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新興国ニュース



<新興国eye>季節から政治まですべてが寒い、今年のブラジル

2015-06-30 10:20:00.0

 南半球に位置するブラジルは、日本と季節が真逆である。日本では雪が降って寒い中でのクリスマスが当たり前だが、ブラジルは真夏の暑い時期にサンタクロースが汗だくになってお決まりの赤い衣装を身につけることになる。
 この時期はちょうど冬の入口。今年のブラジルは、まるで経済状況を反映したように寒い日が多く、4月ぐらいからサンパウロでも革ジャンやダウンコートを着る人がいた。
 先週、サンパウロからリオデジャネイロ、そしてミナス・ジェライス州の州都ベロオリゾンテと出張で回ってきたが、夜は冷え込んで、長袖を2枚着ていないと風邪を引きそうなぐらいであった。
 ブラジル南部のサンタカタリーナ州では、6月15日、16日と続けて氷点下を記録し、最低気温がマイナス6度(強風により体感マイナス17度)であった。ブラジルのほとんどのビルやマンションは、断熱材などは使わず、コンクリートの打ちっぱなし同様なので、しんしんと冷え、おまけにエアコンは冷房機能だけで、暖房がなく寒さが堪える。

 気候と同様にますます冷え込んでいるのが、ブラジル経済である。
 6月25日のブラジルの各紙の報道によると、24日中央銀行が15年の予想を発表したが、インフレは9%に達するとした。実際、ブラジルの有力誌「ベージャ」6月3日号では、ほとんどの商品が値上がりしているとし、様々な商品の14年5月から15年5月までの1年間の上昇率を挙げている。まず綿棒が58%増、タラの切り身が48%増、粉末洗濯洗剤が47%増、赤ちゃん用紙おむつが37%増、さらに卵も23%増と、まさに生活を直撃していることがわかる。
 商店街では空き店舗が増えており、飲食店も人気店以外は閑散としていることが多くなってきた。

 さらにお寒いのが、ブラジルの政治だ。同じ与党の労働者党(PT)と民主運動党(PMDB)が今にも仲間割れしそうなほど、連日お互いを非難し合っており、汚職や経済悪化の責任を押しつけ合っている。PMDBが優勢である議会では、国際的信用を守るためPTが作成した財政改善案を提出するが、PMDB側がことごとく反対し、歩み寄る気配もない。緊縮財政のために、一見労働者に不利になる法案を出す政府にPMDBは徹底抗戦している。そもそも左翼政権なので、労働者が受け取るお金が増える方向に導こうとしているのだが、財政規律に対する関心すらない。

 最後にお寒いのが、夜のテレビドラマ。通常は夜9時台の比較的裕福な家庭を舞台にしたドラマが一番人気なのだが、近年最高視聴率40%超の人気を誇っていたものの足元では30%を割り込み、逆に今冬は7時台の中流家庭を舞台にしたコメディーが人気だとか。
 今年のブラジルの冬は、寒い懐具合から外には遊びに出ずに早く帰宅し、寒い部屋の中でお寒い政治を忘れて感情移入しやすい7時台のテレビドラマでも見て笑うしかないということのようだ。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

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提供:モーニングスター社

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