今だから考えたい「長期投資」と「分散投資」の重要性



長期投資と組み合わせたい分散投資の価値 運用効率だけでなく「リスク」の低減も

1.家計の金融資産残高は1,500兆円

 実際、日本の家計はどのような資産運用を行っているのでしょうか。日本銀行が3月21日に発表した資金循環統計(速報)によりますと、07年末の家計の金融資産残高は1,544.8兆円(前年末比0.59%減)となりました。株価の下落により株式の評価額が目減りしたことなどが響き、年末の残高は02年末以来5年ぶりの減少となりました。項目別では、現預金が784兆円(同0.87%増)となり、そのうちの定期預金は8年ぶりに増加しました。サブプライム・ローン問題に端を発する世界的な金融収縮により、市場が混乱したことに加え、金商法の改正なども響き、家計は安全指向を強めたものと思われます。




2.外貨建て金融資産の増加傾向続く

 一方で、こうした傾向は一時的なものにとどまり、中長期的には「貯蓄から投資へ」の流れは今後も変わらないとの見方もあります。07年末の外貨建ての金融資産は、外貨預金が4.3兆円(同0.03%増)、対外証券投資が10.7兆円(同6.00%増)となっており、中長期的には増加傾向が継続しています。日本国内では歴史的な低金利が継続していることに加え、過去数年間にわたり外国為替市場で円安傾向が持続したことも、影響していると思われます。



図(1)【家計の外貨建預金と対外証券投資残高の推移】
図(1)【家計の外貨建預金と対外証券投資残高の推移】

出所:日本銀行「資金循環勘定」



3.外貨建て投信は5年で5.3倍に拡大

 投資信託の残高も順調に拡大しています。07年末の家計の投資信託残高は71.9兆円(同17.19%増)となり、過去5年間で2.5倍に拡大しました。投資信託協会の統計では、08年4月末時点で国内公募投信のうち34.0兆円が外貨建て資産で運用されており、過去5年間で5.3倍に拡大しました。



図(2)【契約型公募投信の資産運用状況(外貨建分)】
図(2)【契約型公募投信の資産運用状況(外貨建分)】

出所:投信協会



4.ユーロ債と米国債中心に資金流入が継続

 通貨(国)別資産運用状況でみると、最も運用額が大きいのがユーロの債券で6.0兆円となっており、次いで米国の債券5.4兆円、以下、米国の株式2.7兆円、豪州の債券2.7兆円、カナダの債券1.4兆円となっています。米国の資産での運用も増加しておりますが、円安傾向の持続により、ユーロ・豪州・カナダの債券での運用額が増加傾向にあります。




5.分散投資の重要性 〜リスクを低減し、長期投資を後押し
図(3)【各資産の収益率】

図(3)【各資産の収益率】

出所:モーニングスター、対象期間は1998年4月末から2008年4月末。
1998年4月末を100として指数化。使用した指数は以下の通り。
国内株式:TOPIX(配当込み)、国内債券:NOMURA-BPI(総合)、海外株式:MSCIコクサイインデックス(円ベース)、シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円ベース)、4資産分散:上記4指数を使用。


 このような中、投資家はどのようなタイプの金融資産で運用すべきなのでしょうか。株式でしょうか、債券でしょうか、国内資産でしょうか、海外資産でしょうか。それを単純に期待されるリターンで検討しても、なかなか結論は難しいというのが、図(3)に表れています。ある期間は好パフォーマンスをあげても、ある期間は悪化するケースもよくあります。継続的に好パフォーマンスをあげる資産に「当たる」ことは難しいのが現実です。
 ところが、各資産に分散投資した「4資産分散」をご覧下さい。分散投資により、期待リターンが平準化されるため、平均的なリターンを上げることが可能になります。また、値動き(振幅)自体も小さくなっております。これは、分散投資によりリスクを軽減することができたことを示しています。
 実は、分散投資により、リターンは平均(投資割合による加重平均)化されますが、リスク(値動きの大きさ)は「平均(同)以下に下げることができる」というのが、分散投資の大きな魅力なのです。投資の世界では、高い利回りを求めるほど、リスクも大きくなりますが、分散投資により、それをかなり低減することができるのです。長期投資の重要性とともに、この分散投資の重要性についても、理解することにより、投資の成果はより明るいものになるのではないでしょうか。