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<新興国eye>最大の顧客が最強のライバル、ブラジルの未来に中国の影

2014-09-30 18:30:00.0

 日本、アメリカはもちろんのこと、ほとんどの先進国にとっても今や最大の顧客であり、同時にライバルでもあるのが中国だろう。しかし、中国から遠いため輸送費も高く、関税も高いブラジルは、周辺にも低賃金国もあり、それほど簡単に大きく中国の格安品に浸食されないと考えている人も多いと思う。一昨年までは私もその一人であったが、昨年初頭にブラジルのいわゆるギフトショーに赴いて、そこに展示されている商品のほぼ9割がメイド・イン・チャイナであることをみて、その希望的観測はもろくも崩れ去った。

 9月1日付けのブラジルの有力紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」で、それを裏付ける記事が掲載された。世界のビジネスにおけるブラジルの存在感が年々下がっていることを実際の数字を踏まえて10ページの特集を組んで説明をしている。奇しくも大統領選挙が佳境の時期であり、与党の労働党にとっては厳しい内容だったが、同時に他の対立候補も何らかの解決案を提示せざるを得なくなったといえる。
 例えば、01年には中国はブラジルにとって世界で9番目の輸出相手国でわずか3%にしか満たなかった輸出比率が、14年には21.6%とダントツで1位となっている。一方、アメリカは01年に24.1%と他を圧倒していたが、14年には11.5%と中国の半分ぐらいになってしまっている。

 さらに驚くのは周辺国との貿易関係である。10年から13年の間にブラジルの輸出額が伸びているのはパラグアイだけで、他の中南米諸国向けは軒並みダウンしている。ペルーは26.4%ダウンで同国の輸入全体に占めるブラジルの割合(以下同)はわずか5.4%に。コロンビアも26.3%ダウンで同4.3%。以下、輸出額の下落率は、エクアドルの22.8%ダウン、チリの19.1%ダウン、アルゼンチンの17.7%ダウンと続く。
 一方、中国の輸出をみると、見事にブラジルと逆相関にあり、ダウンはパラグアイのみ。エクアドルは70.2%アップの同12.7%、ベネズエラは56.7%アップの同16.9%、コロンビアは31.9%アップの同17.4%。以下すべての中南米主要国に対し中国の輸出額がアップしている。ブラジルの貿易は、明らかに中国の中南米への深耕によってダウンしている。前述のギフトショーでみてわかるように、ブラジル国内もしかりである。それによって、これまでブラジルで生産していたメーカーは次々と倒産・廃業してしまい、産業の空洞化へと向かっている。GDP(国内総生産)に占める内需が約6割のブラジルで、国内消費が伸びているにも関わらずGDPを押し下げていたのは、まさにこれが原因である。

 10月5日の第1回投票に向けて、大統領選がお互いにネガティブキャンペーンを仕掛けて熾烈を極めているが、候補者は相手の汚点探しに躍起になるのではなく、この現状に対する対策を示さなくてはならない。しかし残念ながら、どの候補のマニュフェストにも解決策は示されていないようだ。このことを一番理解していたカンポス候補の事故死が惜しまれる。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

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