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新興国ニュース



<新興国eye>決選投票となったブラジル大統領選挙とメディアの存在

2014-10-14 17:46:00.0

 10月5日にブラジル大統領選挙の第1回投票が行われ、過半数を超えた候補者がいなかったため、26日に上位2者による決選投票で決せられることとなった。02年の大統領選挙から毎回決戦投票となっているため、これは想定の範囲内であったが、これまでの与党と最大野党の戦いではなく、一時は第3の候補であるシルバ候補が残るのではないかという期待もあったが、終盤のネガティブキャンペーンであえなく失速し、得票率21.3%で前回と同じ3位に終わった。しかし、現職のジルマ・ルセフ候補が同41.6%、2位のネベス候補が同33.6%であったため、シルバ氏の意向がキャスティングボードを握っている。

 「イボッピ」「ダッタフォーリャ」という2つの調査機関がさっそく第2回投票に関する世論調査を実施し、9日に結果を発表した。数字的には僅差ではあるが、ネベス候補がジルマ・ルセフ候補を上回る結果となった。さらに、調査後にシルバ氏がネベス候補支持を打ち出したため、優勢になりつつある。
 しかし、現段階での世論調査があてにならないのは洋の東西を問わず同じで、今後2週間の攻防で激しく状況は入れ替わるだろう。与党と最大野党が激しくたたき合うなかで、メディアの取材報道も多くなり、これまで出てこなかった新しい事実も明るみになりつつある。その1つが与党による国営石油公社ペトロブラスを舞台にした汚職報道であろう。

 これはペルナンブッコ州の製油所建設に絡んだ贈賄事件だが、逮捕された容疑者が契約額の1−3%が連立を組む与党全体にばらまいたことを証言したと報道している。驚くのは額の大きさと膨らみ方だ。
 当初予算は56億レアル(約2520億円)で11年に完成する予定だった。その3%だけでも約75億円と巨額であるが、未完成であるうえに、工費が追加になって、何と460億レアル(約2兆円)まで膨らんだ。ほぼ10倍である。贈賄額は600億円を超えてケタ外れで、日本であれば選挙どころではないだろうし、与党が勝つ見込みはまったくなくなるだろう。
 ブラジルでは「またか」という感じではあるが、当然、新聞各紙で報道された。今回の事件は氷山の一角で、現政権になってからの経済の失速の原因の一つがここにあることは明らかであり、知識層や都市部のホワイトカラー層は政権交代を望んでいる。しかし残念ながら、政権交代が簡単には起こらないのがブラジルである。

 それが簡単ではない一因はメディアにもある。このニュースを報道している日本でいえば日刊700万−800万部発行している「読売新聞」「朝日新聞」に相当する日刊紙である「エスタド・デ・サンパウロ」や「フォリャ・デ・サンパウロ」などは、ブラジルでは1紙当たりおおよそ日刊25万−30万部程度である。地方紙を除けば全紙を合わせても、人口2億人の国で100万部あるかないかで、読む人はわずかである。もちろんテレビニュースでも報道されているが、新聞を読まない層は、総じてテレビで視るのはサッカー、ドラマ、バラエティーが多い。
 さらに、現与党労働党のバラマキ政策「ボルサ・ファミリア」が低所得層に非常に響いており、与党はブラジルの総人口の約半分が住む地盤の北部、北東部、中西部で6−7割の票を得ている。
 ブラジルでは、直接選挙にも関わらず、日本のように全土に行き渡らせるメディアというのがなかなかないということで、予算を持ち、ニュースに毎日出る与党と違って、野党の選挙活動は大変である。
 そんな中で26日は低所得層にも人気のあるシルバ氏を味方につけたネベス候補の逆転勝利は見られるであろうか。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

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