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新興国情報

個人の信用力に応じたケニアのポストペイド型携帯通話料新プラン
2011/05/13

日本では、携帯電話通話料が後日請求されるポストペイド方式が主流です。一方でアフリカに限らず途上国では、プリペイド方式が主流です。そうなっている一番の理由は、携帯電話利用者の料金踏み倒し防止を図るため。プリペイドであれば、支払った分だけしか使えないので、携帯通信事業者からすれば、与信、未払い通話料の回収といった手間が大幅に減ります。

利用者からしても、自身の払える分だけを払うことになるので、知らないうちに多額の通話料になってしまうという事態を防ぐことができます。なおこの「払える分だけ払う」「使える分だけ使う」という「小分けモデル」は、アフリカの低所得者層ビジネスで一般に使えるモデルです。

ただしプリペイドとはいえ、使いすぎるということもあります。例えば、手元にお金があるときに、本当は飲食、医療、教育などの目的で使うべきところを、電話をしたいのでプリペイドでチャージをしてしまうということも発生します。

そこでアフリカで事業を展開しているインドの携帯通信事業者エアテルは、ケニアにおいて新たなポストペイドのパッケージを用意しました。今回新たに発表された、ポストペイドのパッケージ「ティマム」を申し込むと、月500シリング(475円)まで利用可能になり、月末に料金が請求されます。このパッケージにはエアテル加入者への無料通話10分と10本の無料SMS(ショート・メッセージ・サービス)が含まれます。また通話料も通常のプリペイドよりも安く設定されています。エアテルのプリペイド利用者が通常利用するプランでは1分3シリング(2.85円)。ティマムでは1分2.38シリング(2.26円)です。この商品の対象顧客層は、通話料を若干強制的にでも安く抑えたい個人ユーザーや中小企業ユーザーとされています。なお上限の月500シリングについては、個人の与信上限によって変化させることができるようです。

従来は、プリペイドという方法で実現していた小分けを、ポストペイドでも実現しようとしているこのサービス。仮に大きく成功するようなことがあれば、アフリカの携帯業界で主流となっているプリペイド方式が、ポストペイド方式に大きく変わっていく可能性を秘めています。

また今回取り入れられた、個人の信用力に応じて月の利用上限額を設定するという発想は、携帯電話業界ではイノベーティブな手法です。もしこれが成功すれば、同じような発想の延長で様々なサービスが考えられます。例えば、モバイルマネーでの口座預金を担保としたポストペイドの上限設定や、家族全員のモバイルマネーの口座預金額に合わせた家族全体での通話料上限設定などもありうるでしょう。

アフリカでは携帯電話の普及が進み、成長速度が鈍化しつつある国も出始めています。しかしながら今の状況は、「何はともあれとりあえずネットワークを敷設して加入者数を増やす」段階が終わりつつあるというだけであり、商品開発については今後も拡大余地が大きい。今回の新サービス発表は、そのことを改めて示唆しているように思えます。

(佐藤 重臣)

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