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アフリカ最大手銀行の農業部門トップ、南アからナイジェリアへの異動が意味するもの
2011/06/10

アフリカは農業ポテンシャルが極めて高い地域だと言われています。需要に供給が追いついていないことと、需要の拡大が見込めること、供給の拡大余地が大きいこと、がその理由です。このビジネスチャンスを求めて、欧米・中東・中国・韓国・インド企業が様々な農業投資を始めているのはご承知の方も多いかと思います。

農業は、関連するプレーヤーの多い産業と言えます。農作物を作る農家以外にも、肥料製造、種子製造、物流、食品加工、流通、農業機械、そして、金融です。

アフリカの銀行は、徐々にではありますが農業向けの金融を本格化させつつあり、そのうちの1つの銀行が、南アフリカを本拠とするアフリカ最大の銀行グループであるスタンダードバンクです。スタンダードバンクのグループ全体の2010年12月末時点資産残高は1兆3,363億ランド(約16兆円)に上ります。日本だと、近いところでは、住友信託銀行(2011年3月期末連結総資産残高:20兆9,261億円)にあたります。

スタンダードバンクの農業金融部門のトップが最近、南アフリカからナイジェリアへ異動になりました。理由は、南アフリカを除く、同行の農業金融事業の50%近くがナイジェリアに集中しているためだとしています。また、ナイジェリアの農業セクター規模やGDP(国内総生産)に占める割合を考慮すれば、同国の農業生産高は南アフリカの3倍にも達するとしています。

また、ナイジェリア当局の農業セクター育成という方向性も、今回の異動を後押しした模様です。ナイジェリアの中央銀行は今年5月、同国内の全銀行に対して今後6カ月以内の農業金融部門の立ち上げを指示しました。この指示に従わない場合には罰則の適用もありうるという、極めて強い意思表示です。

ナイジェリアの銀行業界は、石油・ガスセクター向けに多額の融資をしており、そもそもポートフォリオとしてバランスが悪いと言われています。石油・ガスセクターは、長期の設備投資資金、短期の輸出向け運転資金など、多額の資金需要が、外資系企業を中心に継続的に発生するためです。一方で、小規模、不安定な農業セクターには、消極的でした。

ナイジェリアの中央銀行は、農業部門の立ち上げ指示を行う一方で、農業向け融資に対する中央銀行としての支援策も打ち出しています。例えば、市中銀行による農業セクター向け融資に対して、中央銀行が一定程度の保証を供与するという施策もあります。

ナイジェリアの人口は現在約1億5,000万人で2015年には1億8,000万人にまで拡大が見込まれており、食料需要は間違いなく拡大します。また、今後5年間の実質GDP成長率は6〜7%と見込まれており、食糧に振り分ける所得も拡大。現在の同国の農業生産性は低いものの、逆に言えば適切な技術改良を持ち込めば農業生産性の拡大余地は大きく、そのために必要な資金サポートが政府・市中銀行一丸となって行われています。こうしたことを考え合わせれば、ナイジェリアの農業セクターはアフリカビジネスにおいて目を離せない事業機会であるはずです。

※拙著メールマガジンでアフリカの農業関連業界、金融業界については詳しく解説をしています。

■農業関連
アフリカ農業業界(第10・11号)http://www.mag2.com/archives/0001182990/2010/
アフリカ養鶏業界(第20号)http://www.mag2.com/archives/0001182990/
ナイジェリア養鶏業界(第21号)http://www.mag2.com/archives/0001182990/
アフリカビール業界(第23号)http://www.mag2.com/archives/0001182990/
ナイジェリアビール業界(第24号)http://www.mag2.com/archives/0001182990/
ナイジェリア砂糖業界(第34号)http://www.mag2.com/archives/0001182990/

■金融関連
ナイジェリア銀行業界(第29・30号)http://www.mag2.com/archives/0001182990/

(佐藤 重臣)

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