fund_beginer fund_search fund_look

新興国ニュース



[an error occurred while processing this directive]

<新興国eye>未知の領域へ沈んでいく恐れのあるブラジル経済

2016-01-26 08:28:00.0

 IMF(国際通貨基金)の16年の各国のGDP(国内総生産)成長率予測が発表されたが、ブラジルは想定以上に低く、前年比3.5%減だった。これはブラジル中銀予測1.9%減、市場関係者予測2.99%減よりも悪く、15年とほぼ同じ数字となり、2年連続で大幅ダウンを示唆している。これを受けたかどうかはわからないが、20日のブラジル中銀通貨政策委員会では、政策金利が14.25%のまま据え置かれることになった。

 会合の前日トンビニ中銀総裁はルセフ大統領と会談を行っており、政策介入との疑いもあるが、すでに政策金利も判断が難しい数字になってきており、どちらが経済回復に効果的なのかは、当事者にもわからないというのが正直なところではないだろうか。

 ブラジルの経済を支えた原油、鉄鉱石も、原油は20日のNY原油先物WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格が、ついに1バレル=26.55ドル台にまで下落、ピークの4分の1になった。鉄鉱石に至っては今やピーク時の5分の1だ。

 そこにきて、ペトロブラスは大型贈収賄事件で、まだ当分は本業に集中できない状況であり、ヴァーレはミナス・ジェライス州のサマルコ鉱滓ダム決壊の補償が今後どこまで膨らむか予断を許さない局面にある。どちらもIMFの予測のように、16年は回復の芽はなく、マイナス幅が見通せればよしというところだろう。ちなみにIMFは17年をゼロ成長としている。

 地方財政も前途多難だ。地方自治体で破たん寸前の州がいくつかある。代表的なのは、五輪開催のリオ州である。15年末に医療の非常事態宣言をしたのはまだ記憶に新しいが、同時にオリンピック会場ともなっているマラカナン・スタジアムのスタッフを7割解雇した。

 また、現地大手メディア・グローボの電子版G1サイトの19日付によると、予算難のためカヌーなどの会場となるラゴアの浮動観客席の建設が中止となり、ボランティア数も7万人を予定していたところを5万人に減らすことになったという。パラナ州も教員への給与未払いなどで15年もデモが相次ぎ、ミナス州やブラジリアでは公共工事が90%以上中断に追い込まれている。

 さらに、社会不安をあおる大きな要素となるのが、失業率の増加だろう。21日の労務社会福祉省の15年の正規雇用の統計の発表によると、過去24年間で最悪となる、年間150万人の雇用喪失となった。雇用総数の減少も1999年以来16年ぶりの水準にまで悪化した。部門別でみると、工業部門が60万8900人、次いで建設部門の41万7000人、サービス業、商業がそれぞれ27万6100人、21万8700人と大きく減少した。

 そうした中で唯一雇用を増やしたのが農牧畜業で、9800人分の雇用が増え、農地拡大や農作物の増収に寄与した。ミゲロ・ロセット労務大臣は、15年の雇用喪失数は13年、14年の創出数とほぼ同数なので、12年水準に戻っただけ。16年はより良い結果が期待できるとしている。しかし、IMFの数字が現実になれば、15年と同等の雇用減もあり得る話だ。

 ブラジルは、過去10年、20年でみて、明らかに最悪の経済状況となってきているが、今年底を打つのか、さらに未知の領域へと沈んでいくのか不透明なままだ。政治が大きく絡むだけに、判断が難しくなってきている。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

<関連銘柄>
 ボベスパ<1325>、iSエマジン<1582>、上場MSエマ<1681>、
 iS新興国<1362>

提供:モーニングスター社

関連ニュース

Recommended by logly

いま見られている記事

    ピックアップ