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<新興国eye>ワールドカップはブラジルの政治経済をあぶり出す鏡

2014-05-27 09:11:00.0

 あと約3週間で、サッカーが大好きで国技のように大事にするブラジル、世界で最も優勝回数の多い国ブラジルで4年に一度のワールドカップが開催される。しかし、残念ながら今のブラジルには、高揚感がなく、今までどの開催国も経験しなかったような不安と不穏な雰囲気を醸し出している。
 日々規模が大きくなるデモやストライキ、スタジアム建設の遅れなどが世界中に報道されている。先週は、サンパウロでバスの運転手がストライキを行い、バスを走らせないだけではなく、道路に放置をして、通行妨害をするという前代未聞の荒業に出た。さらにすごいのは、ワールドカップの開催地でもあるリオデジャネイロ州では警察がストライキを行った。犯罪の多いこの国では致命的な出来事である。

 さらに、競技場の建設の遅れは目を覆うばかりであり、金曜日(5月23日)に知り合いの記者が見に行った日本代表の宿舎となるはずのホテルも、2週間後から合宿が始まるにもかかわらず、まだ外壁やエントランスも施工されておらず、エアコンなどの設置も明らかにまばらである。
 ブラジルはGDP(国内総生産)でも世界7位であり、サンパウロはビルの林立する大都会であり、世界最大の10万人の収容人数を誇るマラカナン競技場を古くから持っている国である。これは資金的な問題でも建設技術的な問題でもなく、明らかに政治=労働党政権の招いた惨状である。

 ブラジルの大手調査機関「ダッタフォーリャ」によるワールドカップに対する調査結果に、そのことが如実に表れている。まず、ブラジルでのワールドカップの開催の賛否に対して、「45%が賛成」「43%が反対」と答えている。このサッカー好きの国で半分近くが反対というのは驚きであるが、その理由は明らかであり、ブラジルのワールドカップ組織委員会に不正があると思うかという質問に対して、なんと「90%がイエス」と回答している。
 また、デモについても、ワールドカップ中に行うことについては「63%が反対」と回答しているが、ではデモは減るかという問いには「76%がワールドカップ期間に増えるだろう」と答えている。また、ブラジルはワールドカップを開催する準備が出来ているかという問いにも「76%が出来ていない」と思っており、今回のワールドカップに対するブラジルの人たちの苦悩が読み取れる。

 政府も火消しに躍起になっていて、ジルマ・ルセフ大統領も選挙活動も兼ねて連日いろいろなところでワールドカップの意義を必死で語っているが、いまさらそんなことをしなければならないことが異常であろう。
 連邦政府はホームページでも、政府の財政支出の透明性として、ワールドカップにかかる支出を公開しているが、その他の支出と比較されていて、興味深い。まず、ワールドカップのすべての支出合計は、約258億レアル(約1兆1800億円)であり、これは教育への支出のわずか1カ月分であると訴えている。教育への年間の支出は2800億レアル(約12兆8800億円)。健康に関する予算が2060億レアル(約9兆5000億円)。
 また、ボルサ・ファミリアという貧困層への家族手当が247億レアル(約1兆1360億円)とワールドカップ予算に匹敵することがわかった。確かに教育予算と較べればわずか1カ月分かもしれないが、政府自慢の画期的施策であるボルサ・ファミリアがもう1つできる予算と考えると、このデータに素直に頷けるブラジル人は10%もいないのではないか。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

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