fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

定説を覆す?!高コストアクティブファンドの快進撃

2016-09-15

 「アクティブファンドはインデックスファンドにパフォーマンスが劣後する」との定説がある。アクティブファンドは、インデックスファンドよりも投資家が保有している間、負担し続けるコストが高く、これがパフォーマンスを押し下げる要因の一つである。国内公募追加型株式投資信託(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF等除く)のアクティブファンドとインデックスファンドの2016年8月末時点の信託報酬等(監査報酬等含む、税込、以下文中及び図表同様)を比較すると、前者は1.61%、後者は0.69%と差は一目瞭然だ。

 しかし、意外にも信託報酬等が低く設定されているアクティブファンドは存在する。今回は、モーニングスター大分類「国内株式型」に属するアクティブファンド(全601本)の信託報酬等(2016年8月末時点)を4階層(A:1.25%未満、B:1.25%以上1.50%未満、C:1.50%以上1.75%未満、D:1.75%以上)に分け、高コストのアクティブファンドのリターンが低くなるのかを分析していきたい。参考までに、国内株式型アクティブファンド全体の信託報酬等の平均は1.57%となっている。

 国内株式型ファンドを上記で示した4階層に分けると、A階層は106本、B階層は50本、C階層は300本、D階層は145本となった(図表1参照)。なお、通貨選択型ファンドは各階層に万遍なく属していた。

図表1:国内株式型アクティブファンドの信託報酬等別本数

図表1:国内株式型アクティブファンドの信託報酬等別本数

※ 2016年8月末時点
※ 国内公募追加型株式投資信託(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF等除く)のうち、モーニングスター大分類「国内株式型」に属するアクティブファンドの信託報酬等を4階層(A:1.25%未満、B:1.25%以上1.50%未満、C:1.50%以上1.75%未満、D:1.75%以上)に分類
※ アクティブファンドか否かは投信協会の分類に基づく
出所:モーニングスター作成

長期のパフォーマンスはやはり低コストが有利

 各階層別の過去10年間のパフォーマンスの推移を見ると、最も高いリターンをあげたのは信託報酬等が最も低いA階層で、定説通りとなった。次点以降は、信託報酬等の低い階層順にはならなかったものの、B階層、D階層、そして最も低いリターンはC階層だった(図表2参照)。長期での資産運用を考えるにあたり、投資家にとってはやはりコストがファンド選定において重要となる結果になった。

図表2:過去10年間の信託報酬等別のパフォーマンス推移

図表2:過去10年間の信託報酬等別のパフォーマンス推移

※ 期間:2006年8月末から2016年8月末まで
※ 国内公募追加型株式投資信託(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF等除く)のうち、モーニングスター大分類「国内株式型」に属するアクティブファンド
※ アクティブファンドか否かは投信協会の分類に基づく
出所:モーニングスター作成

一部の高コストアクティブファンドが健闘!

 一方で、過去5年間の運用実績があるファンド(367本)の2016年8月末時点の過去5年間のトータルリターン(年率)と信託報酬等の分布を見ると、一概に信託報酬等の低い階層が高いリターンを獲得しているわけではない。どの階層においても20〜30%以上のリターンを獲得したファンドもあれば、10%以下のリターンしか獲得できなかったファンドもあった(図表3参照)。

図表3:過去5年間のトータルリターン(年率)と信託報酬等の分布

図表3:過去5年間のトータルリターン(年率)と信託報酬等の分布

※ 2016年8月末時点
※ 国内公募追加型株式投資信託(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF等除く)のうち、モーニングスター大分類「国内株式型」に属するアクティブファンドのうち、5年以上の運用実績があるファンド
※ アクティブファンドか否かは投信協会の分類に基づく
出所:モーニングスター作成

 全ファンドがプラスのリターンを獲得する中で、367本中上位20ファンドのうち、C階層に属するファンドが10本と最も多い本数を占め、D階層が8本、B階層が2本であり、A階層のファンドはランクインしなかった。上位ファンドは、20ファンド中18ファンドが中小型株ファンドであり、第1位はC階層の「DIAM 新興市場日本株ファンド」でリターンは34.64%、第2位もC階層の「証券ジャパン日本株オープン」で30.87%だった。大型株ファンドでは、第16位にC階層の「情報エレクトロニクスファンド」が22.87%、第18位にD階層の「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」が22.75%と、トップ20に入る健闘を見せた。

 今回、信託報酬等が高いファンドが高リターンを獲得した理由として、C階層、D階層は中小型株ファンドの比率が高いこと、アベノミクス以降、成長が期待される中小型株の株価上昇がリターンを押し上げたことが挙げられるだろう。リターンの計測期間によるものもあるかと思うが、必ずしも信託報酬等が高いファンドのリターンが低くなることはなかった。つまり、コストのみをファンドの選定基準とするのではなく、今までのパフォーマンスやリスクを確認するなどの投資家自身に合ったファンド選びが必要だ。

(平井 綾香)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー