アナリストの視点

生き残る「ご当地ファンド」の特徴とは?

2019-10-11

規模縮小傾向にある中、長期運用ファンドもあり

 特定の都道府県や地域に関連した企業の株式などに投資を行うファンドを一般的にご当地ファンドと呼ぶ。投資家にとっては地元や縁のある地域の身近で馴染みの深い企業などに限定して投資できることから2007年1月末(以下、ピーク時)にかけて人気を博し、ご当地ファンド(※)合計でピーク時の純資産残高は4,000億円に迫った。しかしながら2014年〜2017年の相次ぐファンドの償還などを経て、2019年9月末時点では696億円と、ピーク時の5分の1以下にまで規模が縮小している(図表1参照)。また、ピーク時には47本あったご当地ファンドによって徳島県・高知県を除く都道府県をカバーしていたが、半数近くまで本数が減少する過程で東北地方や九州地方を中心に軒並みカバー率が低下し、全体では6割にまで低下している(図表2参照)。

 その一方で、2002年4月に設定され、ご当地ファンドの先駆けとなり、15年以上に亘り運用を継続している「静岡ベンチマーク・ファンド」のようなファンドもある。同年6月に設定された「東海3県ファンド」も長期間の運用実績がある。それでは、既に償還されたファンドと現在も運用を続けるファンドにはどのような違いがあり、ご当地ファンドを選択する上ではどのような点に注目すべきだろうか?

※国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用除く)、以下文中・図表同様

現存ファンドは毎月決算型のシェアが小さく、流入超月数比率が大きい傾向に

 ご当地ファンドを、償還済みファンドと現存ファンドに分けて特徴をみることで、将来生き残り長期的に投資できる可能性が高いファンドの要素を調査した。

 第一の特徴として決算回数別本数シェアの違いがある。償還済ファンドは毎月決算型のシェアが48.6%と約半分となっているのに対し、現存ファンドは11.1%と4分の1以下のシェアとなっている(図表3参照)。また、年1回決算型のシェアでは、償還済ファンドの28.6%に対し、現存ファンドは51.9%と過半数のシェアとなっている。実際、前述した「静岡ベンチマーク・ファンド」と「東海3県ファンド」はいずれも年1回決算型となっている。投資対象地域を限定した運用を行う中で、安定的な分配金の支払いを長期的に継続するのは困難であることが理由として考えられる。

 第二の特徴として純資金流入超月の比率の違いがある。純資金流入超月の比率は、純資金流入超となった月÷ファンドの運用期間(月)で求めた(図表4参照)。償還済ファンドは7割超のファンドが運用期間(月)の90%以上で流出超となっていた。現存ファンドでは、90%以上の月で流出超となったファンドは1割未満にとどまる一方で、償還済ファンドで存在しない40%以上の月で流入超となったファンドの比率は約3割あった。ピーク時のような急激な資金流入は10年以上起こっていないご当地ファンドであるが、長期的に運用を継続するためには、安定的に資金を集めることが不可欠といえる。

現存ファンドは27本、今後の行方にも注目

 現存するご当地ファンドは27本となっており、そのうち、毎月決算型以外で2019年9月までの流入超月比率が20%以上となっているものは17本ある(図表4参照)。中でも近年設定された「くまもと未来応援ファンド」や「きらぼし・東京圏応援株式ファンド」などのご当地ファンドの新設は地方銀行の合併も影響しているとみられる。政府の地方創生政策などによって東京圏への人口や経済の一極集中が緩和される兆しも見える中、ご当地ファンドの純資産残高やファンド数、特徴はどのように変化していくかに今後も注目していきたい。

(大森 崇史)

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