)
期間B=2009年3月末〜2010年3月末(上昇局面)

出所:モーニングスター作成

継続して超過収益を獲得したファンドは13ファンド

 期間A(下落局面)、期間B(上昇局面)双方で、超過収益を獲得したアクティブファンドは88ファンド中13ファンドのみであった。一部新興国へ投資するファンドや中小株へ投資するファンドのほか、「朝日Nvest グローバルバリュー株オープン」、「フィデリティ・グローバル・ファンド」などの個別銘柄選択に定評のある運用会社が運用するファンドなどが入っている。また、機動的に為替ヘッジを行うファンドが1ファンド入っている点には留意が必要である。

 全体的な傾向としては、MSCIコクサイ(円ベース)を期間A(下落局面)のみ上回ったファンドが49ファンドと最も多かった。こうしたファンドの多くは、世界の好配当株、公益株へ投資するファンドであった。その中には純資産額の大きいファンドも目立つ。つまり、多くの投資家が保有するファンドは、上昇局面でMSCIコクサイ(円ベース)上回ることがなかったものの、下落局面ではMSCIコクサイ(円ベース)ほど下落しなかったと言えよう。これは比較的安定した運用成績となっているファンドが、継続的に人気を集めた結果と推測される。一方で、両期間ともに下回ったファンドは11ファンドと少なく、資源関連株ファンドや環境関連株ファンドの一部が入っていた。

 このように上昇、下落の各局面に応じて、他のファンドよりも優位なファンド、劣後するファンドなど、各ファンドの差が現れる。ギリシャ問題などで不透明感が増す中、再度、保有するファンドが主要投資対象とするセクターや運用スタイルなどを確認しておきたい。

 一方、今回は調査対象としてパッシブファンドを除いた点、すべてのファンドがMSCIコクサイ(円ベース)をベンチマークとするわけではない点などには留意が必要である。


(辻 哲)

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