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アナリストの視点(ファンド)

低下しつつある中国株式ファンドの存在感

2010-11-18

利上げ懸念で世界的に下落

 11月16日の海外の株式市場では、中国の利上げが懸念されたことなどによって、米国のダウ工業株30種平均が前日終値比178.47ドル安の11,023.50ドル、英国のFTSE100は同138.51ポイント安の5,681.90ポイント、ドイツのDAX指数は同126.93ポイント安の6,663.24ポイントとなった。また、アジア各国の株価は、中国の上海総合株価指数が同119.87安の2,894.54ポイント、インドのムンバイSENSEX指数が同444.55ポイント安の19,865.14ポイントなどとなっている。中国は10月にも利上げをしており、今後の更なる利上げは中国経済だけでなく、新興国各国、さらには世界経済全体に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されている。中国経済の世界経済全体に対する影響は非常に大きなインパクトを持っていると世界の株式市場では受け止められているようである。

新興国株式ファンドの中では低下傾向

 一方で、日本国内の新興国株式ファンドの中では、中国の存在は小さくなっていく傾向にある。図1、図2は新興国株式ファンド全体の純資産額に対する、主な投資対象地域別のシェア(構成割合)を示したものである。図1は2009年10月末、図2は2010年10月末のものである。全体のこうした状況を反映して、新興国株式へ投資するファンドの中で、主に中国株式へ投資するファンド(中国株式ファンド)の存在感はやや低下してきている。また、中国株式ファンドだけでなく、BRICsやVISTAなどの新興国各国へ分散投資するファンドのシェアも低下傾向にあるようである。国内の新興国株式ファンドに占める純資産額のシェアを見ると、2009年10月末時点で中国株式ファンドは27%あったものの、2010年10月末時点では22%へ低下してきている。一方で、主にブラジルを中心に投資するファンド(ブラジル株式ファンド)や中国以外のアジア各国へ分散投資するファンド(アジア・複数)がシェアを伸ばしてきている。

シェアの低下は将来期待の低下か?

 このように中国株式ファンドの純資産額が減少している要因としてパフォーマンスの悪化が考えられる。実際に、2010年10月末時点における、中国株式ファンドの過去1年間のトータルリターンの平均値は2.07%となっているのに対して、モーニングスターの類似ファンド分類「国際株式・エマージング」、「国際株式・アジア・オセアニア(為替ヘッジなし)」の平均値はそれぞれ5.31%、11.60%となっており、中国株式ファンドの平均値を上回っている。ただ、同期間におけるブラジル株式ファンドの平均値は−1.07%となっており、中国株式ファンドを下回っている。中国株式ファンドの純資産額の低下は単純なパフォーマンスだけでなく、国内の個人投資家の中国株式市場に対する期待が低下してきたことが影響しているためと推測される。今後はブラジルやアジア諸国の株式市場の伸びが期待されているためであろう。

図1:新興国株式ファンドの中での各地域の純資産額シェア(2009年10月)
図1:新興国株式ファンドの中での各地域の純資産額シェア(2009年10月)

出所:モーニングスター作成

図2:新興国株式ファンドの中での各地域の純資産額シェア(2010年10月)
図2:新興国株式ファンドの中での各地域の純資産額シェア(2010年10月)

出所:モーニングスター作成

(辻 哲)

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