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新興国情報

インフラ不足が引き起こすセネガルの治安悪化と事業機会
2011/07/01

現在、アフリカ西部セネガルの首都、ダカールに来ています。ダカールでは雨季が始まる季節で、先週土曜日に今年初めての本格的な雨が降りました。これから、1カ月〜2カ月ほど、土砂降りの雨が数日に一度降るようになります。

そのような時、問題になるのがインフラです。まず下水。ダカールの水道は現在、フランス系の水メジャーであるソウル・インターナショナル(Saur International)が、ダカールの水道公社であるセネガレーズ・デ・ゾー(通称SDE)を通じて事業を行っています。アフリカで数少ない、水道民営化に成功している事例として取り上げられることもあります(拙著メールマガジン第16号に詳しく記載していますので、ご関心があればご覧ください)。

しかしながらこの成功と言われているのは上水部分で、下水部分の整備はお世辞にもよいとは言えません。今回の雨でも、マンホールから既に水があふれてきており、昨年は多くの地域で冠水。学校が水浸しとなり、9月からの新学期開始に間に合わなかったという事例もあります。


 昨年の雨季の一幕。アパート4階の我が家から下の道路を取った写真。道が完全に冠水しているのが分かると思います。ちなみに水が出ているのは、我が家のテラスから出ている排水用のパイプ。日本のようにきちんと下まで雨どいを降ろさず、とりあえず排水するためだけに外向きについているので、水はこのように容赦なく道路に降り注ぎ、路上に停めてある車を直撃します。

また、雨季で湿気とともに気温も上がるため、冷房需要が高まります。しかしながら、この国の電力供給は極めて深刻で、雨季の前からも電力不足が発生。今後の雨季シーズンになれば、さらに足りなくなることは明らかです。またひどいことに、電力不足の最後の頼りである発電機も、燃料となるディーゼルが高いといって大家さんが回さない、そもそもディーゼルが不足して手に入らない、などどうしようもない状況に陥ることも珍しくありません。

このようなインフラの不備に対して、民衆が声を上げ始めています。昨年はデモに加えて、宗教指導者が「電力を供給しない電力会社に料金は支払うな」と支持者に呼びかけたりもしました。今年は早くも、電力会社を含めた政府関係機関が襲撃されたり、路上でタイヤやバスが燃やされたりしています。今日も、市内の複数個所でデモが発生しており、夜間外出を禁止している外資系企業、国際機関もあります。

水にしても、学校が機能しないという社会問題に加えて、あまりにも酷い冠水状況にデモや抗議活動が発生することもあります。去年は1,000人以上が参加したデモというのもあり、普段全くと言っていいほどフランス語圏アフリカの記事が掲載されないニューヨークタイムズでも取り上げられたほどです。

アフリカの暴動というと民主化、内戦といったキーワードで語られることが多いのですが、このようにインフラ不足といったことでも発生します。アフリカにおける治安リスクというと内戦の有無や恒常的な暴力事件などが注目され、確かにこれらの方が大規模ではあるのですが、今回のようなインフラ不足による治安の悪化でもビジネスに影響を与えうるということは、投資を行ううえで覚えておいた方がいいかもしれません。また逆に言えば、少なくともセネガルは「お金を払うからきちんとしたインフラを整備してくれ」という欲求があるわけ(それなりに電気料金は払えるし、発電機保有者は高いディーゼル燃料代も払える)で、政治不安の低下にもつながるインフラ整備関連ビジネスは、参入機会のある分野の1つだと考えています。

(佐藤 重臣)

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