文字サイズの変更

  • 小
  • 中
  • 大
新興国情報

独立後のビジネスチャンスに注目があつまる南部スーダン
2011/02/18

エジプトのすぐ南にあるスーダンでは1月に同国南部の独立可否を問う住民投票が行われました。その結果が2月7日、選挙管理委員会により発表され、98.83%の圧倒的多数で南部の独立が支持されました。正式な独立宣言は今年7月に予定されており、新国名は今のところ「Republic of South Sudan(略称RoSS)」になるとみられています。

スーダンは歴史的に北部のムスリム系住民が南部のキリスト教および伝統的宗教信者の住民を搾取するという構造で内戦が続いてきました。1983年に勃発した第二次スーダン内戦から20年以上、さらにさかのぼれば1955年から1972年まで行われた第一次スーダン内戦から数えて50年以上の内戦の歴史があります。この内戦を終結させるべく2005年、南北和平合意が締結され、その中には南部の独立可否を問う住民投票の実施が定められていました。

スーダンの経済は、中国の石油企業CNPCが開発した南部スーダンの石油に依存しています(同国の原油埋蔵量63億バレルの約75%が南部スーダン地域との推測もあります)。また、スーダンの経済の65%が石油に依存していると言われています。しかし、スーダンは南部には積出港がないことから、北部に向けてパイプラインで輸送され、紅海から積み出されます。したがって、南部スーダン政府としては、今後も一定の緊張関係が続くと予測される北部への依存度を下げるためにも、産業の多角化は最重要課題と言われています。

この南部スーダンの産業多角化の意志に呼応するかのように、未開拓である同国のビジネスチャンスをものにしようと多くの企業・国が触手を伸ばしつつあります。一番関与を強めているのが、すぐ南にあるケニアの企業です。例を挙げれば、ケニアの商業銀行エクイティバンク、保険会社のUAPインシュアランス、ビールメーカーのEABL、塗料メーカーのBASCOペインツ、石油化学企業のBIDCOなどです。

また、農業も同国では伸びる余地の大きい分野であると言われています。現在は、干ばつなどが発生すれば緊急食糧援助に頼らざるを得ない状態にあります。また、スーダン南部人口の90%が農業に携わっており、その土地の実に90%が農業に向いているとも言われています。しかし現在はほぼ全ての農家が自家消費向けで、効率が低いため、人口の80−90%が1日当たり所得1ドルを下回っています。これは逆に言えば、農地面積も、生産性も、拡大余地が大きいと言えます。国連食糧農業機関(FAO)によれば、南部スーダンで適切な農業投資が行われれば、自国の農産物需要を賄うだけではなく、輸出国となることも可能であろうと言われています。

このように、多くの有望な産業がある南部スーダンですが、そうはみていない人々もいます。UAE(アラブ首長国連邦)を拠点とする格安航空会社のエア・アラビアは、2004年にスーダン北部の首都ハルツームへの直行便を就航させ、その本数を2008年までに倍増させていますが、南部地域への就航予定は現時点ではないとしています。また、カタールの建設会社シックス・コンストラクションによれば、南部スーダンにはインフラ開発の好機が出てくると確信しているものの、治安情勢は依然として不透明であるとしています。インフラが未整備であることや、先週(7日からの週)1週間で200人以上が反政府武装組織による襲撃で死亡している状況を踏まえれば、投資が及び腰になるのも無理はないと言えます。

このように政情不安のリスクを抱えつつ果敢に飛び込む企業がいる一方で、状況の安定化を待って参入を考える企業もある、というのが今の南部スーダンの状況です。しかしいずれにしても共通しているのは、南部スーダンの将来的な市場性であり、そこに対する注目です。

今すぐに投資をするかしないかは別として、有望な市場があるのであれば好機を逃さないようにモニタリングをしていく、というこの姿勢こそが、スーダンに限らず新興国の成長を自社の成長につなげるために必要な第一歩なのだろうと感じます。

(佐藤 重臣)

佐藤 重臣サイトへのリンク

バックナンバー

閉じる

ページの先頭へ戻る