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新興国ニュース



<新興国eye>政治、経済、治安が最悪の中で始まったブラジルオリンピックイヤー

2016-01-12 17:38:00.0

 今から9年前の07年、巨大深海海底油田がリオの沖合で発見され、ルーラ前大統領が「神はブラジル人だった」と得意満面で語っていた。その2年後、ブラジル経済は絶好調だった。そのピークが16年オリンピック開催地決定で、ルーラ氏が、「今日は神に捧げる日だ」と号泣した。

 その後も好調に見えたブラジル経済の裏で、労働者党をはじめとした政権与党が行っていた巨額の贈収賄は、神の目を欺くことはできず、資源価格暴落という天罰も伴って、ブラジル経済の土台を蝕んだ。残念ながら、ブラジル経済は次第に下降線をたどり、13年頃から急降下していった。

 皮肉なことに、五輪決定を大きく支えたペトロブラスやヴァーレといった旧国営企業の本社がリオ州にあるため、近年の税収が激減し、リオ州は財政破綻に近い状況にある。まさにリオは天国と地獄を見ているようだ。

 ただ、州の財政危機に対してリオ市が緊急融資をしたため、開催自体に支障はない。課題は医療やロジスティクスなどインフラ・ライフラインとなるだろう。

 さらに、問題となっているのが治安である。リオの新年の風物詩となったコパカバーナの花火会場は、今年は200万人を動員した。街や道路の至るところに市警や軍警察が多数立っていたので安心していたら、その目をくぐって、スラム街からの強盗団が、海岸の暗闇に乗じて荒仕事をしていた。警察も追いかけていたが逃げ足が速く、まったく捕まる様子もなかった。

 こうした悪事が日中のリオ市内でも行われている。経済危機と盗難などの影響で、わずかこの半年間に、リオ市中心部の小売店が600店近くも閉店している。州も今年になって、軍警察を30人増員したが焼け石に水で、財政難にあって思い切った対策はとれなくなっている。

 早期の経済回復を祈るばかりだが、原油が1バレル=100ドルを超えれば採算が取れるとして踏み出した深海油田開発だったが、いまや油価は3分の1近くまで下落し、米国のシェールガス開発の進展もあり、原油価格の回復は見込みにくい。

 さらに鉄鉱石に至っては、ピーク時の5分の1まで下がっており、各社は大規模なレイオフをせざるを得ない状況となっている。鉄鉱最大手のヴァーレの株価はこの1年で半値になった。これに追い打ちをかけるように15年11月、豪BHPと合同出資をしているミナス・ジェライス州の鉱滓ダムが決壊。死者を出し、環境を破壊する大惨事となっており、巨額賠償金問題へと発展している。神に見放された状況といえるかもしれない。

 残りわずかな希望は検察である。権力に屈せず、着々と汚職にメスを入れている。今年になって、すべて現職の上院議長、官房長官、サンパウロ市長などの名前が挙がっており、本丸へ切り込む気配を見せている。今年は、利権をむさぼった政治家を一掃し、まともな政治家と官民一体となって、神や資源に頼らず、自らの手で新しい産業を創出する元年となってほしい。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

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提供:モーニングスター社

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