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新興国ニュース



<新興国eye>ブラジル、今そこにある危機

2014-11-11 07:43:00.0

 ブラジルの大統領選挙が終わって、約1カ月が過ぎ、そろそろ落ち着いてもよい頃だが、まれにみる激戦に揺れた余韻がまだ残っている。大統領選では現与党(9党の連立政権)が勝利を収めたが、同時に行われた国会議員(上院・下院)選挙では、下院において過半数は維持したが、与党は35議席失い、野党側が一気に50議席伸ばした。国会運営は厳しさを増すことは間違いなく、ジルマ・ルセフ大統領も対話を呼びかけているが、対立候補だったネベス氏はペトロブラスを舞台にした巨額贈賄事件の全容を解明しなければ応じないと言っている。
 さらに、海外投資家は新大臣、特に財務大臣と開発商工大臣に誰がなるかに注視しているが、これもジルマ・ルセフ大統領とその後ろ盾である前大統領のルーラ氏との間で意見の相違がある。この選択を間違えると、海外投資家は一気にお金を引き上げる可能性が高く、レアル安がさらに進み、株も暴落するという政治・経済危機を迎える。

 次に深刻なのは、水の危機である。雨が降らない、降っても続かないことによって、すでにブラジル全土の55%で給水制限が行われているらしい。水位が減ったサンパウロでは、供給確保のため、同市の水瓶であるカンタレイラ水系の「未開の水域」(貯水池の底深くにあり使われずに残っていた水)の2度目の取水も実施した。
 また、ブラジルでは、水はイコール電気である。ブラジルでは電力の約80%を水力に依存しているため、渇水=停電なのである。このままの水不足が続くと、電力需要のピークを迎えるブラジルの夏にあたる1−2月は、未明の供給が止められる可能性もあり、電力危機に直面している。

 11月5日に、バスの運転手による午前10時から12時までの2時間ストが行われた。これは、あまりに多いバスの焼き討ち事件などに対し、ドライバーが安全強化を会社側に訴えたストである。なんとバスの焼き討ち事件が、14年だけでブラジル全土で118回も起こっている。もっともな主張だとは思うが、ブラジルのバスのストは、通常通りに走っている路線バスが、10時ぴったりに今走っている場所でエンジンを切ってバスを停めてしまう。乗客もそこから自分で歩くか、タクシーを拾うなどするしかない。場所によっては大渋滞を引き起こすこともあり危険な行為である。
 さらには、サンパウロ市だけでバス運転手による事故が1日平均6件も起きており、1年で換算すると2200件ぐらいになる。乗用車とも平気でカーチェイスをするブラジルのバス運転手も、自分たちの安全を訴えるならば、乗客の安全を守るために、自らの運転やストのやり方も見直してほしいところだ。

 政治、経済、水、電気、交通――何れも差し迫った危機ではあるが、簡単には解決できない。今年のブラジルの夏は、暑くなりそうだ。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

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