アナリストの視点

玉石混交のスマートベータ、パッシブの“巨人”本格参入

2018-01-04

 パッシブ運用最大手の米バンガードが「スマートベータ」市場に本格参入する。同社は2017年11月、スマートベータ型のETF(上場投資信託)6本と投信1本を2018年1−3月に上場すると発表した。スマートベータ型ETF6本のうち、5本はそれぞれボラティリティ(変動性)、リクイディティ(流動性)、バリュー(割安度)、モメンタム(株価の勢い)、クオリティ(質)という特定のファクター(要素)に基づき銘柄を選定するもので、ETFの残り1本と投信は複数のファクターを組み合わせるマルチファクター型のファンドとなる。日本の信託報酬にほぼ相当するエクスペンスレシオは5つの単一ファクターETFが0.13%、マルチファクター型のETFと投信が0.18%と、米国上場のスマートベータ型ETFの平均エクスペンスレシオ0.47%を大きく下回っており、バンガードの他の商品と同様にコスト優位性は高い。

残高は拡大基調も、シェアは伸び悩み

 今回バンガードが本格参入するスマートベータとは、特定の指数への連動を目指すという点ではパッシブファンドであるものの、時価総額加重平均以外の方法で銘柄を選定、構成比率を決定する点が一般的なパッシブファンドと異なる。コストを抑えながら、伝統的な指数を上回るパフォーマンスを期待する投資家が購入している。例えば、米国上場の「Guggenheim S&P 500® Equal Weight ETF」というETFはS&P500種株価指数の銘柄を均等配分で組み入れるファンドであり、2017年11月末までの過去10年の累積リターン(ドルベース)は142.79%と、同ETFが属する米モーニングスターカテゴリー「米国株式大型ブレンド」の平均を50.29%、時価総額加重平均で銘柄を構成するS&P500種株価指数を20.80%それぞれ上回っている(図表1)。

 アクティブファンドが長期的にはベンチマークを上回り続けることが難しく、低コストのパッシブファンドへの資金流入が加速する中で、アクティブの要素を取り入れたパッシブファンドとしてスマートベータ型ETFは一定のニーズを集めてきた。実際に、モーニングスターが米国上場でスマートベータ型として分類するETFの純資産残高は2017年11月末時点で7,004億ドルと、5年前に比べて3倍以上に拡大している。もっとも残高自体は伸びているが、米国上場ETF全体に占めるスマートベータ型ETFの比率を見ると、2017年11月末時点で21%と、5年前の16%から小幅な増加にとどまっている(図表2)。また、本数ベースで見ても、同月末時点で688本、全体に占める比率は33%と、こちらも5年前の24%から拡大しているものの、大きくシェアを拡大するまでには至っていない。

投資家の見方シビアに、3割弱が2ツ星以下

 スマートベータ型ETFの市場が伸び悩んでいる背景には、一時的なブームが過ぎ、投資家がパフォーマンスに対してよりシビアな見方をするようになったことが考えられる。米国上場スマートベータ型ETFのモーニングスターレーティング分布(本数ベース)を見ると、2017年11月末時点でパフォーマンスが相対的に良好であることを示す5ツ星と4ツ星の比率は計46%となっている一方、パフォーマンスが優れない1ツ星、2ツ星の比率も計27%あり、スマートベータであっても必ずしも良好な運用成績とはなっていない(図表3)。

 バンガードの本格参入もあり、今後スマートベータ型ETFの市場が改めて注目を集める可能性もあるが、パフォーマンスの面では玉石混交となっている中、投資家はレーティングなどで運用の巧拙をよく確認の上、投資をするようにしたい。国内で投資可能な米国上場のスマートベータ型ETFのうち、2017年11月末時点でモーニングスターレーティングが5ツ星のファンド8本をピックアップした(図表4)。

 8本のうち、バンガードのETFが4本、スマートベータ型運用に特化した米ウィズダムツリーのETFが3本と、運用成績では両社の良好さが目立つ。なお、バンガードの4本は今回表明した本格参入以前から、モーニングスターでスマートベータ型に分類しているETFとなる。モーニングスターのサイトでは、海外ETFの検索機能を活用して、レーティングやリターンの水準などで検索することが可能となっており、ぜひご活用いただきたい。

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