
2012-02-07
ここ数年、円高傾向が続いており、2011年も東日本大震災の発生や欧州の財政危機が再燃したことから、さらに円高が進んだ。こうした円高傾向を意識してか、為替ヘッジあり投信への純資金流入額は徐々に拡大している。2011年12月末時点における為替ヘッジあり投信の純資産額は1兆9,396億円(DC、SMA含む)と、2010年12月末時点から約20%増となった。これまでの海外資産に投資する影響を考えると、国際分散投資を考えるうえでは、為替リスクを意識し、ヘッジあり投信の利用を検討しても良いだろう。
2011年の為替ヘッジあり投信のトータルリターンをみると、モーニングスターカテゴリーインデックスでは、「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」(以下、海外債券ヘッジありファンド)が5.50%、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」(以下、海外株式ヘッジありファンド)が▲11.17%などとなっている。海外債券ヘッジありファンドは、欧州を中心に世界的な信用不安が広がったことで安全資産と見られた米国債などが買われ、上昇した。一方で、海外株式ヘッジありファンドは投資家のリスク回避の動きが強まったため下落した。ただ、「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」、「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」のトータルリターンと比較すると、海外債券ヘッジありファンドが5.73%、海外株式ヘッジありファンドが2.14%と、それぞれ為替ヘッジなし投信を上回る運用成績となっている。
また、為替ヘッジあり投信は分散投資の対象としても有用であることが分かる。分散投資の実行にあたっては投資する資産同士の連動性が低いほうが良いとされており、為替ヘッジあり投信は国内株式ファンドなどとの連動性が低くなっている。例として、モーニングスターカテゴリーインデックス「国内大型ブレンド」(以下、国内株式ファンド)と「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」(以下、海外債券ヘッジなしファンド)、海外債券ヘッジありファンドの相関係数(連動性を測る指標。値が高いほど連動性は高い)算出した。その結果、国内株式ファンドと海外債券ヘッジありファンドとの相関係数が低いことが分かった。2011年12月末時点における過去5年間の月次リターンにもとづき、それぞれの相関係数を算出したところ、国内株式ファンドと海外債券ヘッジなしファンドは0.69だったのに対して、国内株式ファンドと海外債券ヘッジありファンドは▲0.05と低くなっている。つまり、国内株式ファンドと海外債券ヘッジありファンドの連動性は低く、お互いに分散投資を実行するうえで相性が良いといえる。
図1:国内株式ファンドとの相関係数
出所:モーニングスター作成
2011年12月末時点における過去5年間の月次リターンにもとづく
ヘッジなし=「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」
ヘッジあり=「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」
加えて、為替ヘッジあり投信の設定本数や投資対象資産は拡大傾向となっている。2011年12月末時点における為替ヘッジあり投信の設定本数は351本と、2006年12月末時点の181本と比較して、約2倍となっている。つまり、為替ヘッジする外貨建て資産は増えており、外貨建て資産について為替ヘッジしつつ分散投資することも可能となってきている。
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実際に、為替ヘッジあり投信の中で連動性が低く、相性の良いファンドを探してみると、2011年12月末時点における過去5年間の月次リターンにもとづく相関係数は、海外債券ヘッジありファンドと「国際株式・北米(為替ヘッジあり)」が▲0.06、「国際株式・欧州(為替ヘッジあり)」が▲0.02となっており、相性が良い。また、このほか「国際債券・短期債(為替ヘッジあり)」と「国際債券・欧州(ヘッジあり)」との相関係数が0.25、「国際債券・エマージング・複数国(ヘッジあり)」との相関係数が0.33となっている。こうしたことから、場合によっては、為替ヘッジあり投信のみで、国際分散投資を実行することも考えられるだろう。今後、分散投資を考える際には、為替ヘッジあり投信という選択肢も検討してもよいのではないだろうか。
図2:為替ヘッジあり投信の設定本数の推移
出所:モーニングスター作成
各年末時点で為替ヘッジあり投信に分類されるファンド
(辻 哲)
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