アナリストの視点

投資信託のコスト水準を量る2つの方法―「フィーレベルカテゴリー」と「モーニングスターカテゴリー」

2019-08-22

 信託報酬等は、ファンドを保有している間運用資産から日々控除され続ける費用である。ファンドを選ぶ上で重要な要素の一つでありファンドごとに大きく異なっているが、相対的な水準を知るためにモーニングスターホームページ上で確認できる2つの方法がある(図表1参照)。

信託報酬等の水準を知る2つの方法

 1つ目は、モーニングスターカテゴリー(以下、MSカテゴリー)を使用した比較。MSカテゴリーは、DC専用・ファンドラップ専用・ETF等を含めた国内ファンドを投資対象や為替ヘッジの有無などにより79種類に分類したもの。個別のファンドの信託報酬等とそのファンドが属するカテゴリーの平均値を比較することで平均より何%低い(高い)かが分かる。

 2つ目は、モーニングスター・フィー・レベル(以下、FL)を使用した比較。FLとは、DC専用・ファンドラップ専用・ETF等を除いた国内ファンドを15種類の投資対象資産およびアクティブ・パッシブの違いによって30種類のFLカテゴリーに分類し、その中での信託報酬等の相対的な水準を、5段階(1:安い、2:平均より安い、3:平均的、4:平均より高い、5:高い)で示すものである。

 MSカテゴリーでは「国際REIT・特定地域(F)」や「国際REIT・グローバル・含む日本(F)」といったように投資対象においては詳細な小分類で比較することが可能であるものの、アクティブ・パッシブの区別はなく、同一のカテゴリーに分類される。FLカテゴリーでは投資対象区分は中分類となるため、例えば米国REITファンドもグローバルREITファンドも同一の「国際REIT」に分類される一方で、「国際REIT・アクティブ」、「国際REIT・パッシブ」といったようにアクティブ・パッシブの違いを加味した分類による比較を行うことが出来る。そのため、それぞれの方法で個別のファンドの信託報酬等と比較を行う基準となるMSカテゴリー平均値とFLカテゴリー平均値は異なっている。

フィーレベルカテゴリーとモーニングスターカテゴリーで評価が異なるファンドも存在

 中分類が「国際REIT」に属するファンドに注目してFLカテゴリーとMSカテゴリーの差異を確認したい。「国際REIT」についてFLカテゴリーでは2つのカテゴリー、MSカテゴリーでは6つのカテゴリーに分類される(図表2参照)。FLカテゴリーではアクティブの本数が多く、MSカテゴリーでは為替ヘッジなしの本数が多い。信託報酬等(税込)の平均をみると、FLカテゴリーでは、「国際REIT・パッシブ」の0.57%に対し、「国際REIT・アクティブ」は1.66%となっており、アクティブはパッシブの3倍近い水準であることが分かる。MSカテゴリーでは、「国際REIT・グローバル・除く日本(H)」が0.41%、「国際REIT・グローバル・除く日本(F)」が0.75%となっており、その他の4カテゴリーとの間で大きなかい離がある(図表3参照)。6カテゴリーに含まれるパッシブファンドの比率を確認すると信託報酬等の平均が低い2カテゴリーでは50%以上となっているのに対し、高い4カテゴリーではいずれも10%未満となっている。カテゴリー内に含まれるアクティブ・パッシブの比率の差がMSカテゴリーの信託報酬等の平均の差に影響を与えていると考えられる。

 MSカテゴリー平均値とFLカテゴリー平均値が異なるため、2つの方法で評価が異なるファンドも存在する。例えば、「損保ジャパン・グローバルREITファンド(毎月分配型)」の信託報酬等(税込)は1.56%で、「国際REIT・グローバル・含む日本(F)」の平均を0.09%上回っているが、「国際REIT・アクティブ」の平均を0.10%下回り、FLは1(安い)となっている。逆に、「DIAM 世界リートインデックスファンド(毎月分配型)」は「国際REIT・グローバル・含む日本(F)」の平均を下回っているものの、「国際REIT・パッシブ」の平均を上回り、FLは5(高い)となっている。

フィーレベルとモーニングスターカテゴリーをどう使う?

 一方、FLカテゴリー平均とMSカテゴリー平均をいずれも下回る信託報酬等のファンドは長期の相対的な運用効率が高いファンドが多い傾向が強い。DC専用・ファンドラップ専用・ETF等を除いたモーニングスターレーティング付与対象ファンドの分布は2019年7月末時点では、5ツ星と4ツ星の合計シェアが29.04%となっているのに対し、フィーレベルが1(安い)かつMSカテゴリーの信託報酬等の平均を下回っているファンド群では40.27%と、半数近いシェアを獲得している。さらに、「信託報酬等がMSカテゴリー平均以下」や「FLが1」のみの条件で抽出したファンド群よりも、両者を掛け合わせて抽出したファンド群の方が、5ツ星・4ツ星ファンドの合計シェアが大きい(図表4参照)。例えば、MSカテゴリーが「国際REIT・グローバル・含む日本(F)」に属するファンドの中で、信託報酬等がMSカテゴリー平均を下回り、FLが1のファンドを抽出すると6本が該当した(図表5参照)。長期のパフォーマンスを左右する相対的なコスト水準を量るためには、FLとMSカテゴリーの併用も有効と言えそうだ。

(大森 崇史)

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