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新興国ニュース



<新興国eye>テレビドラマよりドラマチックなブラジルの政治

2015-09-09 09:23:00.0

 日本のテレビドラマは、各局とも毎週1回同じ時間に放送され、3ヶ月で終わるのが普通である。ブラジルでは、ドラマのことを「ノベーラ」と呼び、毎日同じ時間に同じドラマが放送され、人気が出ると、その時間はレストランからお客が消えるとも言われる。少し前にヒットしたノベーラは、このネット全盛の時代で、毎回40%近い視聴率を記録した。韓流ドラマファンならわかると思うが、毎日なので飽きそうなものだが、なかなかどうして、主役はいるが、毎日その日の主人公や、ある期間の中心人物が変わっていき、次々と事件や新事実が発覚して視聴者を飽きさせず、めくるめく展開となっている。

 今のブラジルの政治は、そんなノベーラよりもよっぽど面白く、まるで誰かがシナリオを書いているようだ。毎日主役が変わりドラマチックに展開をしている。その様を、フィナンシャルタイムズ紙は「終わりのないホラー映画」と呼び、それに対してワグナー国防大臣はエスタド・デ・サンパウロ紙で「スーパーアクション映画だ」と反論しているが、私にはまさにブラジルの「ノベーラ」そのものにしか見えない。

 確かに、2000億円ぐらいで始まったある事業の入札案件が、最後には1兆円を超えていて、その差額がどこにいったかわからないのは、ホラーというかミステリー映画のようだ。また、大統領選挙戦中の大統領候補者が乗った小型飛行機が墜落し命を落としたり、報奨付き供述を被告に促していた辣腕美人女性弁護士が身の危険を感じてアメリカへ逃げたりという場面を見えていると、アクション映画にも見える。しかし、ホラーもアクション映画も2時間か3時間がいいところだが、このブラジル政治ノベーラはこの先2年ぐらいは飽きさせずに続きそうな「傑作」である。

 主役はもちろんジルマ・ルセフ大統領だが、すでに国民(視聴者)の支持率(視聴率)は8%に沈んでいる。連立を組んでいる民主運動党に、上下両院の議長職を握られていて、この両議長ともにペトロブラスを舞台にした大型贈収賄事件で、検察からの起訴候補リストに名前が入れられたために、それを阻止しなかった大統領に腹を立て、連立に大きなひびが入った。なぜなら、労働者党の現職、前職大統領はそのリストからは除外されていたからだ。それでなくても、現大統領は、根回しや腹芸のできない人で、これまでもほとんどの事柄を自分の腹心と密室で政策を決めてしまい、連立与党に何の相談もなく事を進めるので、連立諸党は腹を立てていたからだ。

 資源価格の暴落などの外的要因もあるが、明らかに与党の政策ミスと汚職体質が招いた経済悪化の中で、ようやく緊縮財政に舵を切ろうと大統領が提案しても、ことごとく議会で蹴られ、逆に財政出動を求められて議論が平行線となっている。そんな中で、汚職に絡んだブローカーや企業の幹部が毎日のように新たな証言をしており、起訴候補リストにあがった約50人の政治家は日々戦々恐々としている。さらに大統領罷免を求めている最大野党と両院議長は堂々と面談をして、大統領に圧力をかける。これに、約23年前に実際に汚職で罷免され、07年に議員に復帰したコロール元大統領が絡み、再び今回の汚職でも家宅捜査を受け、ランボルギーニなど高級車3台が押収された。そこでは「もし、俺を牢屋に入れるのならば、全部バラしてみんな道連れにしてやる」とまさにノベーラ的セリフを吐いたらしい。

 ドラマの主役らしく、ダイエットに成功して細身になった大統領も民間から登用した辣腕財相との間に秋風が吹くようになっており、新役登場となるかもしれないが、ノベーラ的には切れ者の後は大根役者の登場だろうか。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

提供:モーニングスター社

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