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新興国情報

スマートメーター市場としてのアフリカ、東芝が買収のランディス・ギアも参入
2011/05/20

5月19日、東芝がスイスに本拠を置くスマートメーター製造大手企業のランディス・ギア社を買収することで合意したと発表しました。

スマートメーターとは、電気・水道・ガスなど家庭に設けられているメーターの情報をリアルタイムに事業者が取得し、需要に応じて供給量を変化させるものです。今後世界的に広がるスマートグリッドの実現に不可欠な機器と位置づけられています。

実はアフリカでは既に、メーターの情報を事業者が取得し、その情報に基づいて供給を調整するスマートメーターと呼べる機器が導入されています。

アフリカでは、携帯電話と同様、電気・水道についてもプリペイドの仕組みを導入している国があります。例えばタンザニアでは1996年に既にプリペイド電気メーターの導入が始まっています。これはルク(LUKU)カードというカードを購入して、それを機械に差し込むというものです。最近では、銀行ATMや、携帯電話を活用したモバイルマネーの仕組みを利用してチャージをすることも可能になっています。

タンザニアの他にもサブサハラ地域では、確認できるだけでもケニア、エチオピア、ウガンダ、ガーナ、コートジボワール、ザンビア、アンゴラ、南アフリカなどで同じような仕組みでプリペイドメーターの導入が始まっています(全世帯がプリペイドメーターに変わったというわけではありません)。

プリペイド電気メーターの据え付けは、メーターの購入はもちろん、その据え付けやシステム構築など電力会社にとってコストのかかるプロジェクトです。それでも導入しているのは、電気料金の不払いを防ぐことで財政安定化を図りたい電力会社のニーズ、また電気料金を支払うために電力会社の窓口に長時間並びたくないという利用者のニーズがあるためです(カメルーン在住の友人は、電気料金の支払いに3時間並ぶということです。ちなみにカメルーンはプリペイドメーター未導入です)。

またシステム的に電気料金を徴収し人の手を介在しなくなることで、賄賂の入る余地が減ります。電気料金で賄賂というと日本では考えられないことですが、例えばメーターの検針員に賄賂を渡すことで電気料金の請求額を安くしてもらう、電気料金の支払時に賄賂を支払うことで長時間並ばずにすむ、などです。ひどいケースでは、賄賂を渡さないと電気料金を支払わせてもらえず、その結果停電になるということもあります(もちろん、プリペイドメーターを導入しても、不正が完全になくなるわけではありません。例えば、電線から直接自宅に線を引き込んで盗電するという方法は依然として存在します)。

電力会社の健全な運営とそれに基づく安定的な電力供給は、直接投資を呼び込みたいというアフリカの多くの国で重要な政策課題となっています。さらに、インターネットを含めた通信網整備、携帯電話とモバイルマネーの普及など、スマートメーター導入を後押しする技術面での環境も整いつつあります。そのため、東芝が買収するランディス・ギア社をはじめドイツのエルスター、米国のイトロンなど世界的なスマートメーターメーカーは既にアフリカに参入を果たしています。アフリカでのプリペイドメーター導入競争は今後さらに激しくなりそうです。

(佐藤 重臣)

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