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アナリストの視点(ファンド)

荒れる豪ドル相場、88−90円が相場の関門に――キープできれば再び100円指向も

2013-06-27

 投信マーケットでも注目度の高い豪ドル相場が揺れている。豪ドルの下げのみならず、豪州株も年初来の安値圏を迷走。大荒れの相場は、今後、どうなるのだろうか――。

 対米ドルで見た豪ドル相場は、6月24日の東京外国為替市場で一時1豪ドル=0.9145米ドルを付けた。0.91米ドル台前半まで豪ドル安が進んだのは2010年9月8日以来、約2年9カ月ぶり。

 今年1月10日には一豪ドル=1.0598ドルをマークしたあと、一休みを経て4月中旬には再び1.05ドル台を記録した。しかし、その後の後は、完全な下降トレンド局面に突入。後述する豪ドル・円相場も4月中旬から豪ドル安(円高)が急速に進んでいる。

 豪ドル安の根っこにあるのは、オーストラリア経済の先行きに対する不透明感、もっと言えば不安、ないしは警戒ムードだ。とりわけ、豪州にとって気掛かりなのが、鉄鉱石などで交易依存度の最も高い中国景気の減速懸念である。

グローバルマネーの変調リスク響く

 6月21日、バーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長はFOMC(米連邦公開市場委員会)終了後の記者会見で、「毎月の資産買い入れ規模を年内に縮小させることが適切」と、QE3(量的金融緩和策第3弾)の縮小を明言。

 これがグローバルマネーの変調を引き起こし、中国など新興国からの資金も引き上げられのでは、との不安感を呼び起こし、中国・上海総合指数は6月24日に暴落。25日は昨年末の安値を割り込んで一時、1,849ポイントと、09年1月以来の1,840ポイント台と厳しい状況に陥った(当日の終値は1,959.508ポイント)。

 中国株の大波乱は、豪州株にたちまち伝播。代表的な株価指数であるオールオーディナリーズ指数は同日、4,610.6ポイントと年初来安値を更新した。株価という「景気を映し出す“鏡”」が急速に曇り始めたことも豪ドル安の一因である。

 既にOECD(経済開発協力機構)は5月29日に発表した報告書で、今年の豪州のGDP(国内総生産)成長率を2.6%(従来は3%)に下方修正し、景気の下ブレ予想を打ち出していた。現在の調子だと、今年後半の豪州経済は立て直しに向けた政策努力が本格化する可能性がある。手を拱(こまね)いていれば景気減速へのブレーキが効かず、場合によっては政府が恐れるリセッション(景気後退)に発展しかねないからだ。

好悪両材料の綱引き相場も

 では、どのような手が政策当局によって打たれるだろうか。

 1つは金融政策。中央銀行であるRBA(豪州準備銀行)は7月2日、政策決定会合を開く。PBAは5月7日、政策金利を0.75%引き下げ、2.75%と史上最低の水準にした。6月4日の金融政策決定会合では追加利下げには動かなかったものの、インフレの落ち着きを理由に同日、打ち出した声明文では必要ならば追加の緩和に動く可能性をにじませている。

 もう1つは財政政策だ。豪州では9月に総選挙が予定されている。6月26日、急きょ実施された政権党である豪労働党の党首選挙でギラード首相がラッド元首相に敗れた。このため、新党首に選ばれたラッド氏の指揮の下、選挙準備に取り組まなければならなくなったが、今年に入ってから労働党の支持率が低迷していることで、総選挙で勝ち残るためには、緊縮財政政策を堅持するわけにはいかないという判断が働くだろう。インフラ投資や教育投資の充実強化を重点政策として打ち出す可能性がある。

 問題は、これを豪ドル相場がどう読むか、だ。

 追加利下げに動くなら、米国との金利差縮小によって、さらに対米ドルでの豪ドル安は進みかねない。しかし、為替マーケットが利下げと、総選挙後の財政政策の景気に及ぼすプラス効果をポジティブに評価するのであれば、逆に豪ドル高の材料となる。当面はなお弱含みで推移するにしても、7〜8月を展望すると、こうした好悪両材料の「綱引き相場」によって、豪ドル相場は小動き状態に変わり、「総選挙後」をにらむムードが広がるだろう。

図:豪ドル・円

図:豪ドル・円

09年7月〜、日足
出所:モーニングスター作成

 ただ、対円でとらえた豪ドル・チャートを見ると、10年4月30日の1豪ドル=88.09円、11年4月11日の同90.03円、12年3月19日の同88.63円を付けたところで相場の中期的な流れが変わったように、88〜90円台は2010年4月以降、いずれも豪ドル・円相場の分岐点になってきた(図)。

 もし、このレベルを割り込むと、豪ドル安は加速しかねないが、ギリギリ88円台をキープできれば、RBAによる利下げ効果と政府の財政政策が“吉”と出る方向を見据え、豪ドル安から豪ドル高へと今秋以降、徐々に局面が変わり、再び100円を目指す流れも想定される。

(赤間 憲明)

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