fund_beginer fund_search fund_look

新興国ニュース



<新興国eye>ブラジルを見限る人、見直す人

2016-04-06 15:12:00.0

 ブラジルの最近の政治の混乱ぶりは、欧米のメディアでも頻繁に取り上げられ、面白がられているようだ。実際に、下手なドラマよりもよほど面白い。そのまま日本の青年向けの漫画にでもなりそうだ。

 日本のように、大臣が50万−100万円を受け取って辞任をするのでは、あまりドラマにならない。

 ここブラジルでは、5億円受け取ろうが、20億円の隠し口座が見つかろうが、あらゆる手練手管、うそ八百を並べ立てるのが当たり前だ。立法府の最高峰に居座るのみならず、意趣返しで現職大統領を弾劾に追い込もうとする下院議長、豪邸を何軒も建設会社からもらったことがバレて地方裁判所から起訴されそうになると閣僚復帰を企て閣僚特権で起訴を回避しようとする前大統領……こうした面々がいないと、ドラマとしては面白くない。

 そんな老かいな政治家と相対する地方の判事は、若手のイケメンだ。やはり、こうでないと盛り上がらない。さらに、4月4日付のブラジルのある新聞のサイトで、3日に世界のVIPがタックスヘイブン(租税回避地)のパナマを利用して行っているオフショア企業の取引を明かす「パナマ・ペーパー」なるものが公開されたと報じられた。その「パナマ・ペーパー」にも「例の2人」に関係する情報が登場した。まさにハリウッド映画ばりの展開が続いている。

 ただし、この「ドラマ」、真のエンターテイメントではなく、自己保身のブラジリア議会内でのバトルにすぎない。与党を構成する2大政党であった民主運動党(PMDB)が連立政権から離脱した。そのため、大統領罷免審議継続の是非を問う投票が上下院で早ければ4月11日からの週にも行われる。下院で3分の2以上、上院で過半数が賛成すれば、大統領の職務権限は自動的に180日間停止される。いよいよリオ五輪の開会宣言を誰が行うのか、わからなくなってきた。

 自国の発展のPRの場でもあるはずの五輪は、国の恥をさらけ出す場になりそうだが、それを気にしないのもブラジルである。

 そんなブラジルを見て、もう付き合いきれないと袂を分かつ人や企業もあれば、かえってブラジルが良くなる兆しととらえて歓迎する向きもある。

 15年には急激に進んだレアル安により、特に輸入産業は大きな打撃を受け、あまりの為替変動の激しさについていけずに撤退した企業も多い。資源安と大型汚職事件は、遅れて進出をした造船や資源関連企業を直撃し、撤退を余儀なくされた。

 失業者の数もまだ増え続けている。倒産企業数も右肩上がりだ。一見何も良いことがないように見えるのだが、一時4万ポイントを割り込んだボベスパ指数はなぜか、5万ポイント前後を行き来し、為替も政治が混乱すればするほどレアル高へと振れている。これは、長期的な視点でブラジルを見ている人も多いということであろう。

 お隣のアルゼンチンでは15年、当時の大統領の疑惑に関する証言をしようとした検察官が、証言の前に自宅で遺体になって発見された。ひと昔前のブラジルでも、これだけ政治が混迷をすれば、必ず政界を巻き込んだ暗殺や事件が起こり、疑惑や汚職はうやむやになったものである。

 ルセフ大統領は罷免への動きをクーデターと主張しているが、今回はきちっとした司法手続きを踏んで進んでいる。長期な視点でブラジルを見ている人は、ブラジルにおける民主制の安定と成長を感じていると思う。虎視眈々(こしたんたん)とブラジルを見つめる投資家が、政権交代後に健全財政に戻り、再成長するであろうことを見越して投資を再開しているのかもしれない。

【筆者:株式会社クォンタム/輿石信男】
株式会社クォンタムは91年より20年以上、日本とブラジルに関するマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、市場視察のプランニング、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。11年からはJTB法人東京と組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供とよりきめ細かい進出支援を行なっている。

◎当該記事は外部執筆者により作成されたものです。記事は執筆者が信頼できると判断したデータなどにより作成いたしましたが、その正確性などについて保証するものではありません。

<関連銘柄>
 ボベスパ<1325>、iSエマジン<1582>、上場MSエマ<1681>、
 iS新興国<1362>

提供:モーニングスター社

今、見られている記事

    関連ニュース

    Recommended bylogly